第六夜 寝れない夜に二郎をドカン

「寝れないわ……全くもって……」


私、竹内花子は布団に潜り頑張って眠ろうと目を瞑って唸っていた。


(しまったわ……仕事に集中出来ないからってエナドリ8本、コーヒー4つは流石に飲みすぎたわ!アドレナリンが今になって回って来るなんて〜!)


と、私は頭をわしゃわしゃと掻きむしる。


(羊を数えるのも、落ち着くドリンク作りも全てやってしまったわ……!どうしましょう、どうしましょう〜!)


私は眠るための行為を全て行ってしまったため。さらに頭を悩ませる。


(はっ!そうだわ!どこか空いてるお店に……ってもう夜中の2時よ!もうどこもお店なんかやってないわよ!)


ガバッと布団を勢いよく捲りスマホで店を検索しようとしたが、時刻は夜中の2時。電車は終電。店もやってないし、なんなら人もあんまり出歩いてないわよ!


(……まぁ、ちょっと寝れるように街ブラブラ歩くとしますか…………)


と、私はため息をつき、布団から体を出して外に出た。


「うぅ〜寒っ。本格的に秋っぽくなってきたわね〜。」


そうして私は両手で寒風摩擦を起こし、秋の寒さに堪えていた。


(この街に来てからもう6年になるのかしらね〜。なんかもう慣れたもんだけど、やっぱり秋冬の寒さは堪えるわね〜)


そう思いながら秋の夜空を眺める。神奈川の夜空といえど、ポツポツと星は輝いて見えた。


「よ〜し!身体暖めるためにちょっと走りますか!ダイエットついでにもなるわね!」


と、私はジョギングで夜の街を駆け抜ける。


──────────────────


「はぁ、はぁ……ふぅ!走るってこんなにも気持ちいいのね!会社に遅刻しそうになった時は全然そんなことなかったのに!」


私はたま汗を流し、体を充分に暖めた。


「てか、駅前まで走って来ちゃった……まぁ、眠くなるまでフラフラしてますか〜」


そう言って私は駅の近辺をフラフラと歩き始めた。


(あら?こんな遅くなのに明かりが付いてるラーメン屋があるわ。)


と、私は足を止め中の様子を確認する。


(まだ営業中って看板出てるし……入っていいのかしら?ちょうどお腹空いて来ちゃったのよね〜……)


と、言い終わると同時に私の腹の虫がぐぅ〜となり始めた。


「せっかくだし入りましょう。」


そう言い私は扉を開ける。


「いらっしゃいませ!」


と、元気な店員さんの声が響く。


(こんな夜中なのにすごい元気ね〜。あっ、食券タイプ。現金あったっけ〜?)


と、寝巻きの両ポッケをガサガサと漁ると、


(あら?ニ千円入ってたわ!)


何故か寝巻きの中にクシャクシャになった二千円が入っていた。


(なんでかよく覚えてないけど、昔の私助かったわ!それじゃあ……特盛にしましょうかね。)


そして私は特盛と書かれた紙を食券機から取り出し、カウンターに座った。


「はい!ありがとうございます!少々お待ちください!」


と、店員さんが元気よくラーメンを作り始めた。


(へぇ〜こんなところあったのね〜。知らなかったわ〜)


と私は店内をズラーっと見渡す。そして私はあるものを見つけた。


(ん?コール?ニンニクとかアブラって書いてあってその隣にカッコで量が書いてあるわね……はっ!もしかしてここ二郎系ラーメン屋?!)


コールという字や増し増しなどの字を見た瞬間、私はここは二郎系の店だと気が付いた。そして私は……


(なら、ガッツリ食べてもなんも文句言われないわね!全マシにしちゃいましょ!)


と、意味分からない理論を考え出していた。


「お客さん、ニンニク入れますか?」


(おっ!キタキター!)


店員さんが調理場から顔を覗かせ私に聞いてきたので私はすかさず


「全マシマシでお願いしまーす!」


と、答え店員さんは「あいよっ!」と元気よく返事した。


「お待たせしました!こちらラーメン特盛全マシマシですね……ヨイショ!」


「う……わぁ」


私の前に置かれたラーメンはそれはもう立派なもやしタワーになっていた。


(なにこれ?ギトギトの海に浮かぶ火山かしら??迫力が凄まじいわ……食べ切れるかしら……)


私はこの迫力に飲まれているがそれと同時に腹も鳴く。


(でも逆に……これぐらいじゃないと私の腹は満たせないわよ!!)

「いただいたきます!」


と、私は割り箸を割り、まずはモヤシとキャベツを頬張る。


(う〜ん!もやしもキャベツもシャキシャキしてて新鮮〜!野菜だけでも食べれちゃうわ〜!)


と野菜の美味しさに私は頬を押さえる。


(よし!野菜をちょっと減らしたら〜……次は麺!麺を底から持ってきて……野菜と絡ませる!これを天地返しって言うんだっけ?)


私は天地返しをした後すかさず麺をすする。


(むほぉぉぉ!このワシワシの極太麺!スープとニンニク、アブラが全部絡みついて背徳感エグいわ〜!しっかり噛まないと飲み込めないすごい太さ!これは凄く腹に溜まるわ!)


と、ズルズルズルズルと麺を勢いよくすすっていく。


(野菜と一緒に絡ませて食べると更に美味しいわ!これならすぐに完食出来そうね!チャーシューも私好みの厚さで最高〜!豚のアブラの旨みが直で舌に伝わってくるわ〜!)


そう思っているのもつかの間、すぐに限界はやってくる。


(うぷ……流石に特盛はやりすぎたわ……)


私の目の前にはまだ4分の1にすらなっていないラーメンがある。


(悪魔って結構胃袋大きいからいけるかな〜って思ったけど、もうそろそろお腹がいっぱいだわ……でも持ち帰ることなんてできないし、もし残すなんてことしたら……)


と、私は店員さんがぶちギレて私を出禁にする妄想が頭によぎった。

そして何故か店員さんがこちらを凄く睨んでいるような感覚に陥った。


(……よしっ!絶対食べきってみせるわっ!それじゃあ再び!いただきます!)


そして私はまた、極太麺をズルズルと吸い上げる。


(野菜うまっ!麺うまっ!チャーシューうまっ!あー、もう!味の大渋滞過ぎて最高!絶対に食べきって見せるわよ〜!)


そしてそのまま私はこの特盛全マシマシラーメンと30分も格闘し続けた……


「うっ……ぷぅ……何とか……食べきった……」


スープこそ飲まなかったものの、スープに浮かんだ具材は全て食べきった。すると、店員さんが


「あんたすごいね!あんな量一人で食べきっちまうなんて!オラァ感動したよ!ほら、これ!持っていきな!」


と、感動したらしい店員さんに渡されたのは煮卵が2個入ったカップだった。


「えっ?いいんですか?だってこれ明日も使うんじゃ……」


「いいんだい!オラァあんたの食いっぷりに感動したからよ!記念だから持ってけ!」


と、店員さんが笑顔で渡すものだから私は「ありがとうございます!」と一言だけ放ち店を出た。


「でも流石に……食べすぎて気持ち悪いわ……」


と、私はお腹をスリスリと撫で、なるべく吐くことのないように慎重に歩く。


(これは逆に眠れなさそう……ね。)


と、私は嗚咽を交えながら来た時よりも更に遅い時間で家に到着した。

(ちなみにこのあとトイレでしっかり吐きました。)



┈┈┈┈おまけ┈┈┈┈┈


やぁ!みんな!僕の名前は西澤晴哉!天才かつイケメンで天才な僕は商談帰りの今、なんと窮地きゅうちに陥ってしまっている!!それが……


「側溝にハマった足が抜けなぃぃぃ!」


何とか頑張って抜こうとしたけどなんかドロ?というより沼が凄く僕の足に絡みついてきて全くもって取れない!どんなことやっても取れない沼って逆に凄くない?


「誰か助けてぇぇぇ!会社遅刻するぅぅぅぅ!」


と、僕は人通りが少ない一般道でそう叫んだ。


「うわっなんでいるんですか……じゃなくて、晴哉先輩大人になっても泥遊びですか?無邪気でいいですね〜!」


と、僕の後輩だった花子ちゃんが僕の今の状況を見てそう言ってきた。


「や、やぁ!花子ちゃん!お昼帰りかい?随分遠くまで来たみたいだね!そんなことより僕は今大ピンチなんだ!元とは言え、君を教育した身だ、助けてくれるだろ?」


平常心で僕は花子ちゃんに問いかけたが、花子ちゃんの反応は冷たいものだった。


「いえ、商談帰りです!では晴哉先輩はそのまま泥遊び楽しんでくださいね?それでは!」


と、そそくさと花子ちゃんは言ってしまった。


「待って!待って!助けてぇぇぇ!」


僕はそう叫んで結局助けてもらった。

(このあと会社に着くまで長すぎる自慢話が始まったので割愛)


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