第12話 壊れた月

山がちなこの国は平地が少なく、人々は山肌に張り付くように作られた段々畑に僅かな作物を作り慎ましく暮らしている。それを嘲笑うように火山が時折降らせる灰は、人々の生命線である畑を一晩で埋めてしまう。灰を吸うせいだろうか、いつも胸が苦しい。私は鍬の柄を支えにして息をつく。この世に滅びをもたらすという壊れた月が昇るのを待っている。世界を壊して。私ごと。肉体の、精神の、ありとあらゆる苦しみから私を解き放って。お願い。


有馬 礼さんへのお題は、

【壊れた月】、【段々畑】、【火山】です!

予備:【雲海】

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