第50話決着

僕は色々な方法で試行錯誤する。

例えばロヴァイトさんの足下を氷にしてみたりもしたが結局余り意味がなく逆に僕がそこに追い込まれて魔法を解かざるおえない状況にされた。

他にも光魔法で一瞬視界を奪った後に攻撃を仕掛けたり、土魔法で障害物を作って隠れながら隙をうかがったりと考えられる方法は全部試したのではないかと思うほどやったのだがそのほとんどが無意味。

何ならこちらが不利になってしまったりすることもあった。


今もロヴァイトさんが連続攻撃をしてきている。

それを剣でいなしたり、回避したりしている。

そして、その二つが間に合わなくなる。

慌てず瞬間移動で難を逃れるがその先にもすぐに攻撃がきた。

明らかに瞬間移動のタイミング、移動先を読んだ攻撃。

いなすことも回避することも不可能。

瞬間移動も…………………あれ?

と考えている間にもうすぐ先に剣が近づいていた。

迷いを振り切り瞬間移動を使う。

すると瞬間移動が使えた。

僕は何故今まで瞬間移動が連続で使えないと勘違いしていたのだろうか。

……………

っと今はそんなこと考えている場合じゃない。

使えるのなら有効に使わないという手はない。

一度の瞬間移動では移動先を読まれてしまうのなら連続して瞬間移動を使えば良い。

ただしこれが効くのは多分一回のみ。

それで決めなければならない。

多分だが一回見せたら対処されちゃうと思う。

そう考えている間にも攻撃がとんでくる。

悟られないように今までどうり瞬間移動せざるを得なくなる状況を待つ。

……………

今だ!!

一度目の瞬間移動を使う。

想定していたとおりそこにも攻撃が来る。

しかし、移動した瞬間には二度目の瞬間移動を使いロヴァイトさんの後ろへ移動している。

そのまま剣を振るがそれは意図せず寸止めになる。

それは同じタイミングでロヴァイトさんがノールックで僕の首元で剣を寸止めしたからである。

これは勝ちなのかな?

勝ちといわれても納得は出来ない。

そう考えているとロヴァイトさんが満足したという感じでも剣を下ろした。それにならい僕もそうする。

「は~、最後の賭け何とか成功したか」

そういうロヴァイトさんは笑っている。

いや、最後のやつ賭けだったの?

てっきり感覚とかで正確に僕の首元を狙ったのかと思ったんだけど。


その後唖然としていた審判の人が急いで誰かを連れてきた。

その人物は30代位で見た目ワイルドそうな男である。

街で見かけたら万人に怖がられるであろう顔をしている……………っとこれは失礼だな。

「なんだ?お前まで来たのか」

ロヴァイトさんは知り合いのようだ。

「なんだ?じゃねぇよ!何でお前が数ヶ月前に入った最低ランクのやつと模擬戦してんだよ!」

そりゃそうだよね。

最高ランクと最低ランクが模擬戦するとか普通はあり得ないよね。

「そういやこの子のことを紹介してなかったな。こいつは俺の義理の息子だ」

「まだ違いますから!」

何で人前で嘘を言うかな。

今後そうなる可能性が高くて僕もそれを望んでいるのは確かだけども。

「ほう、あのマイちゃんに彼氏が出来たのか。男嫌いを克服したのか?」

「こいつ限定みたいな感じではあるけどな。大きな一歩だ」

「取りあえず立ち話もなんだから部屋に来い」

「分かった」

「はい」


こうして部屋に入ったのだがそこはギルドマスター室だった。

入ったとき中に誰もいなかった事を考えるとさっきの男の人はギルドマスターなのかもしれない。

「一応名乗っておこう俺はここでギルドマスターをしているレヴァイル=サイレイルだ。よろしくな」

「僕はカイ=マールスです。こちらこそよろしくお願いします」

「それでギルマスこいつの飛び級は合格で良いよな?」

「その前に聞きたいことがある。カイといったな。お前本当にマイちゃんの彼氏なのか?」

「……………はい。そうですね」

こんなにド直球で聞かれるとちょっと照れてしまう。

「お前よく死ななかったな!」

「えっ?」

何言ってんのこの人。

「えっ?ってお前、威圧されたり模擬戦をさせられたりしなかったのか?」

そういうことか。

ギルドマスターの中ではロヴァイトさんが親馬鹿と認識されているようだ。

「威圧はされましたけど、模擬戦は提案はされましたけどやるかどうか決めたのは僕なのでさせられたわけではないです」

あれはほぼ強制だったとは思うが。

「じゃあ合格だ。これからはSランクだ。活躍を期待してるぜ」

「えっ?良いんですか?あれは勝てたとは言えないと思うんですが」

「聞いた話だがほぼ同時だったんだろ?ということは同等の力は持ってるつうことだ。それにこいつの威圧に耐えられるだけでAランク以上は確定だ」

凄い判定方法だな。


こうしてSランクになることが出来たのだった。

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