第159話

「どうしたの?」

マイに呼び止められ振り向くと急に抱きつかれた。

「カイ君のせいじゃないよ」

その言葉に目を見開く。

「何が?」

一瞬動揺してしまったがなんとか取り繕いその言葉の真意を聞く。

「私が倒れたことにカイ君が責任を感じる必要はないよ」

この一言で完全に僕の考えていることがお見通しなことがわかった。

しかし、マイに心配をかけたくないため、

「大丈夫だよ。僕のことよりまずは自分の心配をしないと」

責任を感じているのは本当のことなので否定はせず話を変える。

するとジト目を向けられた。

「自分から危険なところに行くカイ君に言われたくないな」

いや、それはそうせざるおえない状況だったからであって・・・・・・

「でも、また去ろうとはしないでね」

これがマイの最も不安なことであった。カイには全科があるからである。

「そんなことはしないよ」

カイもその事を自覚しているため真面目に答えた。

その時グ~というお腹がなる音が鳴りこの場の雰囲気を一気に変えた。

この場には二人しかいないためどちらかなのだがマイの顔が真っ赤になっていることからマイであることは明白であった。そもそも二人しかいないためどちらのものなのかはっきりわかるのだが。

「ご飯食べよっか」

まだ赤くなってるマイにカイが声をかける。

その声にマイは恥ずかしさからうなずくことしか出来なかった。



翌朝。

カイは一人、王城まで移動魔法で来ていた。

レクスに報告するためである。

さすがに病み上がりのマイを連れてくることはしなかった。


「そうか。では一度集まって今後の予定を立てておこう。ローゼ、またすぐに戻ってくる」

「うん、待ってる」

すっごい甘い雰囲気だな。いいや、もう戻っちゃえ。

そのまま移動魔法で宿に戻ってきた。



いつもの話し合いの場にはマイ以外の全員が集まっていた。

まずは僕からマイが目を覚ましたことを伝えその上でレクスが今後の予定を立てていった。

「スタールの調子が戻ったら精霊王の元に向かおう。そこから海底に行くから各自準備をしておいてくれ。カイ、後何日ぐらい休暇が欲しい?」

突然僕に話を振ってきた。

「明日の昼までかな。少し悪い予感がするんだ」

「なんだ、お前もだったか。実は私も感じていた」

レクスの勘は当たるからな。

「そんな急いで大丈夫なんか?」

リーセスがマイを心配する声をあげる。

「でもなぁ。レクスの勘まであるからな。本当に急がないとヤバイかも」

「ですね」

レイが僕の意見に賛同する。

「俺はいつでもいいぜ」

ノインはいつものように前向きな発言を言う。

「では明日の昼に精霊王のところへ向かおう。

では、これで解散しよう。カイ」

「わかってますよ」

移動魔法をレクスにかけ自室に戻った。

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