第30話クラブ活動

学校探索が終わった後はクラブ活動の見学だ。

様々なクラブがいろんな場所で活動してるらしいんだけど僕達は教室に残って新たなクラブを作る手続きと準備をしていた。

手続きの紙に書かなければならないことはクラブ名、初期メンバー、会長名、活動内容だ。

会長とは部活でいう部長だ。

初期メンバーはすぐに埋まり、会長は無理やり僕がやらされることになったので埋まっている。

中々埋まらないのがクラブ名と活動内容。

「何か案ない?」

会長だからという理由で議長みたいなことをさせられてます。

中々案が出てこないまま時間が過ぎていたのだがマイが手を挙げた。

「魔方陣研究クラブは?」

「?……………なんだ?魔方陣って」

「私も聞いたことないです」

「カイしか作れないのではないのか?」

双子の反応はこの世界の人としては正しい反応だ。

そもそも今魔方陣を使っているのは僕とマイだけという可能性も高い。

双子には魔方陣を見せ簡単に解説した。

その間にマイがレクスに魔方陣を作れることを示している。

「ここまで説明しといてなんだけどこれ了承得られるのか?」

「私が何とかしよう」

そう言ったのはレクスだ。

「何とかってどうやるんだよ」

「私を誰だと思っている」

「おい、こんなことに権力使うな!」

「まあ、そんな心配しなくても大丈夫だと思うぞ」

「なんで?」

「教室の外を見てみろ」

その通りにするとそこにはベン先生がいた。

あ、人いたのにレクスとタメ口で話してた。

「先生いらしてたんですね」

「ああ、思ったより遅かったからな。

来てみたら面白そうなことをしていたから覗き見していた」

「なるほど」

「承認して貰えるかという話だったな。なんなら俺が顧問になってやる」

「えっ!?良いんですか?」

「ああ、俺も教えて欲しいぐらいだからな」

「決定だな。良かったな、会長?」

レクスの奴早速イジってきやがった。

「よし、じゃあ埋めてないところを書いて提出してくれ」

この後は順調に進み、魔方陣研究クラブが発足した。

今日は話し合いが長引いてどのクラブ活動も後少しで終わる時間になっていたので明日から活動を始めることにし今日は解散した。

相変わらず徒歩での下校だった。


翌日、授業はだいたいどんなことをやるかの説明で終わり、クラブ活動の時間になった。

昨日ベン先生が顧問になることが決まった後僕達のクラスの教室の利用権を確保してくれたらしくそこに集合している。

やっぱり仕事が出来る人だな。


「じゃあまずは魔方陣の作り方を教えるよ」

こうして初めてのクラブ活動が始まった。

なんとなく想像していたが皆魔方陣はすぐに作れるようになった。

ちなみにベン先生も一緒になって練習していた。

時間がまだあったのでインベントリも教えることになった。

さすがに口外しないということを約束してもらったけど。

魔方陣が広まっても元の魔法の威力以上を出すことはできないので速く打てるようになるだけだからまだ良い。

インベントリは便利な魔法ではあるけれど犯罪に使われる可能性もある。

例えば窃盗とか簡単に出来るようになる。

この世界に監視カメラなんて無いし正直インベントリに入れたら勝ちだ。

他にも様々な犯罪で悪用出来る。

だからおいそれと広めてはいけない。

ってソラに言われたことがある。

まあこの人達の前ではインベントリを使う機会もあると思うので遅かれ速かれ知ることになる。

そのため教えることにしたのだ。

といってもさすがにすぐに習得することはなくその日のクラブ活動は終わった。








タキア王国攻略作戦本部。

タキア王国との国境近くに即席のテントがいくつも建っている。

そこでアゴットが周辺諸国の支援の資料を確認していた。

ちなみにアゴットは総司令官を任されここにいる。

当然総戦力の確認などをしなければならないのだが各国からの予想以上の支援の多さにより大変な作業になっていた。

「さすがに多いな」

「そうですね。これほどの量になるとは」

アゴットの呟きに答えたのは警備軍副長の

アレス=ジーニアスだ。

彼は今回副司令としてここにきている。

用はアゴットの補佐なので彼もまた資料の確認をしていた。

どちらも資料の確認にうんざりしているようである。

アゴットはアレスがいなければこれを1人で確認しなければならなかったのかと思い密かに連れてきて良かったと思っている。

逆にアレスの方は着いてこなければ良かったと思っているのは言うまでもない。

元々アレスは来ない予定だったのだ。

それをアゴットが部下の育成のために連れてきたのだ。

自分と副長がいなくても警備軍が動けるようにすることとアレスに経験を積ませるという一石二鳥の考えだった。

それが今は一石三鳥になっている。

この資料の確認が終わり準備が整い次第作戦が開始される。

兵達はその時を緊張と共に待っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る