クラスで一番可愛い彼女が裏ではちょっとポンコツで可愛い~君の本当を知れたとき~

Yuu

第1話

今日も嶋野さんは可愛いな」


「あのポテンシャルで彼氏いないって逆に誰なら彼氏になれるんだろうな」


「俺にもチャンスあるかな?」


「お前なんかにチャンスがあれば、既に嶋野さんは彼氏持ちだ」


「悔しいが否定できないのが現実だな」


「嶋野さんはアニメの中のヒロインがそのまま地上に降り立ったような存在だからな」


「じゃぁ、嶋野さんの彼氏になれる男はアニメの主人公クラスじゃないと務まらないな」


「そうかもしれないな」


「でも、それはそれで相手いなくね」


「確かに」


今クラスの男子達が話しているの俺たち2年2組で一番可愛く、学校でもNO1の可愛さを持っているといわれている嶋野愛についてだ。

嶋野さんに関しては入学した当日から噂になっており、才色兼備で勉強も運動も優秀でまさに男子生徒がいっているようにアニメの中のヒロインがそのまま地上に降り立ったような感じだ。

この1年間で何人もの男子が嶋野さんに告白したらしいが、すべて振っているらしい。

途中からは付き合えたらラッキーぐらいで告白するやつや罰ゲームで告白しているやつもいたらしい。

本当にそうゆうのは気に食わない。

人の時間を奪ってくだらないなと思う。

ただ、当の本人は恋愛に関して興味がないらしく、全く相手にしていないし、学校でのこういった話も気にせずに今日も予習か復習をしている。

才色兼備と言われているが、ああやって勉強している姿をみていると嶋野さんの「優秀」は「努力」からきているものなんだろうなと思う。

周りの女子も嶋野さんの人と関わらないようにしている性格に遠慮して話しかけないようにしている。

だから基本的に嶋野さんは教室の中では一人である。


「愛ちゃんおはよう」


「さくらおはよう」


「4月なのにもう暑いね」


「私も今日は自転車忘れて歩いたから汗かいたよ」


「自転車忘れたの」


「うん。なんか途中で気づいたけど取りに帰るのがめんどくさくて」


「愛ちゃん馬鹿だよね」


「馬鹿じゃない。ちょっと忘れっぽいだけ」


「そうゆうことにしてあげる」



嶋野さんにも基本的に教室では一人だけど、友達が一人もいないわけではない。

今嶋野さんと話しているのは春乃桜という黒髪ロングの清楚系の女の子。

男子からは嶋野さんの次に可愛いNO2と言われている。

実際春乃さんの方が愛想もいいし、話しかけやすいところから男女からの人気が高いと思う。

横に圧倒的存在感の嶋野さんがいるからこそのNO2になって知っている感じだ。

もし他のクラスにいたら春乃さんがNO1になるのは間違いないだろう

嶋野さんと春乃さんは幼馴染らしく一緒にいることが多い。



そして教室の出来事を隅から観察しているのは分析しているクラスでのポジションは陰キャラこと松岡瑞樹だ。

自分のことを陰キャラとは認めているけど、スポーツも勉強もそれなりにできるほうである。

ちなみに昨年の最後のテストも成績は上位だった。

人付き合いは得意じゃないから友達はほとんどいない。

たまに話していたら同族の陰キャも2年生になったタイミングで別のクラスになってしまったから新しいクラスでは一人でいる。


「みんな席につけ~」


担任の先生が入ってきていつもの日常が始まる。



学校が終わり、一人で家に帰り、制服をから部屋着に着替えて机に向かう。

決して勉強が好きだから机に向かっているわけではなくて、学校から帰ってのこの時間は何をしていいのかわからなくて勉強をしていたらいつの間にか習慣になっていた感じだ。

さっき昨年のテストで上位だったといったが、この毎日の勉強が意外に役に立っているんだと思う。

一応手ごたえを感じたからこそ継続できているのかもしれない。

いつもは1時間ぐらい勉強したら漫画を読んだりライトノベルを読んだり、アニメをみたりしていて、たまにランニングもしている。

中学3年生までサッカーをしていたこともあり、全く動かないのは気持ちが悪いから適度な運動はすりょうにしている。後は単純に太らないように。

オタクで陰キャで太っているはなんか自分の中でダメなような気がしているし、このまま陰キャ度合いだけ成長していくのも悲しいし。


「ピンポーン」


そうこう考えているとインターホンが鳴った。

松岡家は両親と妹と俺の4人家族で両親が帰ってくるのはだいたい8時ぐらいで妹も中学3年生で受験生で今日は塾にいっているから親が帰ってくるまでは一人のことが多い。

だからこの時間は誰もいないことが多いからインターホンが鳴ると自分が出ていかないといけない。


「どちら様ですか?」


「嶋野です」


「えっなんで?」


「さくらとの約束がなくなったので来ちゃいました」


「なるほど、突然くるからびっくりしたよ」


「ごめんなさい」


「いいよいいよ。とりあえず入って」


「ありがとう」


玄関に立っていたのは、さっき教室で心の中で話していたクラスでNO1人気の才色兼備の嶋野愛だった。

なんでクラスで一番人気の女の子が陰キャの家に来ているのかというと。

それは嶋野愛は松岡瑞樹の彼女だからである。

そう、俺と嶋野愛はお付き合いをしているんです。


「そんなに制服ポイってしたらしわがついちゃうよ。ほら貸して、ハンガーにかけるから。スカートはどうする?着替えるなら短パン貸すよ?」


「ありがとう。じゃぁ短パン借りる」


「わかった」


俺は部屋から彼女に合うサイズの洋服と短パンを持ってきて渡す。

それを手に取り彼女は脱衣所で着替える。


「着替えた」


「うん、コーヒーとお茶どっちがいい?」


「砂糖とミルクたっぷりのコーヒーでお願いします」


「了解」


そういって彼女はいつもの定位置のソファーに座ってテレビをみている。

テレビをみている女の子はまぎれもなくクラスで噂されるほどの美人な女の子だ。

でもみんなは知らない。

彼女には才色兼備で完璧なイメージがあるけど少しだけ残念なところがある。


「はい。砂糖とミルクたっぷりのコーヒー。淹れ立てだから熱いからね」


「うん、わかった」


といってノータイムでコーヒーを口に運ぶ


「あつい。。。。」


「でしょうね」


「ごめんこぼした」


「いいよ。またTシャツ持ってくるから」


「ごめんなさい」


「いいから。こっちは拭いておくから着替えておいで」


「はぁい」


熱いといった直後にそのまま口にコーヒーを運ぶところや着替えたばかりの洋服にこぼしてしまうところなど皆が思っている完璧とは違うと思う。


「ふぅ~」


「火傷していない?」


「ちょっと舌火傷した~」


「あついって言ったじゃん」


「ううううう。みっちゃんがいじわるいう」


「俺は愛に熱いからっていったからね」


「でも甘やかしてほしい」


「う~ん。おいで?」


「いいの?」


「いいよ」


「みっちゃんんんんん。よしよしして」


「はいはい。よしよし」


「今日も頑張った!!」


「うん。休み時間も勉強していたし偉いね」


「へへへへ」


今の彼女をもし学校の人がみていたら頭の上には無数の?が浮かんでいることだろう。

学校で才色兼備で完璧な女の子としてみられている嶋野愛は裏ではちょっとポンコツで甘えん坊さんで、実は学校でみんなが見ている愛は裏でこっちの愛が素なのである。

俺も付き合うまでは知らなかったのだが、俺だって表と裏はあるし、誰だって表裏は存在してると思う。

ただ、そのギャップが少し強めなのが嶋野愛なのだ。


「せっかく家に来たんだし、勉強でもしていく?」


「う~ん。勉強するのはいいけど、もう少しみっちゃんの膝の上で休憩」


そういってニコニコしている愛はすごく可愛くて、俺はこっちの愛が大好きである。

直接いうのは恥ずかしいけど。

多分、この可愛い愛を独占していることが世の中の男たちにバレたら刺されるかもしれない。

これも彼氏としての特権として。


「わかったわかった。じゃぁもう少し休憩しようね」


「みっちゃん大好き」


「そんな直球に言われたら恥ずかしいよ」


「いいの本当のことだから」


「でもありがとう」


「みっちゃんが照れた。可愛い」


「それは置いといて、春乃さんとの話し聞こえたけど自転車忘れたの?」


「うん。途中まで自転車押してたんだけど。どこかに忘れたみたい」


「うん???家に忘れたんじゃなくてとこかに忘れてきたの?」


「うん。でも思い出せないんだよね」


「愛ってバカだよね」


「それさくらにも言われた」


「どこまであったのか覚えている?」


「う~ん。コンビニ?」


「ならそのコンビニに忘れてきているんだよ馬鹿!!。今からとりにいってくるから愛はここで待っててね」


「え~みっちゃん一人で行っちゃうの?寂しい」


「一応言っておくけど、愛の自転車だからね。これからは徒歩で通学してください」


「みっちゃん怒っている?」


「怒っていないけど馬鹿だなとは思っている」


「ひどい」


「まぁ帰ってきたらよしよししてあげるから留守番よろしくね」


「はぁい」


そして愛が朝から寄ったコンビニに急いでいき、店員さんに事情を説明して愛の自転車を無事に回収した。

これで分かったと思う。嶋野愛は裏ではちょっと残念なポンコツちゃんなのである。


人間には誰にでも表と裏があると本で読んだことがある。

実際自分自身も表と裏はあると思っている。

他人に対して自分たちが表と思っているだけで、本当はその人の表じゃないこともあるだおる。

例えば俺たちがテレビでみている芸能人が見せている顔は表なのか裏なのか?

アイドルがファンに見せている顔は表なのか裏なのか。。。

それは本人と身近にいる人にしかわからないことだろう。

嶋野愛に対する認識もそうだ。学校に在籍している98%(俺と春乃さんを除く)ぐらいの生徒は嶋野愛は才色兼備の完璧な女の子だと思っている。

しかし今見ているように嶋野愛の才色兼備で完璧な女の子は愛にとっての表じゃなくて裏なのだ。

この認識は仕方がない、今の愛を他の人はみたことがないからだが、気づけば愛のイメージは勝手に才色兼備で完璧な女の子になってしまっているのだ。


2年生の始まりのころの話だ

俺は1年生から同様に教室の隅でボッチで過ごしていた。

ただ、1年生の時と違うとすれば隣に嶋野愛がいたことだ。

最初は心の中でガッツポーズをしたが、話す理由も勇気もないし、教室のでの嶋野愛は話かけるなオーラがすごいのもあり、隣同士で会話することはなかった。

会話することはなかったが、嶋野愛が隣にいることで再認識したのが「嶋野愛に対する周りの過剰な評価」だった。


「嶋野さんって天才だよね」


「嶋野さんが成績悪いところなんて想像できないもんね」


「嶋野さんって一度みただけで暗記してしまうらしいぞ」


これは周りが勝手に思っているだけで、隣にいるからこそわかるが

嶋野愛は天才というよりは努力家だった。

予習復習をしっかりしているし、教科書を読んでいるときも片手にペンを持って大事なところにはマーカーで線を引いている。

こんなことは天才はしないし、一度見ただけで暗記してしまう人はしない。

まぎれもなく才能の天才ではなく努力の天才だと思う。

でもこの「努力」が天才という言葉で片付けられているのは不憫だなと正直思った。

誰しもが他人に評価されるわけではないと思う。事実松岡瑞樹は他人に評価されていないだろう。

全く評価されないのも悲しいかもしれないが、違った方向に評価されているのもどうかなとは思う。


「あの。。。」


珍しく嶋野さんの声が聞こえた。

誰かを呼んでいるのだろう。


「あの。。。松岡くん」


「えっ俺?」


初めて嶋野さんに名前を呼ばれて俺は少し声が裏かえってしまった。


「えっ何?」


「消しゴムが落ちたので取ってくれませんか?」


俺がいろいろと嶋野さんのことを考えているうちに足元に消しゴムが落ちていた。

消しゴムが足元に落ちたことにすら気づいていないぐらい嶋野さんのことを考えている自分がキモかった。


「ごめん。今拾うね」


「ありがとう」


急いで消しゴムを拾うと元々大きかったであろう消しゴムが半分以下まで小さくなっていた。

改めて嶋野さんの努力の量を実感すると、先ほど嶋野愛を過剰評価していた生徒たちに腹がたった。


「なんでそんなに頑張るの?」


思わず嶋野さんに聞いてしまった


「何がですか?」


「隣で見ていて嶋野さんってすごく努力家なのに、それを周りの人たちって天才とかで片付けているでしょう?嶋野さんはなんのために頑張っているのかなって、もし周りの人の評価を裏切りたくないみたいな気持ちで頑張っているなら馬鹿らしいなって」


「馬鹿らしい?」


「もしそうだったらの話だよ?今言われて嶋野さんはどう思った?自分が頑張っている理由について」


「まぁ少しはがっかりされたくないなとは思っているかもしれません」


「それが馬鹿らしいなって思うんだよ」


「なんで関係ないあなたにそこまで言われないといけないんですか」


「それもそうだよね。余計なことを言ったね。ごめん」


嶋野さんに対して「馬鹿らしい」なんて自分らしくないことは重々承知している。

普段の松岡瑞樹だったらこんなことは言わないし、高値の華の嶋野さんに対して陰キャの自分が言ってはいけないことばだろう。

それでも嶋野さんの努力をみたら言いたくなってしまった。

ただ、言ったのはいいが恥ずかしくてこの場から逃げ出したい。


「あなたにはわかりません」


嶋野さんの方から何かが聞こえたような気がした


「あなたにはわかりませんよ」


今度ははっきりと聞こえた


「なにがわからないの?」


「私だって最初は周りに期待されることが嬉しくて頑張ってました。でもずっと頑張っていると、がっかりされることが怖くなるんです。高校生に上がるといつの間にか才色兼備で完璧な女の子というところまで私の評価はあがってしまっていて。自分じゃどうしようもなくなってしまう感覚があなたにはわかりませんよ」


「そうだね。全くわからないね」


「なら馬鹿らしいなんて言わないでください」


「普段ならこんなことは絶対に言わないし、今でも嶋野さんに対して自分が話しているのが不思議な感覚だよ。でもいいたくなったんだよ。嶋野さんの努力は誰が認めてくれるの?」


「何をいっているんですか?」


「他人に期待されることはすごいことだと思う。だからその気持ちに応えたいと思うことも自然なんだと思う。でも、期待に応え続けた先になにがあるの?嶋野さんの努力はいつ認められるの?そういった場所がないといつか疲れてしまうし壊れてしまうよ」


「自分が認められる場所・・・そんなところない」


「そういった場所になれるとは思っていないけど、俺は嶋野さんの努力を本当に認めているよ。普段から予習復習はちゃんとしているし、板書もノートに綺麗にまとめている。大きな消しゴムが半分以下になるまで使っている人の努力を認めないのがおかしい」


「松岡くん。。。」


「だからさ、頑張りすぎなくていいんだよ。途中で休憩することも大事だと俺は思う。きつくなったら弱音を吐けばいいし、疲れた休憩すればいいんだよ。それでまた頑張ればいい。期待されることは幸せなことだし、期待に応えることも素敵なことだと思う。実際期待されるのは一部の人間で、俺みたいな陰キャは特に期待すらされていない。だから嶋野さんはもっと堂々と私は天才じゃなくて努力の天才なんです!!って胸をはっていいんだよ」



「・・・・」


つい勢いで早口で話してしまったが、ちょっとカッコつけすぎたかもしれないとかなり後悔している。

しまも嶋野さんは下を向いて無言になってしまった。

笑いをこらえているのだろうか、それとも陰キャに説教みたいなことされて怒り狂いそうになっているのだろうか。

単純にドン引きしてしまったのだろうか

しかも「君のことをちゃんとみていたよ」発言は普通にキモイ。

これは完全い詰んでしまったのではないだろうか。

幸い放課後でほとんどの生徒が下校や部活動にいっているから教室には人は少ない。


「松岡くん」


嶋野さんが下を向いたまま俺の名前を呼んだ


「はい」


「私とお付き合いしてください」


「喜んで!!!あれ???嶋野さん今なんて言った?」


「私とお付き合いしてください」


「なるほど。。。お付き合いしてくださいね。それって買い物とかに?


「いや恋愛的に」


「本気?」


「本気」


「そうなんだね。。。。えええええええええええええええええええええええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


「嶋野さん一旦整理させて」


「うん」


今起きていることが自分自身が全く整理できていない状態になあった。

あのクラスでもNO1人気の嶋野愛から「付き合って」と急に言われて動揺しない男がいるだろうか

しかも毎日教室の隅で生きているような陰キャ男子生徒が。

これは現実だろうかと思って自分の頬を叩いたりしてみたけど、夢ではないらしい

しかも遊びに行こうみたいなノリではなく恋愛的な意味の付き合ってだった。

松岡瑞樹は高校2年生になって生まれて初めて告白されました。

しかも相手は嶋野愛です。

僕はこのまま死ぬんでしょうか


「松岡くん?」


「嶋野さんがいっていることは理解できたと思う。。。でも俺と嶋野さんってちゃんと話したの今日が初めてだよね。その。。。お互いのこと全然知らないのになんで?」


「私のことをちゃんと見てくれていたし、私のことを認めてくれたから」


「それだけ?」


「あとは直感でこの人好きだなと思った」


嶋野さんが思ったよりも単純な人だったことに驚きつつも、嶋野さんの頬は少し赤くなっていていつものクールな嶋野さんとは別人のような雰囲気になっていた。

それをみたときに「これ本気のやつだ」と整理がついた。


「急に言われて嬉しいよりも驚きのほうが上回っていて整理はできたけど頭では冷静に考えれてないかもしれない」


「そっか。。。」


嶋野さんの表情が明らかに暗くなった。

なんかいつも違う感じで可愛いなと思ったのは内緒である。


「だからさ!!今日の放課後公園でゆっくり話さない?」


今の状況には驚いているけど、断じて嬉しくないわけではない。

だってあの嶋野愛から付き合ってと言われたんだ。

嬉しくないなんて言われたら俺の死後は天国ではなく地獄になるだろう。

公園につくまで少し考えさせてくれる?

もう少し冷静に考えたい。


「わかった。ならA公園に集合ね」


嶋野さんと公園で会う約束をして俺は急いで家に帰り準備をした。

その間に嶋野さんの「付き合って」が頭の中で何度も浮かんできたが

浮かれる気持ちを抑えて冷静に考える努力をした。


「嶋野さんこっち!」


「松岡くんのお家ってこの辺なの?」


「そう。ここから5分ぐらいのところにある。一回帰って私服に着替えてきた」


「ここの公園って人が少ないね」


「この辺も過疎化で小さい子供も減ってお昼はおじいちゃんおばあちゃんのたまり場みたいになっているから夕方は人が少ないんだよ」


「そうなんだね」



。。。。。。。。。


「そ、それで付き合うって話だけど、嶋野さんの中で気持ちは変わっていない?」


正直今でも信じることができてない。

嶋野さんと話してかわかうようなことを言う性格ではなさそうだけど

あの嶋野さんが陰キャに告白するのをそのまま信じるほど、俺の頭の中はお花畑ではない


「うん。私の気持ちは松岡くんとお付き合いしたい」


「そっか。俺も嶋野さんみたいに告白してもらってすごく嬉しい」


「なら付き合ってくれる?」


「でも不安がないわけじゃないよ。だって俺からしたら高値の華だと思っていた嶋野さんから俺みたいな陰キャと付き合うって不釣り合いな部分はあるし、お互いのこともよく知らないし」


「そっか。。。」


嶋野さんが下を向く


「でも!!」


嶋野さんが顔をあげて目があう


「俺は不釣り合いでも、嶋野さんのことを全然知らないけど、これから知っていけばいいのかなと思っている。それに嶋野さんもこれから俺のことを知ってもらいたいと思う」


恋愛は最終的には結婚か別れるの2択しかないとアニメで言っていた。

最初にお互い量思いから始まった恋愛も些細な事で終わりが来ることもある。

俺と嶋野さんの恋愛の始まりは普通の人とは違うのかもしれないけど、それでもいいような気がした。

今現在嶋野さんは俺と付き合いたいと思ってくれている、俺も嶋野さんと付き合いたいと思えた。

結論はこれだけでいい。

そしてお互いがお互いのことを知った時にどうなるのかはそん時にならないとわからない。


「だから俺も嶋野さんと付き合いたいです。よろしくお願いします」


。。。。。。。。


「あの嶋野さん?」


嶋野さんは下を向いて無言になる

あれ、なんか言葉間違えたかな


「み、みっちゃんって呼んでいい?」


「うん。俺のこと?みっちゃんって呼ぶ人はいないけど、嶋野さんが呼びたいように呼んでいいよ」


「私のことは愛って呼んでね」


「善処します」


俺と愛の交際はこの時から始まった


「ふ~~~」


「どうしたの?」


「緊張した?」


「俺も緊張したよ。告白なんかされたこともないし、嶋野さんに急に告白されてどっきりかと思った」


「嶋野さんじゃなくて」


「愛」


「ふふふ」


名前を呼ばれてニヤニヤしている。可愛すぎかよ


「ねぇみっちゃん?」


「なに?」


みっちゃんと呼ばれるが照れくさい


「ぎゅーしていい?」


「いいよ?」


「みっちゃんんん」


「うっ」


一瞬何が起きたのか理解できなかった。

気づけば愛が俺の胸に思いっきり飛び込んできた。

そして俺のぎゅーとしているのがクラスで才色兼備で完璧な女の子と言われている嶋野愛


「みっちゃんよしよしして。私頑張っているの」


「うん。。。よしよし。なんか雰囲気変わった」


「だってみっちゃんと彼氏彼女の関係になったから甘えていいかなって」


「確かに甘えていいけど。ギャップがすごくて」


「こんな私嫌?」


「嫌じゃない。愛は彼氏ができたら甘えるタイプなの?」


「わからない。だって彼氏できたことがないから」


「えええええええ。そうなの?」


「うん。だから私のこといっぱい甘やかしてね」


「努力する」


「どちらかというと本当の私はこっちなんだけどな。おばあちゃんとかにはいつもよしよししてもらっていたし、みっちゃんってなんかおばあちゃんみたいな優しい雰囲気があるから、つい甘えたくなるんだよね」


「そうなんだ。でもびっくりはしたけど、今の愛が俺は好きかな」


「へへへ。これからよろしくね」


このときに初めて表と愛と話したような気がした。

愛と付き合って一番の驚きは意外に「ポンコツ」なところ

すぐに甘えん坊になるし、皿洗いしたら落としそうになるし、洋服は濡れているし、自転車をコンビニに忘れてくるし、靴下が右と左で柄が違っていたりと、他にもポンコツエピソードは多数ある。

今まで自分の中に描ていた「嶋野愛」という女の子のイメージは俺の中で表ではポンコツ裏では才色兼備で完璧な女の子というイメージに変わっていた。

まぁそれでも可愛くいから許せてしまうし、そのポンコですら愛おしく思ってしまう。


それと付き合った時に二人で決めたことだが

俺たちが付き合っていることは基本的には内緒の方向性でいくことにした。

学校の生徒の中で愛はアイドル的な存在で、俺みたいな陰キャと付き合っていることがばれたらどうなるかわからない。

だから学校では嶋野さんと松岡くんで学校の外では愛とみっちゃんで呼び合うことになった。

愛はそれに反対したけど、なんとか納得してくれた。


これが俺と愛が付き合うまでの話である。

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