第3話 初配信③と大魔法


「それではファンネームも決まりましたし、次は詳しいプロフィールを…」


・<Live:story運営>あの〜…配信時間の方があと少ししか無くてですね…

・あっ…

・oh......


「えっ?!…あっ、本当ですね…」


 時計を見てみると、定められた配信時間が残り少ししか残っていなかった。


・もう時間かぁ…なんか時間経つの早く感じたな

・最初の時間が長かったからな、あれでほぼ使った

・ちょっと短い気もするけど、あくまで初配信って自己紹介みたいな物だしな


「えーっと…どうしましょう…」


 詳しいプロフィール紹介なんて、残り数分で終わる訳ないよ…そう悩んでいると、こんな不甲斐ない私に、永遠とわリスの皆や玄冬さんが助言をくれる


・詳しいプロフィールは公式サイトの方で各自で見るか

・やな

・まぁ仕方ない。

・<武蔵野 玄冬>とりあえず、残った時間で何個か質問に答えるとかが良いんじゃないか?


「質問に答える…ですか。…そ、それで良いですか?運営さん」


 緊張の面持ちで運営さんの反応を待つと…


・<Live:story運営>まぁ、今回はそれで大丈夫です!


「やった!ありがとうございます!」


・やったね永遠乃ちゃん

・喜んでるメルちゃん可愛いなぁ

・<武蔵野 玄冬>孫娘が尊い

・このオッサン孫娘で尊み感じてるぞ

・通報しました。

・<武蔵野 玄冬>なんでや!!


「それでは!残り時間少ないので永遠リスの皆は、何か質問ください!」



 そうして、永遠リス達からの質問を募っていく。


「それでは、目に止まったのから何個か選んで答えていきますね」


【身長と体重は?】


「身長は155.6cm、体重は43kgです!」


・あっ、それ答えるんや

・他のライバーは中々答えてくれないタブーなのに珍しい

・それな


「あっ、そうなんですか?…私は別に気にしませんけど」


・永遠を生きる魔女なのに身長が中学生の平均以下や…

・体重も軽すぎやろ

・まぁでも…小さいよな

・子供体型ってやつだ


「ち…小さくないです!それに子供じゃなくて大人ですから!!」


・ま…まぁ…寿命長いし、もしかしたら成長期がこれから先にあるのかもしれんやん!

・今後に期待…?


「で、ですよね!まだ大きくなりますよね!」


・大人体型のメルちゃんは解釈不一致やわ…

・なんか違うよな

・ドジだけど真面目な女の子って感じ

・めっちゃわかる


「な…なんですかそれ…いつか絶対に大きくなりますから!それに、魔法使えば大きくだってなれるんですからね!」


・魔法使わないとかぁ…

・悲しいね

・自分を偽らなくて良いんだよ


「もーー!!!」



 その流れで、【使い魔ってどんな子?】や、【好きな食べ物】等の質問に答えていくと、遂に配信終了の時間が目前に迫っていた。


「そろそろ終了のお時間なので、次の質問で最後にしますね」


・はーい

・了解だよ

・もう終わりかぁ…


「それでは最後の質問は〜…これ!」


【どんな魔法が使えるの?】


・おっ

・魔女のメルト様らしい質問

・実際どれぐらい凄いんやろな


「使える魔法ですか…色々使えるので、こんなのが使える!ってのは言い難いんですよね…炎とか水、雷を落としたりテレポートしたり…後はさっき言った身体を大きくする魔法とか」


・さすが永遠を生きる魔女

・大体のこと出来るって感じか

・万能魔女とか最強やん

・武将のぎっくり腰も治してやってくれ…


「そうなんです!実は凄いんですよ私!」


 褒められて調子に乗ってしまったメルトは、コメント欄に流れた、[絶対に反応してはいけないコメント]を見つけた…いや、見つけてしまった…



・実際に使ってみてよw



「使ってみてよ…?魔法をですか?」


・あーっ…

・そのコメは別に反応しなくても良いんやでメルちゃん

・そうそう

・魔力勿体ないしな


「いえいえ!ここは私の偉大さを他の永遠リスの皆さんにもわからせてあげましょう!」


・え?

・??

・無理しなくて良いんやでー?



 もう一度言おう、この時のメルトリーゼは、完全に調子に乗っているのだ。


 それは数百年の間、使い魔のキャスパー以外とほとんど会話をしなかったメルトリーゼが、配信で知らない大勢の永遠リス達と会話し、褒められた結果である。



「少しやっていいか確認とるので、ちょっと待ってくださいね」


・?

・なんか電話かけとる

・何か特別な演出あるとか?

・まぁ3期生の最後だしな、何か演出あってもおかしくないな

・流石やなライスト運営



 そしてもう1つ、再認識しなければいけない事が1つある。


 メルトリーゼは本社で、Live:storyの [社長] に会い、「面白いから」と即採用されているのである。


 つまり


 ・<Live:story運営>????


 Live:story内であっても、社長以外には誰もメルトリーゼの [正体] を知らないのだ。



・えっ、運営も知らんの?

・なに始まるんだこれから

・<武蔵野 玄冬むさしの げんと>永遠乃さん…?

・<如月きさらぎ ネコル>えっ、何この展開

・<グリモ・ネクローゼ>えっ、えっ、えっ?

・謎すぎて傍観してた人達まで出てきとる

・3期生が全員揃った!

・まじで何するんやメルちゃん?



「よし、確認とれました!」


・誰に電話してたん??

・てかなにするん?


「ちょっと使っていいかの確認に、Live:storyの社長さんに電話かけてました!」


・社長?!

・<Live:story運営>まさかの上司に確認とられてた?!?!

・草ww

・まぁ運営垢の中の人より確実に立場上だしな…

・それで、なんの確認とってたんだ…?


「えーっと…何処が良いかな…。あっ、玄冬さん少し良いですか?」


・<武蔵野 玄冬>ん…?


「何か起きて、1番話題になるのって何処ですか?できれば急ぎで教えて欲しいです」


・<武蔵野 玄冬>え、えーっと…やっぱり、日本内なら東京とかが1番じゃないか…?人も沢山いるし、一部では日本の首都とも言われてるしな


「わかりました!ありがとうございます!」


・話題…?

・えっ、ホントに何するの?

・<Live:story運営>?!?!?!

・運営もめっちゃ混乱してる?!ww


「安心してください!被害はだしません!」


・<武蔵野 玄冬>えっ、ちょ…もしかして教えちゃダメなやつだったか?!

・もはや何が起きるのか楽しみになってきたわ

・ワイ東京なんやけど何するんや?



「それでは!永遠とわリスの皆さんや、見てくれている方で東京に住んでいる人達!」



・はい!

・<Live:story運営>えっと…一応本社は東京にあります…??

・<武蔵野 玄冬>儂も東京にいるな

・<グリモ・ネクローゼ>私…東京じゃない…

・<如月 ネコル>一応東京ですけど…



「窓の外から、少しの間で良いので空を見てください!」



・空…?

・えっ?

・………?!?!?!




 ───────

(東京住みの、とある永遠とわリス視点)



「空…?」


 休日の夜、今日は自分が推している企業勢のVTuberグループ<Live:storyライブ ストーリー>に新しく参加する、4人の3期生達の初配信をパソコンを使って視聴していた。


 そんな中、最後の3期生である永遠乃とわの メルトの配信を視聴中に、いきなり「東京に住んでいる人は窓から空を見て」という意味のわからない指示をされたのだ。


(空…運営も把握してないみたいだったし、1人で何ができるんだ?)


 そう思いながら、窓から上空を眺めた自分は、そのまま空から視線を動かせなくなった。


 いや、正確に言うなら


「…なんだ…あれ…?!」



 自分の住まう東京の上空に浮かぶ、東京を丸々包み込むかのような巨大な【魔法陣】から、目を離せなくなった。



 …理解ができない。ライトアップ等で上空に何かを移すような技術はあるが、東京を丸々包み込むようなライトアップなんて現実的にできる訳が無い!



 これではまるで……



『…これで私の偉大さが理解できたかな…?それでは皆さん!また、次の配信でお会いしましょう!!ご視聴お疲れ様でした!!』



 …そんな声が背後から聞こえてきて、パソコンの方に振り向く。

 コメント欄は、今の自分と同じように混乱したリスナー達のコメントで埋め尽くされている。



 きっと、この光景を見た人達は誰もが自分と同じ感想を抱いたであろう。




 これではまるで……【本物の魔法使い】ではないか。






 ✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -

 もしも読んでくれた人がいるなら…


 初心者の執筆なので、言葉の違和感や誤字などがあるかもしれません。もし見つけたら遠慮なく指摘していただけると助かります。


 更新頻度も不定期ですが、続きが気になるって思ってくれた人がいれば嬉しいです。


[作者コメント]

 これこそ俺の作りたかった「本物の魔法使いがVTuberになる」です!書いてて凄い楽しかった!!

 東京を包み込む魔法陣でお気づきの通り、メルトリーゼ様は単騎で国を落とすぐらい楽勝な魔法使いです。

 それでも、それをされてしまうと食料調達などが難しくなるため、使い魔のキャスパーが誘導した結果、VTuberになりました。

 まぁ、暴風の魔女が死んだってのも間違ってはないのでね。

 とある戦争で落とされた、あまり名前を言わない方がいい爆弾の着弾点近くで寝てたらしいです。消し炭になりました。



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