第49話 安全を脅かされる(知恵編)
お金だけが唯一の価値だった男は、退職勧告をされているかな。牛乳を飲みながら、そのようなことを考えていた。
家庭にお金を入れない、嫉妬深い、プライドは高い、アルコールで酔いつぶれる、無駄づかいの神様のような男といられたのは、お金の存在があったから。それを失えば、人間的価値をすべて失う。
「ガッシャーン」
激しい音のする方向に視線を送ると、窓ガラスを割られているではないか。器物損壊罪として、すぐに警察に連絡しようと思った。他人の家のものを破壊する輩は、きっちりと罰を受ける必要がある。
警察に電話をしようとするも、スマホを操作する手はストップした。マスコミが駆けつけた直後に、通報するのは自爆行為になりかねない。ほとぼりがさめるまで、そっとしておいたほうが無難である。
窓の割れたほうから、心無い罵倒が浴びせられる。
「ご飯を食べさせない狂気女」
「お前も水を飲まずに生きてみやがれ・・・・・・」
割られた窓の隙間から、爆竹らしきものが投げ込まれた。身の危険を感じ、安全なところに避難する。
「子供の身は守らないくせに、自分の身はしっかりと守るんだ。おまえの思考回路は、自己中心的すぎるぞ」
「そうだ、そうだ。おまえも同じ目にあえばいいんだ」
「子供の傷に比べたら、やけどするくらいどうってことないだろ」
仕返ししにくいのをいいことに、こちらに集中砲火を浴びせてくる。こいつらのやっていることは、人間としてあるまじき行為だ。
退職推奨を受けたのであれば、すぐに家に戻ってこい。命を失ったとしても、妻の身を守りやがれ。保険金はたんまりかけてあるから、誰かに殺されればたくさんのお金をもらえる。
アルコールを飲ませるといって、致死量の塩分もしくは糖分をとらせるのはどうか。事情聴取を受けたときには、会社を解雇されたことによる自殺だと伝えておけばいい。
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