193.秘書秘書話

「エルフが出掛けるのなら、先に伝えるとするかの」

「ん?」

「ワシはエルフに伝言を頼まれておってのう」

「伝言?」


上位チャット:誰から?

上位チャット:どんな風に?

上位チャット:結婚の申し込みを?

上位チャット:エルフさんは俺の嫁だけど?

上位チャット:違いますぅー。俺の彼女ですぅー

上位チャット:いや、俺の妹だから

上位チャット:俺の母だし

上位チャット:また視聴者の家系図が複雑になってる


「瀬貝さんからじゃな」


上位チャット:秘書さん?

上位チャット:エルフに自信ニキ社長の女秘書さんか

上位チャット:ってことは、2.5Dの業務関係?


「うむ。エルフに《2.5D》のオンラインストレージにアクセスするための権限を付与するので、ファイルを確認してもらいたいのじゃが……そう言われても、パソコンを使い慣れてなければわからんじゃろ」

「ん」


上位チャット:なんて???

上位チャット:済まねえ、数学は苦手なんだ

上位チャット:俺とは音楽性が違うな

上位チャット:体育は逆上がりで挫折しました

上位チャット:お前らw

上位チャット:もうちょっとくらいかすらせていけ


「要は『酒呑幼子しゅてんようじに受け取り方の説明をさせるから、昨日のコラボを編集した動画を見てほしい』ということじゃ」

「わかった」


上位チャット:って、もう動画できたの?

上位チャット:早くない?

上位チャット:昨日の今日だよね?


「全編ではないのう。初戦の練習試合の様子をまとめたものよ。このまま進めていいかのチェックなのじゃ」


上位チャット:なるほどー

上位チャット:それでも大分仕事早いけど

上位チャット:てか、動画は2.5Dに任せたのね

上位チャット:初めての動画だよね

上位チャット:不安はないの?


「エルフに自信ニキだから大丈夫」


上位チャット:厚い信頼を感じる

上位チャット:これが人望か

上位チャット:エルフさんは2.5Dの動画見たことあるの?


「ない」


上位チャット:厚い信頼だけを感じる

上位チャット:これが人望か?

上位チャット:技術面も確認してから任せてw


「エルフに自信ニキはヨーキたちが大好きだから大丈夫」

「なんじゃ、その根拠は?」


上位チャット:エルフさんがまたちょっとわからないことを言い出したぞ

上位チャット:もう少し解説くださーい


「大好きだから、ヨーキたちができるだけ格好よく映るよう頑張るはず」

「ふぐっ!?」


上位チャット:あーね

上位チャット:なーるほーどー

上位チャット:ほほーう

上位チャット:照れる幼女……いい……


「お主……いや、もう……こんなの、照れずに済まんじゃろ……」


上位チャット:それがし、大興奮!

上位チャット:貴重な照れ照れで真っ赤な幼女が見れると聞いて駆けつけましたぞ!

上位チャット:幼女、こっち向いてー

上位チャット:ほらほら幼女ー

上位チャット:三国一格好よく映ってる幼女を見ましょー

上位チャット:鬼の首を取ったようにw


「社長の好意を否定はせんが、エルフの推測にはひとつ誤りがあるんじゃからな?」


上位チャット:お?

上位チャット:何か違ったの?


「動画を編集しとるのは社長ではなく、瀬貝さんじゃ」


上位チャット:え、秘書さん?

上位チャット:秘書さんは秘書じゃないの?

上位チャット:動画編集秘書?


「ついでにいうと、瀬貝さんはワシらの担当マネージャーでもあるのじゃ」


上位チャット:秘書さん、秘書じゃなくてマネージャーなの?

上位チャット:動画編集抜けてる

上位チャット:もう何がなんだかw


「《2.5D》は大所帯ではないからのう。いろいろ兼任しとって、ワシも多方面で世話になっとる。瀬貝さんには頭が上がらんのじゃ」


上位チャット:でも、幼女は秘書さんと間違ってエルフさんに飲み物くれって言ってましたよね?

上位チャット:アゴで使ってて草

上位チャット:あったなぁw

上位チャット:エルフさんと初めて遭遇した時か

上位チャット:ミソラ汁を飲まされた時ですね


「いや、違うんじゃよ。本当に違うんじゃよ。《2.5D》で配信しとると、瀬貝さんが絶妙なタイミングで差し入れしてくれるんじゃよ」


上位チャット:秘書さんが秘書してる

上位チャット:動画編集秘書マネージャー秘書

上位チャット:幼女が堕落してることには変わりがないのでは?

上位チャット:それな


「さあ、エルフ! 動画ファイルを確保するのじゃ! やり方を言うからよく聞くのじゃぞ!」

「ん」


上位チャット:誤魔化したw

上位チャット:何かしてもらったら、ちゃんと目を見てお礼を言いましょう

上位チャット:ハイ

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