第7話 村の図書館修理

アルト、リナ、エリック、そしてエリスは村の散策中、朽ち果てた古い建物を見つけた。建物の扉は錆びつき、窓ガラスはひび割れている。しかし、扉の上には「図書館」と書かれた看板がかすかに見えた。


「ここは…図書館?」アルトは興味深げに近づいた。


リナは埃を払いながら、「そうみたいね。でも、長い間放置されていたみたい。」と答えた。


エリックは扉を開けようと力を入れ、「古いけど、まだ使えそうだな。ちょっと修理が必要だけど。」と言った。


エリスは中を覗き込み、「古い本がたくさんあるわ。この図書館を修復して、再び使えるようにするのはどうかしら?」と提案した。


アルトは頷き、「いい考えだ。村のためにもなるし、僕たちの新しいプロジェクトとしてぴったりだ。」と賛同した。


アルトたちは図書館の修理計画を立てることにした。エリスは魔法の力を使って一部の修理を手伝い、リナは本の整理と修復を担当する。エリックは大工仕事を引き受け、アルトは全体の指揮を執ることになった。


「まずは必要な材料と道具を揃えないとね。」アルトはリストを作成し始めた。


「私も手伝うわ。」エリスは微笑みながら魔法の杖を取り出した。「魔法で壊れた棚を修復するわ。」


リナは本を一冊手に取り、「この本、修復が必要ね。特別な薬草で紙を強化できるわ。」と話した。


エリックは大きなハンマーを見せながら、「俺が家具の修理を引き受ける。頑丈な棚を作ってやるぜ。」と意気込んだ。


アルトたちは協力して図書館の修理を進める。古い本を修復し、壊れた家具を直し、図書館全体を掃除する。村の子供たちも手伝いに来て、図書館は徐々に元の姿を取り戻していく。


「リナ、これで本は大丈夫?」アルトが修復した本をリナに見せる。


「完璧よ、アルト。これで保存状態も良くなるわ。」リナは笑顔で答えた。


エリックは棚を修理しながら、「新しい棚も作ったぞ。これで本もたくさん収納できる。」と誇らしげに言った。


エリスは魔法で天井の修復を手伝い、「これで雨漏りの心配もないわ。」と微笑んだ。


修理作業の合間、アルトはふと幼い頃の記憶を思い出した。彼が初めて図書館を訪れたのは、まだ異世界に来る前の少年だった頃。市内で最も大きな建物の一つで、知識と冒険の宝庫だった。毎週のように通い、新しい本を見つけては夢中で読んだものだ。


「たくさんの本を読んだな…。あの時の興奮と驚きは今でも忘れられない。」アルトはしみじみと語った。


リナは興味深そうに、「どんな本を読んでたの?」と尋ねた。


「冒険物語や魔法の本が多かったね。あの頃から、いつか自分も冒険者になりたいと思っていたんだ。」アルトは懐かしげに微笑んだ。


図書館の修理が進む中、エリスは本棚の整理をしていると、一冊の古い本の間から写真が落ちてくることに気づいた。それは、エリスが幼い頃、師匠と共に写っている写真だった。


「これは…」エリスは写真を手に取り、懐かしさとともに胸が締め付けられる思いを感じた。


「どうしたんだい、エリス?」アルトが声をかけた。


「見て、これ。私が小さい頃の写真よ。師匠と一緒に写っている。」エリスはアルトに写真を見せながら説明した。


「懐かしいね。君が魔法を学び始めた頃の思い出が蘇るだろう。」アルトは優しく微笑んだ。


エリスは写真を見つめながら、「でも、どうしてこの村に私たちの写真が…」と不思議に思った。


その時、エリスはさらに一冊の古い魔法書を発見した。表紙には見覚えのある印が刻まれていた。「これは…師匠の魔法書?」


エリスが魔法書を開くと、突然、光があふれ出し、師匠の幻影が現れた。師匠の姿は穏やかな笑顔を浮かべていた。


「エリス、私の弟子よ。この魔法書はお前がここを訪れることを知って用意しておいたものだ。」幻影は静かに語り始めた。


「師匠…!」エリスは涙を浮かべながら幻影を見つめた。


「これからの冒険で、この魔法書が役に立つだろう。お前の成長を信じている。そして、この村で見つけた写真は、お前がここに来る運命だったことを示しているのだ。」師匠の幻影は続けた。


「ありがとう、師匠。私はあなたの教えを胸に、これからも頑張ります。」エリスは感謝の言葉を述べた。


幻影は微笑み、「私の教えを忘れず、前に進むのだ。お前ならきっと大丈夫だ。」と言い残し、光と共に消えていった。


図書館の修理が完了し、再オープンの日がやってくる。村の人々が集まり、新しく生まれ変わった図書館を見て喜ぶ。アルトたちは村人たちに感謝の言葉を述べ、図書館が再び村の知識と文化の中心になることを宣言する。


「皆さん、今日からこの図書館は再び開かれます!」アルトは村人たちに向かって声を上げた。


村人たちは拍手と歓声を上げ、図書館に入っていく。子供たちは新しい本を手に取り、興奮した様子でページをめくった。


アルトは幼い頃の自分を思い出しながら、微笑んでいた。「この図書館が再び活気を取り戻すのを見ると、子供の頃に戻ったような気持ちになるよ。」


リナは彼の横に立って、「あなたがこの図書館にどれだけの思い出があるか、少しだけ理解できる気がするわ。」と優しく言った。


エリックは棚を修理しながら、「新しい棚も作ったぞ。これで本もたくさん収納できる。」と誇らしげに言った。


エリスは魔法で天井の修復を手伝い、「これで雨漏りの心配もないわ。」と微笑んだ。


図書館の再生を通じて、アルトたちの絆がさらに深まり、村全体の結束も強まる。エリスも村の一員として受け入れた。


「エリス、本当にありがとう。君のおかげで図書館が復活したよ。」アルトは感謝の言葉を述べた。


「私も皆さんと一緒にできて嬉しかったわ。これからも力を合わせましょう。」エリスは微笑んだ。

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