第201話
「それじゃあ、また来る」
「うん、待ってるね」
そして再度ハグを交わす。
その時だった。
「魔物の襲撃だ!!」
その叫び声が響き渡った。
◆
その頃船の上では、
「そういえば何で船が出せたんだろう?」
突如としてそんな疑問を感じた。
色々あって忘れていたが、途中に船を引き込み閉じ込める海流になっている島があったはずだ。
「今さらだな。私の担当した祠があっただろう。そこが水流に囲まれていてな。似ていたからまさかと思い調査するように伝えておいた。すると、水流はなくなっていたらしい」
「いつそんな事を・・・・・・あ!」
そういえば学校に行っていた1週間の中で何日か移動魔法でレクスを王城に送ってたな。
その時か。てっきりローゼさんに会いに行っているものだと思っていた。
「ちゃんと仕事してたんだな」
「いつもしていないみたいに言うな。しかし、
ノインの帰りが遅いな。少し嫌な予感がする」
レクスの嫌な予感ってヤバくない?
「迎えに行くか?」
「いや、邪魔しても悪いしな。まあ、ノインならば少なくとも逃げてくる事は出来るだろう」
まあ、大抵のことなら大丈夫だろうけど・・・
◆
「魔物の襲撃?」
ノインが近くに居るカリアに問う。
魔獣=魔物という考えがまだ染みついていないため一瞬何事か分からなかったのだ。
「どうやら魔物が群れて襲ってきてるみたいだね。そっちでは魔獣って言うんだったっけか」
ノインの声にカリアが答える前にカリアの上司が答える。
どうやら先程の声を聞いてこちらに来たのだろう。
「僕、行ってきます」
「やめときな。1人で対処できる数じゃない」
「・・・・・・なら、仲間を呼んできます」
そう言うとすぐに移動魔法を使ったのだった。
「カリアが惚れるわけだね。あの行動力と明るい性格。なんと言うかカリアのタイプっぽいね」
「ちょっと、先輩」
それは、非常事態にからかってくる先輩に呆れたものでもあったが、それよりも照れの方が強かった。
◆
「大変だ!魔獣の群れが!!」
「やっぱり何か起こってたか」
船に戻るなりノインがそんなことを言い出すが、レクスの悪い予感を聞いていたから驚くよりもやっぱりとなってしまう。
「落ち着いてないで早く」
ノインは結構焦ってるな。
「とりあえず落ち着け。分かっている情報を教えてくれ」
レクスが落ち着かせ情報を聞き出す。
「魔獣の群れが襲撃してきていて1人じゃ対処しきれない数が居るらしい」
「そうか。つまり数が問題なんだな?」
「多分」
「そうか。では、私はサテュロス殿のところに向かおう。他の皆は各々防衛に」
その言葉を皮切りにそれぞれが動き始めた。
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