第10話 批判と反響

大樹、夏美、山田亮太による記者会見で、新京都庁の不正が明るみに出たその後、街全体が大きな波紋を広げていた。市民たちは驚きと怒りで報道を受け止め、選挙戦の流れが一変していた。


その頃、竹内孝志は自身のYouTubeチャンネルで連日動画をアップロードし、選挙戦に対する批判を続けていた。竹内は一貫して都庁の腐敗を非難し、「都庁をぶっ潰せ!」というメッセージを強調していた。


「皆さん、こんにちは。竹内孝志です。今日も不正にまみれた新京都庁についてお話しします」と、竹内はカメラに向かって話し始めた。


彼の動画は、市民の間で瞬く間に話題となり、再生数はうなぎのぼりに増えていった。竹内のカジュアルなスタイルと直接的な言葉は、多くの市民に共感を呼び起こしていた。


「こんな腐敗した政治を続けていては、私たちの未来はありません。小杉百合江と岩田真一がどれだけ悪事を働いてきたか、皆さんも知っているでしょう。私たちは立ち上がる時です!」と、竹内は熱く訴えた。


「彼らは私たちの信頼を裏切りました。これを許してはいけません。都庁を一新し、クリーンな政治を取り戻すために、皆さんの力が必要です!」と、竹内は続けた。


竹内の動画は、市民たちの間で拡散され、コメント欄には彼の訴えに賛同する声が溢れていた。


「竹内さん、応援しています!」

「今こそ変革の時だ!」

「私たちの未来を守りましょう!」


一方で、小杉百合江と岩田真一は、急速に悪化する状況に対処するために動いていた。小杉は岩田を呼び出し、今後の対策を練るために密談を始めた。


「岩田、これ以上のスキャンダルは避けなければならない。私たちの立場が危うくなっている」と、小杉は焦りを隠せずに言った。


「申し訳ありません、小杉さん。しかし、まだ手はあります。これから反撃の準備を進めます」と、岩田は冷静に答えた。


「具体的にはどうするつもりなの?」と、小杉は苛立ちを隠せずに言った。


「まずは、証拠の信憑性を疑わせる情報を流します。次に、告発者たちを法的に追い詰め、彼らの信用を失わせる作戦を展開します」と、岩田は計画を説明した。


「それで本当に収束するのか?」と、小杉は不安そうに尋ねた。


「必ずやり遂げます。新京都の未来は私たちの手にかかっていますから」と、岩田は自信を持って答えた。


一方、白鳥蓮花は即座に街頭演説を行い、「不正を許さない!透明でクリーンな政治を実現しましょう!」と訴えた。彼女の言葉は多くの市民に響き、支持率が急上昇した。


神丸伸也もまた、「時代を動かすために、私たちは変わらなければなりません」と演説し、支持者たちの期待を背負った。


ドクター浜松も独自の発明とクリーンな政治を強調し、科学技術を駆使した未来像を描いた。


竹内孝志のYouTubeチャンネルの影響力は日に日に増していき、彼の批判動画は再生数を伸ばし続けた。竹内の言葉に共感する市民たちは、彼の訴えに応える形で行動を起こし始めた。


---


その夜、テレビでは桜井ゆいが司会を務める選挙特番が放送されていた。彼女は、選挙の最新情報とAIによる予測を視聴者に伝えるため、明るく元気な笑顔で画面に登場した。


「皆さん、こんばんは!桜井ゆいです。今日は、選挙特番『新京都の未来を決める戦い』の続報をお届けします。AIによる選挙予測も更新されましたので、早速見てみましょう!」


画面が切り替わり、候補者ごとの支持率がグラフで表示された。AIシステム「PollStar」は最新のデータを基にした予測を示していた。


「現時点での予想では、小杉百合江氏の支持率が急落し、22%になっています。代わって白鳥蓮花氏が30%でトップに立っています。竹内孝志氏も25%で急上昇中です。神丸伸也氏が14%、ドクター浜松氏が9%となっています。」


「特に、竹内氏のYouTube動画の影響で支持率が急上昇しているのがわかりますね。市民の関心が非常に高まっていることが伺えます。」


「この予測がどこまで正確になるか、これからの選挙戦も目が離せませんね!皆さん、ぜひ注目してください!」


桜井ゆいの明るい解説は、視聴者たちに希望と期待を与えた。選挙戦はますます激しさを増し、光が影を照らし、真実が闇を暴くその時、新京都の未来は大きく変わろうとしていた。選挙戦の行方は誰にも予測できず、街全体がその結果を固唾を飲んで見守っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る