第5話 到底無理な仲直りの会。

田村大地は謝らない。

そしてキレた雨空晴は田村大地を殴った。


もうここで良いじゃないか。

手打ちにしようじゃないか。


そんな狭山夫妻の思いを周りはことごとく台無しにする。


今回、付き合う事となった渡辺と宮田、その後に続きたいメンバーはもう一度会う理由が欲しい。


渡辺と宮田は、もうゴールインを目指していて、自分達の結婚式に遺恨はいらない。今終わらせてくれ。

その思いで、もう一度、今度は狭山夫妻も同席して欲しいとなる。


本来、二次会で騒ぎを起こされた被害者の立場である狭山夫妻なのだが、何故か迷惑をかけた側の人間として仲裁をする羽目になる。


何故他の家はフェードアウトできたのに、ウチはダメなんだと言いたくなるが、様々な思惑が飛び交っていてどうしようもない。


もう切るなら全員を切るしかなくなってしまう。


夫婦になって最初の話し合いが田村大地なのはどうなのか?

ふたりして思いながら肩を落とし、とりあえず最初は何があったかを聞いた。



聞いて頭を抱え、肩を落とす。

とりあえず金曜日のタイトルからして頭が悪い。


「田村大地、雨空晴、仲直りの会」だった。


だが、そもそもに問題がある。田村大地も雨空晴も仲直りを希望していない。

プライドを傷つけられた田村大地は雨空晴に会いたくない。

雨空晴も謝罪の一つもできない田村大地に会いたくない。


それなのに仲直りの会と銘打っていた。

それに関しては脳内お花畑になった渡辺咲良と宮田蓮に問題がある。


前回の二次会で仲良くなったが、2人きりで会うにはまだ早く感じていて、そんな2人からしたら今回のトラブルはありがたい限りで、お互いに「このままだと渡辺さん(宮田さん)に会えなくなるから手を貸して欲しい」と言っていて、残りのメンバーも「俺たち(私たち)も、渡辺(宮田)に続くぞ」という気持ちで会を開く。


「えぇ?アタシは個別で和美と寛容さんに謝ったからもういいって。あのウンチクンは偉そうにしてる癖に、和美と寛容さんに謝ってないんだぜ?無理だって」


そう言っていた雨空晴だが、周りから頼まれれば出ない訳にはいかなくなる。

だが「アタシは行くだけで、ウンチクンが謝ってくるまでシカトするからな!」と宣言までしていた。


それでもと宮田蓮に頼まれた雨空晴は、仕方なく金曜日に集合場所に行った。


集合場所にはすでにラブラブな宮田蓮と優しそうな面持ちの女がいて、「この子が宮田のいう渡辺咲良か」と思いながら合流する。


すぐにそこそこの人数が集まり、見ていると、狭山和美の高校大学の友人達は入り乱れているし、それこそ狭山夫妻の話で盛り上がっていて、雨空晴は自身とウンチクンこと田村大地は不要じゃないかと呆れてしまう。


それでもそこそこ大きな部屋のある飲み屋に入り、入り乱れて座っていると、始まって少しした頃に来る田村大地。


別に社会人に平日夜の飲み会、それも週末開催のものに遅刻云々は言いたくない。

皆働いている。

残業もする。


間に合わないのに「来るまで待っていて」なんて言わなければいい。

来れないなら無理せず次の機会を待てば良い。

だから何も言う気はない。仲直りの会だからと謝る事を強要されなければ良い。

だが次の瞬間にその気持ちは軽く飛ぶ。


「大地、皆さん揃ってるんだから、待っててくれは無理だって」


そんな参加者の男の声が聞こえてきて、雨空晴は苛立ってしまう。


雨空晴と付き合いの長い宮田蓮は、渡辺咲良にアイコンタクトと首を横に振るジェスチャーを送る。

今の雨空晴はキレる前で、今刺激を与える事は良くないと伝えると、渡辺咲良側も、田村大地が自分が来るまで周りが待たなかった事に苛立っている為に、今は良くないのはわかっていて、宮田蓮のアイコンタクトに頷くと、とりあえず全員集まったから、もう一度乾杯をして飲もうと提案をした。

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