第14話 古ぼけた両生類
元は滑らかだったのだろう陶器の動物は、爬虫類というよりは両生類に見える。家の前で拾った古ぼけた両生類の人形を目の高さに掲げる。これの持ち主は死んだのだろうか。死者と生者とそのどちらでもない者たちがさすらう貧民窟には、希望の存在が致命的に欠如している。
「ならば立ち上がれ。呪いの風穴を閉じるのだ」
トカゲともイモリともつかないその人形が、光を発する真っ赤な目で俺を見ていた。
有馬 礼さんへのお題は
【古ぼけた両生類】、【さすらう貧民窟】、【閉じる】です!
予備:【果実】
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