第16話モスでまったり

 今日は土曜日、いつものモスへ。今日もどんより曇ってはいるが、雨は降らないらしい。ジョギングしている人をちらほら見かけた。暑くなく、走りやすいのだろう。

 いつもの道をテクテク歩く。すぐにモスに到着。そして、いつものアイスコーヒーを頼み、いつもの席へ。いつもの習慣、けっこう心地いい。

 最近、アイスコーヒーを頼むと、お冷やもつけてくれる。ありがたい。私は読書しながら、コーヒー一杯でけっこう粘るので、お冷やがあるとありがたい。モス、ありがとう。

 さて、タブレットを開いて、最近ハマっている芸人インパルスの板倉俊之さんのエッセイ「屋上とライフル」を読む。これ、本当によく書けたエッセイだ。一話がかなり短いので、いろいろな話を楽しめる上に、ちょっとした世の中の疑問を思い起こさせてくれる。そして、芸人さんらしく笑いも忘れない。今までにないほど、ハマっている。

 すぐに読むともったいないので、一話一話、丹念にじっくりと読んでいく。

 今日は「信念と座り込み」というお題の話。板倉さん、芸人の養成所にいる時に、どうしてもダンスの授業があるのが許せなかった。お笑いにダンスっていらないだろうという正論からだ。

 そしていつもダンスの先生、授業の終わりに「最後に踊りたい人は、この曲に合わせて踊ってね」といって、音楽を流す。

 「踊りたい人は」とは言うが、踊りたくなくても踊らなければならない雰囲気だ。それはかなり空気として決まったような感じ。

 板倉さんはある日、我慢ならず、同期のロバート秋山さんに「俺は踊る必要はないと思うので最後のダンスは踊らないぞ」というと、秋山さんも「俺もお笑いにはダンスは要らないと思う、俺も踊らない」と言ったので、心強い味方を得た。

 でも、いざ最後の曲が流れると、秋山さん、あっさりと板倉さんを裏切り、踊り出す。

 板倉さんのみが、独り、踊らずに、体育座りして、ぽつんと重い空気にうちひしがれる。

 ああ、空気とはあらがいがたいものだ、という教訓のあるお話だった。

 

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