第672話 日本に染まり切った発想
「そういえばカケル」
「どうかしました?」
「やげん軟骨はしゃぶしゃぶしないのか?」
「あー……」
流石に軟骨をしゃぶしゃぶは聞いた事が無いからなぁ。
その為、やげん軟骨だけは唐揚げとかにしようとしてたんだけど……。
すっかり忘れてた。てへぺろ。
今から揚げるか。
「唐揚げにしません? しゃぶしゃぶには合わないと思うので」
「ふむ……」
俺が提案するけど、あまり乗り気には思えないラベンドラさん。
何か考えでもあるのかな?
「つくねにするのはどうだ?」
「……続けてください」
「軟骨入りのつくね。食感がプラスされて美味くなるはずだ。こちらはしゃぶしゃぶせず、スープに浮かせて火を通し、好みの薬味やチーズフォンデュで食べるようにする」
「めちゃくちゃいいですね」
「そうと決まればつくねの準備だな」
あったよ! 考えが!!
でかした!!
確かに軟骨入りのつくねは美味いもんな。
……って、しまった。
だったら前回のリボーンフィンチの焼き鳥の時にも作っとくべきだった。
串二本を包むように平たくつくねを巻いてさ。
焼き終えたら卵黄を乗せる……。
大葉とか巻いても美味そうだな。
「軟骨、胸、もも、ネギと生姜でいいか?」
「完璧です。……あ、でもチーズフォンデュ用にするなら、ネギとかショウガよりオレガノとかタイムの方がいいかもしれないです」
「ふむ」
別に和風でもチーズフォンデュには合うんだろうけどね。
ネギとチーズなんて当然相性いいし、生姜とチーズも相性悪く無いだろうし。
というか、そもそもカレーとチーズが合う時点で……。
「唐揚げ……ちょっと食べたかった」
「わしもじゃわい」
「油の準備とか片付けとか大変なの。文句言わない」
「「はーい」」
姉貴とガブロさんが軟骨唐揚げを食べたがっていたけど、その意見は却下だ。
いやまぁ、姉貴に関しては俺が作るって言っちゃってたからだろうけど。
まぁ、食い専の人たちは料理を作る人には基本的に文句言えないからな。
文句言いたきゃせめて料理を作るのを手伝うこった。
なお、下手に手伝われると邪魔にしかならない模様。
大人しく座っててくれ。
「キノコとチーズで無限にワインが進みますわね」
「酒とも全然合うんだなこれが」
「チーズ水……侮れない」
「チーズともワインとも合うような出汁の取れる『――』と『――』の優勝だろこれ」
あっちの食いしん坊ずを……見習わなくていいけど少しは参考にしてくれ。
……というか、チーズフォンデュが出て来てから明らかにワインのペースが速くなったな。
あと、マジャリスさんの意見にはマジで賛同しかない。
イセカイカワブタとイセカイハモの出汁があまりにも万能過ぎる。
万能過ぎてもうこれしか使いたくないレベル。
定期的に持って来てくれないかな、その二つ。
ゴー君に頼んで全部イセカイカワブタ節とイセカイハモ節にするから。
「つくねが出来た。しゃぶしゃぶではなくある程度煮て、火が通ったら好みで食べろ」
「おすすめは?」
「ネギが入っている方はおろしポン酢や柚子胡椒、あるいはそのままで。見えない方は基本的にはチーズフォンデュを前提に味付けをしている」
「ふむふむ」
「評判が良ければまだ作る。だから遠慮せずに食え」
「「はーい」」
と、ラベンドラさんからの説明を受けてじっとつくねが煮えるのを見守る一同。
……あの、皆さん?
別にしゃぶしゃぶはやってもいいんですからね?
つくねがしゃぶしゃぶなんてしても火が通らないよってだけで。
「白菜とチーズも結構合いますわね」
「ワインにもな」
……マジで誰も新たに肉を追加しない。
茹でられてた白菜やらネギやらを取って、これからのつくねに備えてやがる……。
俺は気にせずもも肉しゃぶしゃぶするけど。
「そろそろいいだろう」
という合図が、俺が肉をしゃぶしゃぶしようとした瞬間に発令。
結果、
「肉が……消えた」
どさくさ紛れに誰かが俺のもも肉を掻っ攫っていきやがった。
あと、つくねも全部消えた。
あれれ~? おかしいぞ~?
「ジュワッと溢れる肉汁と、コリコリとした軟骨の食感」
「ネギと生姜の香りがフワッと香って、おろしポン酢によく合うわぁ」
「ゴマダレで食べた時のポテンシャルも凄い。ゴマの風味とコクが、より肉の旨味を押し上げる」
「柚子胡椒が一番。あと、軟骨が入った事でお肉に甘さが追加された気がする」
俺が一個も食べられてないつくねの食レポどうも。
ラベえも~ん、もっとつくね作って~。
「チーズフォンデュ用の方も、そのまま食べてもまあ美味いな」
「チーズが絡むと三段くらい美味さが跳びあがるけどな」
「通常のつくねは日本酒や焼酎が、チーズフォンデュにするとワインが合うのぅ」
……なんでさ、こう、自分が食べてなくて、他の人が食べてるものを見るとこんなに美味しそうに見えるんだろうね?
ラベンドラさん、つくね作って。役目でしょ。
「これはお代わりが要るな」
「大量に作りましょう」
「何なら、つくね鍋、みたいになっても私は一向にかまいませんわよ?」
「内臓系以外はつくね、内臓はしゃぶしゃぶかチーズフォンデュ、それで十分」
「いやでも肉はやっぱ肉としてしゃぶしゃぶはしてぇがな」
「とりあえずカケルー、酒追加じゃー」
軟骨入りつくねが登場した事で、また賑やかさに拍車がかかったなぁ。
いいんだけれども。
あと、次は絶対に俺がつくねをいの一番に食べるからね!
譲らないから!!
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