第8話 ロランの努力と才能 トン爺視点

 儂は元賢者、トン・アルキオ。


 今はロランに魔法を教えているただの老いぼれじゃ。

 

 儂は今、魔法を教えているロランの成長ぶりを見てかなり驚いている。

 

 この数ヵ月でロランは上級魔法まで覚えてしまい、今では最上級魔法まで覚えようしておる。

 

 魔法を覚えるスピードが普通よりも少し速すぎるわい。


 最初は会った時は直ぐに努力を辞めてしまうと思ったが、そうはならなかった。

 

 ロランは日々努力を重ねておる。


 それに加え、才能もあると儂は思っておる。

 

 だが一つ気になることがある。


 それはロランの魔力が日に日に上昇し続けていることじゃ。


 これは普通では有り得ない事じゃ、魔法を使うと魔力を消費する。


 その消費した分の魔力が回復するには時間がかかるのじゃ。

 

 しかしロランはその回復スピードが異常に速い。


 まるで魔力を消費した数分後に回復していっているかのようだ。

 

 やはり王族の血が関係しておるのかのう?


 王族は魔力の回復スピードが異常じゃ、それでもロランの回復スピードは異常じゃが。

 

 儂が知っている限りでは、この魔力の回復速度を超える者は見たことが無いのう。


 儂は元々王国の賢者であり、様々な魔術師と会ってきた。


 だがロランほど回復速度が速い奴は見たことがない。


 才能というのは恐ろしいのう。


 だがロランは才能だけでなく、半端じゃない努力もしている。


 なぜロランはあんなに努力を続けられるのか儂は気になっていた。


 だから今日もつい奴に聞いてしまったのじゃ。

 

 何故あれほど頑張れるのかと、するとロランはこう言ったんじゃよ。

 

 俺には推しがいて、それを守る為じゃとな……。

 

 それを聞いた儂は心底驚いたものじゃよ。


 王族の者が、それも第一王子が推しを守りたいからと努力する。


 それは普通では考えられない事じゃ。

 

 だが儂はそれを聞いて納得したのじゃ。

 

 ロランは本気で推しを守る気でいるとな。

 

 だから儂もロランに最上級魔法の《炎竜》を教えることにしたんじゃ。


 魔法とは時に人傷つけて、災厄をもたらすものもある。


 じゃがロランを見ていると、人を守る為に魔法を学んでおると分かった。

 

 じゃから儂もロランを応援したくなったのじゃよ。


 だから儂はロランに《炎竜》を教えることにしたのじゃ。

 

 最上級魔法には必ず大事な人を、そして世界を守る力となるだろう。

 

 儂はそんな世界を守ってほしい。


 そう思いロランには本気で最上級魔法の《炎竜》を習得させるつもりなんじゃよ。

 

 だから儂も全力でロランの修行に付き合うつもりじゃ。


 そして最終的には、あの憎き魔王から王国を守って欲しい。


 そう思っておるわい。

 

 この老いぼれが生きている間に、ロランには最上級魔法を習得してもらわんとのう。


―――



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