強くなる

スバル

第1話

 9時20分当駅始発、JR北陸本線新快速大阪行きの先頭車両に乗車した。空いている席がなかったのでドア付近の補助座席を倒して座った。本当は電車の真正面から見える景色を運転手の後ろの窓ガラスにへばり付いて見たかったが、私の後ろに並んでいた少年たちが真っ先に電車に飛び乗ってその特等席を占領したので、譲ることにした。

 この手の補助座席の注意事項にはよく「混雑時など時間帯により、補助座席はご利用できません。」と書いてある。今は立って乗車している人があの少年たちしかいないので明らかに「混雑時」ではないが、立っている人がある程度の数いる時にこの補助座席を倒すか倒さないか迷う。「混雑時」の解釈は人によるので具体的に「立って乗車している人が◯人以下のときは、この補助座席を倒して座って良いです。」と書いてほしいと思う。

 そんなことを細かいことを考えられないほど今日は幸運な快晴である。いや〜、やっぱり天気がいいのは最高だなぁ!今日は一人旅。昨日急に旅がしたいと思い立っていろいろ調べていたら京セラドームで中日ーオリックス戦が開催されるとのことで、即チケットを買って今に至る。試合の結果を毎日チェックする程度ではあるが、私は一応中日ドラゴンズのファンなので、今日のファッションは紺色のトレーナーにジーンズ。青系で揃えてみた。

 お金は「使うもの」か「貯めるもの」か、という問題をよく考える。最近の私のトレンドは「使うもの」派である。貯金が全然貯まらない、と嘆くよりは考えずに使ってしまって「たくさん使っているから貯まるはずがない」と割り切った方が楽しいはず。また、日々の生活に疲れて落ち込んで悩むという心の問題をお金で解決できるならお金は使った方がいいかな。

 大きく息吸って、息吐いて、目を閉じて、ゼロになって、風を感じて、陽の温もりを感じて、鼓動を感じて、目を開けて。みたいなことだけでは全然解決できない。お金を使うなりなんなりして外に出て新たな刺激を受けた方が気分転換になる。時間は進んで止まらない、あっという間に過ぎ去ってしまう。追い越すことはできないけれど自分にとって少しでもいい時間を過ごすために心の底で眠っているワガママを解放する。

 こんなことをボーっと考えていたら「The next stop is Kyoto.」

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