【完結】魔術師、令嬢、忍者、陰陽師、アイドルが共闘し、異星の脅威に立ち向かう友情と絆の物語。
湊 マチ
第1話 闇の目覚め
白百合女子高校の昼休み。校庭のベンチで三田村香織は一人静かにランチを楽しんでいた。香織は内向的で目立たない存在だった。友人も少なく、大半の時間を読書や考え事に費やしていた。彼女の黒くて肩までの長さの髪が風になびき、大きな目が静かに景色を眺めていた。
今日もいつも通りの昼休みを過ごしていると、突然、空から何かが落ちてくるのが見えた。香織は驚いて目を凝らした。
「えっ、何あれ…?」
その物体はベンチの真ん中にバサッと音を立てて落ちた。香織は恐る恐る手を伸ばして、それが何であるかを確かめた。それは古びた革装丁の本だった。
「こんなところに本が降ってくるなんて、どこのファンタジーだよ…」
香織は不思議な気持ちでその本を手に取った。表紙をめくると、内部には古代の文字がびっしりと記されていた。読み進めると、突然、本から黒い霧が立ち上り、香織の周囲を包み込んだ。
「ちょっと、何これ?もしかしてドッキリ?」
霧の中で彼女の体に奇妙なエネルギーが流れ込むのを感じた。目を開けると、周りには再びいつもの景色が広がっていたが、香織の手には不思議な力が宿っているのを感じたのだ。
「夢…じゃないよね?まさか本当に魔法…?」
翌日、学校ではいつも通りの生活が始まった。しかし、香織の心は騒然としていた。新たに得た力を試してみたい気持ちと、その力がもたらすかもしれない危険への不安が交錯していた。
そんな中、クラスメートの清海果耶が声をかけてきた。果耶は明るく元気な性格で、香織の数少ない友人の一人だった。彼女の髪は茶色でショートカット、いつも笑顔を絶やさないその姿は、学校の人気者でもあった。
「香織、昨日の宿題見せてくれない?どうしても分からないところがあるんだ。」
香織は頷きながら、ノートを取り出した。その瞬間、彼女の指先から小さな黒い火花が散った。果耶は驚いて目を見開いたが、すぐに笑顔で言った。
「わあ、何それ?新しいトリック?まさか、放課後にマジックショーでも開くつもり?」
香織は戸惑いながらも、力を隠すことを決意した。だが、その日から次々と奇妙な出来事が起こり始める。いじめっ子たちが突然怯え出したり、壊れた物が瞬時に修復されたりと、香織の周囲は非日常に包まれていった。
ある日、香織は学校の屋上で一人瞑想していると、ハイテク企業の令嬢である月影麗奈が現れた。麗奈は長い黒髪をツインテールに結び、冷たい視線を向けて言った。
「あなた、何か隠してるわね。私には分かるの。新しいスーパーパワーでも手に入れたのかしら?」
香織は動揺しながらも、強い決意を感じた。麗奈との対立が始まる予感がする中、彼女は自分の力をもっと知り、コントロールする方法を学ぶ必要があることを悟った。
その夜、香織は再び魔法書を手に取り、さらに深いページを読み進めた。彼女の前に待ち受ける運命と、次々と現れる新たな仲間たちとの出会いを予感しながら、香織の闇の力が目覚め始めた。
### 次回予告
次回、第2話「光と影の邂逅」では、新たな仲間たちとの出会いと、麗奈の真意が明らかになります。香織は果たして自分の力をコントロールできるのか?そして、忍者一族の秘密とは?次回もお楽しみに!
香織:「何でこうなるの…?」
果耶:「ま、いいじゃん!面白いしさ!」
**作者より**
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