第197話獣人の言葉
「それで、何する?」
その問いかけにどうしようと考えるノイン。
実はまた会うように誘ったもののすることは何も考えてなかったのだ。
「・・・・・・」
「決めてなかった?」
ノインが沈黙のためそれに気づいたのであろうカリアがそう言うとノインは気まずげにうなずく。
「じゃあ、お話しよっか」
◆
「そういえば何でこんなに話せるの?」
ノインはふと気になったことを聞いた。
「私最近まで学校に通っててそこで徹底的に習ったんだ」
しかし、それだとするとノインには気がかりなことがあった。
「そんなに徹底的に学ぶの?」
そう。獣人と人間の関わりは本当に少ない。
いや、ないに等しいのだ。
「伝統という面も大きいけど、いつか関係が深まったときにどちらかがどちらかの言語に合わせた方が速い。それは長寿の獣人側がすべきだっていう考えがあるみたい」
「そうなんだ」
「まあ、習うのは極一部で学校に通った獣人のみだからそこまで浸透してないけどね」
「・・・・・・あのさ、」
「なに?」
「獣人の言葉を教えてくれない?」
◆
「え?」
唐突なノインの発言に戸惑うカリア。
「獣人の言葉で話してみたくて・・・」
「良いよ、教えてあげる」
◆
「ウィロウシ」
「う、うぃ、ウィロウシ」
カリアが先にお手本を発音しそれになんとかノインがついていく。
「そう、これがこんにちわだよ」
「ウィロウシがこんにちわ?」
「うん、変だよね。私もこんにちわを習ったときに変に感じたよ」
ノインの違和感にカリアも同じような経験をしていたため共感する。
「じゃあ、次だね。リュイ」
「リュイ」
今度は比較的簡単な発音だったためノインもサクッと発音することができた。
「これが良いだよ」
「これは似てるんだね」
敬語ではなくなったがいつも通りには喋ることが出来ていないノイン。
「これは覚えやすいと思うよ」
カリアは普段の彼の口調を知らないため何も指摘しない。
「次は・・・テュルイル」
「て、テュ、テュル、イル」
再び発音が難しかったため詰まってしまうがなんとか発音する。
「そう、これは信じる」
それを微笑んで見つめるカリア。
「次はトゥエル」
「トゥエル」
若干なれてきたのか、今回はすんなりと発音できた。
「これは、食べる ウィル」
「ウィル」
「そうそう、発音も上手くなってきたね。これは椅子だよ」
そこまできてノインはどういう基準で教えてくれているのか気になったノイン。
「復習に一回書いて見よっか」
そのカリアの声に頷きながら筆記用具を準備した。
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