第64話 お掃除後ですが、なにか?

「お掃除おわりっと……♡」


 私はニッコリと笑みをみせながら、仰向きにさせたしどー君の下半身から離れる。

 口の中が粘ついているが、慣れたものだ。

 こればかりはしどー君と付き合う前からやっている。


「流石にもう出ないわよね」

「出ない出ない」

「浮気棒の癖に余裕あるわね……このこの」


 っと、ペシペシッと軽く人刺し指で叩く。

 するとしどー君がビクンと全身で跳ねる。


「やめろ、初音。

 絞られすぎて痛い。

 それにだ、僕は家に帰ったさんの初物を破っていないし、ペッティングしてただけだ」

「ふ~ん、こんだけ出しといてそんなこというんだ。

 浮気の定義なんてのは、された方が決めるのよ」


 縛ったゴムを手で持ちながら見せつけて言ってやる。


「いつもより多くない?

 インモラルよね、妹で溜めたテンションを姉で発散するとか……全く。

 だったら妹で発散すればいいのに」


 妹のために挑発しておくと、頭を抱えるしどー君である。


「とはいえ、妹で貯めたゲージを私が奪うシチュエーションと考えたら、疑似寝取りみたいな感じで燃えたわね。

 逆に妹がこんだけゲージを溜めたと思うと悔しい反面でどんだけ私でゲージを溜めれるか競いたくなったし」


 えへへ、ちょっと発想がレディコミよりでヤバいかもしれない。

 さておき、


「誠一君は何で、妹にデコキスしたの?」


 あえての名前呼びだ。

 問いただす必要があると、私は裸のまま、誠一君を下にしてマウント状態を取る。

 すると、彼は私の膨らみを触ろうとするので。


「おあずけ」


 ペシっと手をはたいておく。

 とはいえ、軽くであり、彼も悪戯がバレた子供のように苦笑いを浮かべてくれる。


「……治療の目線もあった」

「ふむ?」


 意外な単語が出てきたので、続けろと目線で伝える。


「駅近くで燦を見つけた時、既に危険な状態だった。

 足元はおぼつかないし、車道に出そうにもなっていた。

 僕が拾えたのは幸運だった」

「……重症ね。

 発散させるためならしかたないかなー」


 ため息一つ。

 私はそんな状態になったことが無いので、想像しか出来ないが、マジメガネがすぐ対処すると判断したのだ。

 それほど、重症だったのだろう。


「初音を待たなかった理由は、さんと二人プレイした時にどんな反応を示すか、て見たかったのもある。

 何というか飼っていた犬っぽかったが」

「ワンワン。

 初音にかまってワン」

「初音は犬というか、発情兎っぽい」


 言われ確かにと思う。

 私は寂しくて死んでしまうが、自分から構って構ってと走り回るタイプではない。


「で、話を戻すと。

 結論、ちゃんと発散させてやると、戻ることは判った。

 帰り、色気抜けてたろ?」

「確かに」


 思い返せば、ちゃんとした足取りで家に帰って行った。

 流石に下着は取り換えさせたが、あれなら痴漢に会うことも無いだろう。


「自分でやる時は中途半端に止めてるみたいなのもいけない感じかな……。

 三人の時もそこまで燦に集中出来るわけでもないし」

「成程……で、それを知るためにいかせまくりでリビングが酷いことになる訳よね?

 ええ、大変だったわよ」


 いたるところに液体が飛び散っている惨状が帰宅した私を襲った。

 私がやるときはちゃんと考えているというのに、これだから元童貞と処女は……と憤ってしまった。

 全くもって、後片づけするぐらいの余裕は持てというのだ。

 とはいえ、平日の夜に帰さないのはマズい。

 姉ぇの仕事だと割り切るし、そもそもに私が妹にしどー君との情事を見せたのが根本的な原因だ。

 それに関しては責任を感じるので仕方ないとも思う。


「ありがとう、初音」

「そこで謝らずにありがとうが出てくるのがしどー君よね」


 慣れたものである。

 しどー君としては間違っていないと思っているのだろうし、実際、間違っているとも思えない。

 

「まぁ、僕としては初めての患者扱いでもあるな……」

「……あんな妹が初めてなのはどうかと思うけど。

 内科? 精神科? 産婦人科?」

「どうなんだろ」


 とはいえ、


「そしたら治療という名目で精神棒刺してあげたら?

 レディコミみたいに」

「……言葉の意味は判らんが、言わんとしている意図は伝わった。

 流石に正義の題目を掲げるとかのレベルを超えているぞ?」

「ストーカーはしてたのにねぇ」


 嬉しさ半分、意地悪半分のニヤニヤでしどー君を観る。

 

「あれは初音のことが好きで止まらなかったんだよ……」

「しってるー♡」


 っといいつつ、ぽふっとしどー君に体を重ねながら布団を羽織る。

 とはいえ、これ以上、やるつもりはない。

 触るとしても、優しく、コミュニケーション程度だ。

 しどー君も軽く私の自慢、胸元の膨らみを触ってくる。


「やっぱり初音の方は張りがあって、弾力を返してくれる」

「妹と比べられるのは微妙な感覚ね。

 とはいえ、姉妹丼を味わえるなんて贅沢者め」

「傍から見たらそうなんだろうか……。

 そうなんだろうなぁ……初音の事だけでもホントにそれを自覚、いや他覚させられる」


 しどー君が考えている理由は判る。

 私の事で、クラスメイトのオタクグループから軽く村八分されているのだ。

 とはいえ、ふざけ合いなので、ガチではない。ガチだと委員長がうごく。


「本当に恵まれてると思う、僕は」

「えへへ♡」


 ぎゅっと離さないぞと抱きしめて示してくれる。

 その胸に真っ赤になった顔を隠すようにうずめる。


「私もホントに恵まれてるわよ。

 こんな風に好きな人とピロートーク出来るなんて♡」

「初音……」


 そして顔だけを布団から出して、しどー君に乙女になった私を見せる。

 すると、そのオデコにキスをしてくれるので、嬉しくなる。


「少し常識を外そうと思っている。

 というか、外した」

「へ?」


 しどー君が真剣な表情で言ってくる。


「出来るだけのことはしてやりたい、そう僕が思ったんだ」


 真剣な眼差しがカッコいい。

 言ってる内容はどうかと思うが、


「そもそも真面目過ぎるのよ、しどー君は。

 そういう所が好きなんだけど♡」

「初音のお陰で柔らかくなった自覚はあるけどな」

「まだまだよ、まだまだ。

 マジメな顔で常識を外そうとしてる時点で、ね?」


 しどー君の鼻をツンと、人差し指ではじく。

 

「私は応援するわ。

 したいようにしていいのよ?

 妹の件は嫉妬してネタにするけど、私はちゃんと妹のことも考えてくれる誠一君も好きよ?」

「……ありがとう、初音」


 感謝を示すようにチュッと軽いキスをしてくれた。

 嬉しくなった私は、お返しにと身を寄せてあげるのだった。

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