Theory
ファンタジーを見ると酷いリアリストになってしまうのは何故だろうか。
妬みなのか羨ましさなのか、複雑であるゆえに答えを出すことは難しい。
ただ激的にアンチテーゼを並べたがるのはなし得ないものを得たがる人間の性であろう。
小説や絵本の色の塗られた世界を見たあと現実を見てため息をつく。
文字に踊りだせば美しい高台からの景色も、中身を見ればただの疲労と哀愁を感じる都市だ。
ビル群は灰色に塗られ、些かも活気があるように感じない。
だが長い年月をかけてここまで成長し、今も存在するということはこれこそが秩序なのだろう。
ファンタジーは無秩序が生む物だ。
秩序に飽き足りた何かが衝動的に現し世から分離した無秩序を描きたがる。
そしてそれに群がるのも秩序に飽き足りた何かだ。死体に近い。
死体は生をもとめ彷徨うのだろうか。
秩序は生ではないのだろうか。
バイロンのあの言葉は所詮セオリーだったのだろうか。
文字を書き続ける手を鎖で止めてもこの問いに応えはない。答えがないということだろうか。
ただ雨の日に雨のように溢れ出す疑問に私は溺死しつつあった。
出かかっていた結論は水性インクであったためか、溶け出しにじみ、やがて読めなくなった。
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