第10話 護送

戦闘が始まり、エリアスは自身も魔法を駆使して敵を圧倒した。彼の杖から放たれる光が敵を打ち倒し、仲間たちは連携して攻撃を続けた。


エリアスたちが兄弟の捕らえられているテントに近づくと、巨大な魔法生物が立ちふさがった。エリアスは冷静に言った。「これが最後の障害だ。全力を尽くそう。」


巨大な魔法生物は、地面から生えたような石と蔦でできたゴーレムだった。エリアスは仲間たちに指示を出した。


「ルシウス、サラ、防御の魔法を展開してくれ!」


ルシウスは迅速に杖を振り、防御のバリアを張った。「了解、エリアス!これでしばらくの間、仲間たちを守れる。」


サラもまた魔法の盾を作り出し、「これで私たちの後ろは安心だ。エリアス、続けて!」


ナディアは傷ついた仲間たちを癒しながら、エリアスの指示を待っていた。「エリアス、準備はできているわ。いつでも回復させられる。」


カリルとリディアは生物の注意を引くために前に出た。カリルが叫んだ。「こっちだ、化け物!俺たちを追え!」


リディアもまた、矢を放ちながら叫んだ。「カリル、注意を引くのは任せて!エリアス、その間に弱点を探って!」


エリアスは集中し、生物の動きを観察した。「あのゴーレムの核心は胸部にある魔法の石だ。それを破壊すれば倒せるはずだ。」


エリアスは魔法の言葉を唱え、杖から強力な光の矢を放った。その光の矢は正確にゴーレムの胸部を貫き、魔法の石を打ち砕いた。


ゴーレムは大きな音を立てて崩れ落ち、仲間たちは歓声を上げた。エリアスは急いで兄弟の捕らえられているテントに駆け寄り、魔法で鎖を解いた。


「君たちのおかげで救出は成功だ。だが、まだ安心はできない。速やかに撤退しよう。」エリアスはそう言って、仲間たちと共に森を抜け出した。


仲間たちは意気揚々として、簡単な食事を済ませると、エリアスに指示を仰いだ。エリアスは計画を練り上げた後、言った。「あの魔法使いの一団が敵と繋がっているかは分からない。我々が先に動き、兄を救い出すのが最優先だ。ルシウス、余計な調査は不要だ。明日、あの軍官と20人の兵士を妨害してくれ。ただし、命を奪わないように。」


ルシウスとカリルが同意して頷いた。エリアスは続けた。「リディア、ナディア、君たちは直ちに出発し、敵の先頭を追い越し、明朝早くに峡谷の入り口を守ってくれ。東から来る者を全て阻止し、敵を逃がさないように。」


リディアとナディアは応じ、馬に乗って去った。


エリアスはさらに指示を続けた。「サラ、カリル、アスラ、君たちは官兵を引きつけてくれ。フィリップとトーマス、君たちは護衛隊を担当する。レイラと私は支援に回る。何か手が足りないところがあれば、すぐに駆けつける。」


皆が同意し、準備に取り掛かった。エリアスはルーカスに目を向けた。「ルーカス、君には重要な任務がある。準備はできているか?」


ルーカスは叫んだ。「もちろんだ、総隊長!命令を聞かせてくれ。」


エリアスは頷いた。「君には三つの任務がある。まず、この場を守り、官兵が東に向かうのを阻止すること。次に、助っ人が到着したら、すぐに合流させること。最後に、兄を救出した後、彼を安全に護送して天池の魔法使いのもとに送り届けること。」


ルーカスは一つ一つの指示に頷き、喜んで引き受けた。任務分担が完了すると、仲間たちは馬に乗り、ルーカスに手を振って別れを告げた。


エリアスはアンダーソンに尋ねた。「魔法使いたちのテントはどこにある?」


アンダーソンは先導し、川辺に向かった。しかし、そこには広々とした空き地だけが広がっていた。「彼らは一時間ほど前に移動したようだ。」


エリアスは「行こう」と言い、皆で馬を駆けさせた。夜が明けると、小川に到着し、エリアスは言った。「ここで少し休もう。あと一時間で追いつけるだろう。」


皆が休息を取る中、ダニエルがエリアスの馬を借り、偵察に出かけた。エリアスは笑顔で応じた。「もちろん、乗りなさい。」


ダニエルは馬に乗り、先を急いだ。やがて、戻ってきて叫んだ。「鷹爪孫が前方にいる!」


皆が喜び勇み、馬を駆けて前進した。ダニエルはアンダーソンと馬を交換し、アンダーソンは「四爺の車を見た?」と尋ねた。


ダニエルは頷き、「見ました!でも、護衛の者たちが私を罵りました。」と言った。アンダーソンは笑い、「もうすぐ彼らがあなたを褒め称える時が来るわ。」と言った。


仲間たちは全速力で前進し、六里ほど進むと、前方に大勢の官兵と護送隊が見えた。ダニエルはエリアスに言った。「あと六七里で鷹爪と護衛隊に追いつけます。」


エリアスは目配せし、ルーカスとアンダーソンが馬を回し、官兵の進路を遮った。他の者たちは前進を続けた。


アンダーソンは官兵に向かって言った。「皆さん、ここで少し休んでいきませんか?」


官兵は怒ってアンダーソンに鞭を振り下ろしたが、アンダーソンは避け、「低級、呪文というものです。」と笑って言った。その時、護送隊の隊長が進み出て、「我々の邪魔をするな。」と言った。


アンダーソンは笑い、「それなら、私の演奏を聞いてもらえませんか?」と言い、金の笛を取り出した。隊長はその笛に見覚えがあり、驚いて立ち止まった。


アンダーソンは笛を吹き始め、官兵たちは一時休息を取ることになった。その間に、エリアスたちは急いで爪の元へと向かった。

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