第54話次期王妃襲来
翌日。
今日も仕事が無かったカイは昨日と同様マイと過ごしていた。
しかし、今日は2人の時間は玄関から聞こえたノックと声で唐突に終わりを告げる。
この世界にインターフォンなんていう便利なものは無いからこういった原始的な方法しか無い。
なんなら魔方陣で何とかしてみようかな。
そんなことを考えつつ玄関に急ぐ。
この時間でここに来る人は限られる。
レクスかロヴァイトさん辺りだろう。
そう思いながら玄関の扉を開く。
「おっ、良く来たなレクス。……………っと失礼しました。お初にお目にかかります。カイ=マールスと申します」
レクスが来たと思ったら後ろに見知らぬ女性がいた。
レクスが最近婚約者と過ごしているはずなので多分婚約者なのだろう。
そう思い急いで挨拶をする。
婚約者であろう女性は驚いたように一瞬目を見開くがすぐに戻り、
「突然ごめんなさいね。私はローゼ=イレイス。お察しの通りレクスの婚約者ですわ」
「えっと……………とりあえず中にどうぞ」
「失礼します」
「悪いな」
ローゼは言われたように家に入り、レクスは一言謝罪を述べながら家に入っていく。
その後を追って入るとリビングでは2人に気付いたマイが慌てて2人の椅子を用意していた。
「今日はどうしたのですか?」
レクスに敬語を使っているのは違和感しかないのだがローゼさんがいるので仕方ない。
「カイ、いつも通りで良いぞ。今日は遊びに来ただけだ」
「あ、そう?」
「そうですわ。私にも敬語はいりませんわよ」
「いや、それは……………」
「使いませんね?」
凄い圧を感じる。
そういえば前レクスがこの人に叱られて疲れ果ててたっけ。
これは従わざるおえないな。
「……………分かりました」
「よろしい」
そう言いながら満面に笑み浮かべるローゼ。
すると隣からポツリと
「私もこんな風にしたほうが……………」
「マイはそのままで良いから」
「……うん」
「本当にそれで良いの?甘やかし過ぎると他の女に取られてしまうわよ」
「それは……」
ローゼの言葉に考え込むマイ。
「何を教えてくれてんだ!!」
ついツッコんでしまった。
ローゼの意見もある意味正しいのだろう。
前世で家庭内では女性の方が強いって聞いたことがあるし。
しっかり手綱を握っておけば家庭が安定するという考えだろう。
しかし、他の女に取られるというのは男次第だ。
「カイ君誰にも取られない?」
「もちろん。僕には君しかいない」
「カイ君」
こうして見つめ合う。
自然と近づいていき
「おい、私達もいるのだが……………いや、気にするな」
レクスの少し困ったような対応にハッとする。
思い返せば何で僕は少女漫画とかに出てきそうなセリフをこんなに堂々と言ったんだ?
凄く恥ずかしい。
マイも恥ずかしかったようで僕の胸に顔を押しつけてきた。
……………可愛い。
思わず抱きしめるとマイが顔を上げる。
またしても顔が近づいていき……………
レクスの呆れたようなため息で正気に戻る。
「悪いわね。邪魔しちゃって。レクス、帰るわよ」
「ああ、じゃあまたな」
「お、おう」
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