第15話 遺跡への道のり

朝日が昇り、木々の間から差し込む柔らかな光が、アルトたちの足元を照らしていた。森の中を進む彼らの足音が、静寂の中に心地よく響く。鳥のさえずりと草木の香りが、旅の疲れを和らげてくれる。


「フェリシア、あなたの魔法は本当に助けになるわ。」リナは感謝の気持ちを込めて言った。


フェリシアは微笑み、「ありがとう、リナ。あなたの回復魔法も素晴らしいわ。お互いに助け合って、無事に任務を果たしましょう。」と答えた。


アルトはふと立ち止まり、地図を確認しながら仲間たちを見渡した。「ここから遺跡まではあと少しだ。みんな、疲れていないか?」


エリックは力強く頷き、「大丈夫だ。俺たちならこの道も問題ないさ。」と答えた。


カインは一歩前に出て、「この先の道は少し険しいかもしれませんが、私たちの村のために、どうかよろしくお願いします。」と頭を下げた。


「心配しないで、カインさん。私たちが必ず解決してみせる。」アルトはカインに向かって力強く言った。


道中、アルトたちは互いの話をしながら進んでいった。リナは自分が回復魔法を学んだ経緯や、エリスから受けた指導について語り、フェリシアは自分の師匠から教わった古代魔法の知識を披露した。


「私の師匠は、本当に素晴らしい方だったわ。彼の教えのおかげで、今の私があるの。」フェリシアは遠い目をして話した。


アルトはそんな彼女の話に耳を傾け、「それは素晴らしいことだね。君の魔法がどれだけ役立つか、僕たちも感じているよ。」と感心した様子で言った。


道が険しくなり始めた頃、ついに目的地である遺跡の入口が見えてきた。古びた石の門が立ち並び、その向こうには暗く広がる内部が見え隠れしていた。


「ここが遺跡か…」エリックは剣を握りしめ、慎重に周囲を見渡した。


リナは緊張感を漂わせながら、「何か嫌な感じがするわ。慎重に進みましょう。」と警告した。


アルトは一歩前に進み、「みんな、気をつけて。何が待ち受けているかわからないからな。」と声をかけた。


フェリシアは魔法の杖を握りしめ、「私たちの力を合わせて、封印を強化しましょう。」と決意を込めた。


アルトたちは慎重に遺跡の中へと足を踏み入れた。内部は冷たい空気が漂い、石壁には古代の文字が刻まれていた。どこかから水の滴る音が響き、不気味な雰囲気が漂っていた。


「この文字…古代の呪文だわ。」フェリシアは壁の文字を指差しながら言った。


アルトはそれを見て、「これが封印の鍵になるかもしれない。慎重に調査しよう。」と提案した。


エリックは剣を構え、「俺たちが守るから、フェリシアは呪文の解読に集中してくれ。」と言った。


フェリシアは頷き、呪文を一つずつ解読し始めた。リナは回復魔法を準備し、アルトは仲間たちを守るために周囲の警戒を続けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る