第115話職場体験

レイは昨日から自分の性格を悔やんでいた。

もう少し社交的であればリーセスさんとの距離が近くなっていたのではないかとよく考える。

今までこういう場面はすべてノインに任せていた。

真逆と言っても良い性格から双子を疑われることは多いが、真逆だったからこそ任せることが出来たのだ。

そういう面では良かったが今回は違う。

この気持ちを口に出し協力を求めることは出来ない。

昨日は何故かノインが話を盛り上げるだけ盛り上げて部屋に行ったためなんとかリーセスさんと話すことが出来たが自分から話せないと意味が無いように感じる。


だからこそ今日は勇気を出しリーセスさんと話していたのだが・・・・・・・・・

ノインが入ってきた。

ただ、ここまで話せるようになったのもノインのおかげなため怒れない。

レイは皆に自分の気持ちがばれていることはつゆ知らず頑張っていくのだった。



「皆、席に着け。今日は職場体験の準備をしていくからな」

こうして午後の授業は始まった。

それにしても職場体験か・・・・・・・・・

めっちゃ懐かしいな。

といってもあまり印象は残っていない。

多分そこまでやらかすことも無く普通に終わったのだろう。

「今からプリントを配るがその中に書かれているのが受け入れを確約してくださっている。人数が決まっているところが多いから今からどこが良いか決めてくれ」

配られたプリントには見覚えの無い店の名前と許容人数がずらっと並んでいた。

いや、二つ見覚えがありほぼ人を指定されているものがあった。


王城  一人

業務内容 レクス王子の護衛決めの面接


スタール亭 二人

業務内容 お店の手伝いと亭主との模擬戦


完全に誰が来るか確定している仕事だ。

まず、上は完全にレクスが引き受けないといけない内容だ。

これは受け入れるお店側が王子に仕事をさせるとかやりにくいからという理由もあるのだろう。

問題は下だ。

まず亭主との模擬戦は僕にあてられた仕事だろう。

それは良いとして何故二人なのか。

ミサリーさんのことだからもう一人はマイに来て欲しいのだろう。

そして、また早く結婚、子供をと言われるのでは無いだろうか。

そう思ってしまった。

そこまで考えたところで声をかけられた。

「なあなあ、レイちゃんってどこにすんのやろ?」

これは・・・まさか・・・・・・

「そうだな・・・・・・」

この様子を見ていたノインに目で合図をする。

するとノインは思い通りに動いてくれた。

そして指で23と示してくる。

プリントの23番目を見ると、


図書館 二人

業務内容 本の整理、受付


なるほどレイのイメージ通りだし二人というのはリーセスと二人きりになることを狙っているのでは無いだろうか。


「これなんか選びそうだぞ」

まあほぼ確定でこれにするだろうけど。

「おお、なるほどな。助かったわ」


この後、僕、マイ、レクスは指定されていた通りになりレイとリーセスは図書館に決まった。

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