第34話 仲間を探す旅のキャンプ

アルトは村を後にし、仲間を探す旅に出た。日が沈むころ、彼は道端にキャンプを張ることにした。夕焼けが空を染める中、アルトは焚き木を集めて火を起こす準備をしていた。


「焚き木をもう少し集めてこよう。」アルトは独り言を呟きながら森の中に入っていった。


森の中は静かで、時折鳥のさえずりが聞こえるだけだった。アルトは乾いた木の枝を拾い集め、腕に抱え込んでいた。その時、地面に落ちている一本の矢を見つけた。


「これは…」アルトはその矢を手に取り、懐かしい記憶が蘇ってきた。


矢の形状や羽根の飾りから、それがシェリルのものであることをすぐに思い出した。シェリルはかつての仲間であり、優れた弓使いだった。


「シェリルとの出会いは忘れられないな…」アルトは火を起こしながら思い返す。


あの日、俺は森で迷っていた。辺りが暗くなり始め、どうしようかと焦っていたところ、突然矢が飛んできて魔物を倒したんだ。その矢の持ち主がシェリルだった。


「大丈夫?」と彼女が木陰から現れ、手を差し伸べてくれた時のことを今でも鮮明に覚えている。


「ああ、ありがとう。君に助けられなければ危なかったよ。」俺は感謝の気持ちで彼女の手を握った。


「森は危険が多いから、気をつけて。私はシェリル。君の名前は?」シェリルは微笑んだ。


「俺はアルトだ。よろしく、シェリル。」俺も微笑み返した。


「シェリルと一緒に過ごした穏やかな日々も懐かしい…」アルトは焚き火を見つめながら続けた。


ある日、俺たちは森の中でピクニックをしたんだ。シェリルは自家製のパンとジャムを持ってきてくれて、俺は自分で釣った魚を焼いた。


「シェリル、このジャム、本当に美味しいね。」俺はパンにジャムを塗りながら言った。


「ありがとう、アルト。これは私の特製レシピなの。ベリーをたっぷり使っているのよ。」シェリルは笑顔で答えた。


「ベリーか…森で採れるんだね。」俺は興味深げに周りを見渡した。


「そうよ。この森にはたくさんのベリーがあるの。今度、一緒に採りに行きましょう。」シェリルは提案した。


「それはいいね。楽しみにしているよ。」俺は頷いた。


「夜の見張りの時も、よく一緒に星を見たな…」アルトはほのかな笑みを浮かべながら思い出した。


夜空に星が輝く中、俺たちは見張りをしながら話をした。


「アルト、夜空の星を見ていると、心が落ち着くわね。」シェリルは空を見上げながら言った。


「本当だな。星はいつも変わらずに輝いている。」俺も空を見上げた。


「私たちもこの星のように、いつまでも輝いていられるといいわ。」シェリルは微笑んだ。


「そうだな。君がいれば、きっとそうなれるさ。」俺は優しく答えた。


「そして、あの魔王討伐の時…あれは一生忘れられない出来事だ…」アルトは火を見つめながら、さらに深く思い返した。


あの日、俺たちは巨大な魔王と対峙した。魔王は圧倒的な力を持っていて、俺たちは全力で戦わなければならなかった。


「アルト、私が隙を作るから、その間に攻撃して!」シェリルは冷静に指示を出し、矢をつがえた。


「わかった、シェリル!」俺は剣を構え、魔王の動きを見極めた。


シェリルの矢は正確無比で、魔王の弱点を的確に突いた。その隙に俺は全力で攻撃を仕掛けた。シェリルのサポートのおかげで、俺たちは見事に魔王を討伐することができたんだ。


「やったな、シェリル!」俺は息を整えながら笑顔で言った。


「うん、私たちの連携は最強だね。」シェリルも笑顔で答えた。


アルトはこれらの思い出を胸に、新たな冒険に向けて決意を新たにした。「シェリル、君の力が必要だ。また一緒に戦おう。」アルトは静かに呟き、決意を固めた。


彼は再び旅の地図を広げ、シェリルが住んでいる森の奥深くへと向かうルートを確認した。アルトの心には、再会への期待と新たな冒険への意志が燃え盛っていた。


こうして、アルトは昔の仲間を訪ねる旅を続けながら、かつての絆と信頼を胸に、新たな使命に挑む決意を固めた。彼の旅はまだ始まったばかりであり、多くの試練と再会が彼を待ち受けている。

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