第88話テント
翌日の夕方には目的地に着いた。
そこで見たのは今までに見たことが無い大草原。
広いため戦争に適しているのかもしれないがこの穏やかな地が戦争に巻き込まれるのは平和で無い象徴とも言えるのではないだろうか。
戦場と言っても本当に後方で医療班のテントが近くにある。
本陣は少し前方にあり医療班と僕達の防備は完璧と言えるものだった。
帝国軍は明後日にここに来ると予測されている。
そのため明日1日休んで戦争に望む計画になっている。
交代で警戒をしなければならないが僕達は免除された。
学生とその保護者にそんなことはさせられないという意地なのかもしれない。
僕だけでもしようかとも思ったのだがそれはレクスに止められた。
「お前は人がここを襲って来たらどうする?」
「そりゃあ、追い返す」
「ここを襲うということはスタールを襲うということと同義だぞ」
「ギリギリ死なない程度に痛めつける」
「やはりな………もう一度言っておこう。辞めておけ。もし、あの目になれば躊躇が無くなるのだぞ。お前を止めているものが躊躇だけだった場合……………」
僕が人を殺してしまう。
レクスはそう言いたかったのだろう。
そこまで言われると辞退せざるおえない。
元々やりたかったわけでもないので別に良かった。
何なら前世では面倒くさがってやろうとしなかっただろう。
それもこれもあいつがいたからだ。
それに報いる為にもこの戦争で決着をつけたい。
もし帝国が勝ってしまうとその後他の国にも侵略するだろう。
全ての国を侵略出来たとしてもその内、内乱が起こり平和にはならないだろう。
王国が勝ったとしても不安な点はある。
一強になってしまうと何でも出来てしまうことだ。
レクスは大丈夫だと思うけど問題は次世代だ。
総合的に考えてレクスを信用することにした。
レクスに色々と恩があるからというのもある。
まあ、一番の理由は今の生活が気に入っているからである。
私情が大きく関わっているがその延長線上に平和があればそれで良いのではないだろうか。
色々と考えている間に僕達が泊まるようのテントが準備されていた。
数は6個……………1つ足りない……………嫌な予感がする。
案の定僕とマイが同じテントになった。
嫌なわけではないけど気まずすぎる。
兵士達からの目が耐えられない。
こうなった原因はレクスにある。
昨日は急だったため馬車で寝たみたいだがそれを見た兵士達が自分達が怒られるかもしれないからテントで寝てくれと言ったそうだ。
しかし、テントは人数分しかない。
その時に丁度良く僕達がいたからこうなったのだろう。
抗議しなかったが周りの目があり出来なかった。
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