第631話 謎メーター
「食材を渡すタイミングは、やはり食事を終えてからの方がいいようだな」
「ですね……」
イセカイマグロブロック、脂のノリごとに小分けにしてさ。
キッチンペーパーで包んで、そこからラップで巻いて保存。
案の定結構な時間がかかったわけ。
流石にその事はラベンドラさんも反省したらしく、今後はこれまで通り、異世界に戻る前に渡してくれるってさ。
――出来ればそれも勘弁してほしいんだけど。
いや、別に渡すタイミングはそこでもいいのよ。
でもさ、どうせならどういった魔物とか、その辺の情報を渡してから帰って欲しいなって。
投げっぱなしジャーマンで帰るんじゃない。
「デザート……」
「大変ですわ! マジャリスの甘味メーターがデッドラインに!!」
「カケル! すぐに甘味を!!」
ナ、ナンダッテー。
とはならんのよ。
まず甘味メーターとは何ぞや。
いや、何となく予想は出来ちゃうけども。
どうせあれでしょ。甘いものを食べないと減少しちゃうガソリンメーターみたいなもんでしょ。
――もしかしなくても血糖値なのでは?
「んじゃまぁ、フルーツ大福なんですけど……」
と言う訳でようやく登場フルーツ大福。
さてさて、みんなの反応はっと。
「前に食べた事があるやつだな」
「そうなの?」
「トロリと甘く、柔らかい果肉の入った大福じゃったな」
既に柿大福を食べた事がある『夢幻泡影』が、『無頼』アメノサ組にフルーツ大福の説明をしてくれている。
ふっふっふ。だがな、俺は一言たりともあの時のフルーツ大福と同じとは言ってないんだぜ。
……翻訳魔法さんが柿大福とフルーツ大福の翻訳をごっちゃにしてなければ、だけど。
「あの時とは中身が違うので試してみてください」
「カケル、このスイーツに合うのは紅茶か? コーヒーか?」
「お茶じゃないですかね。中身にフルーツが入ってるとは言え、大福なわけですし」
これ人によっては違いが出そうだな。
俺は緑茶だと思う。
何だかんだ、最後まで口に残ってるのはあんこの甘みだし。
「お茶か」
俺の考えを聞いて、お茶を淹れてくれるラベンドラさん。
助かるわ。
「よし、俺はこれ!!」
「あ! じゃあ私これ!!」
「では私はこれを」
「何でもいい」
「わしもじゃ」
「皆さんに同じもの買って来てますからね?」
で、そんなラベンドラさんを差し置いて、みんな思い思いにフルーツ大福を取っていきましたけども。
ちゃんと全種類人数分買って来てるって。
……俺は絶対に全種類とか食べきれないから、厳選した分だけしか自分の分用意してないけど。
「苺か! 美味い!」
マジャリスさんが最初に取ったのはイチゴ大福。
フルーツ大福と言えば、というか、下手したらイチゴ大福はイチゴ大福として確立されてて、フルーツ大福に入らない可能性すらある。
それくらいポピュラーな存在になっているイチゴ大福が、不味いはず無いよなぁ?
「苺の瑞々しさと酸味があんこの甘みと素晴らしいマリアージュを醸し出している!!」
上機嫌に語りますなぁ。
「私のは……何!? 甘い!!」
アメノサさんが手を付けたのはシャインマスカットの大福だね。
これもフルーツ大福と言えば、の一品な気がする。
「皮は柔らかくて、でもフルーツの皮はプリッとしてて! ジュワッと溢れる果汁は甘くて、でもでも、あんこはまた別の甘さがあって!!」
少しは落ち着きなさいな。
美味しいのは食べた直後から上がった口角と、キラキラ輝いている目が物語ってるからさ。
「これ美味しい!! 『無頼』! 美味しい!!」
「うるせぇよ」
なお、上がったテンションのまま『無頼』さんに話しかけたら、物凄く雑に一蹴された模様。
「んお? 酸味が強ぇな」
そんな無頼さんが食べたのはキウイの大福。
あれは……普通のグリーンキウイの大福だね。
他の果物に比べて強い酸味と、さっぱりする果汁の瑞々しさが大福と相性いいだろうなぁ。
「こっちも似たようなものじゃが、実が赤いな」
で、ガブロさんの方はルビーレッドキウイだね。
結構最近出て来た品種で、特徴は名前の通り実が赤い。
赤いと言っても真っ赤なわけじゃなく、中心部分がピンクって感じ。
味は甘みが強くて程よい酸味。溢れる果汁との事。
「あんこに合うもんだな」
「じゃな」
甘いもの得意じゃない二人も普通に食べてるんだよな。
というか、この人らの得意じゃないって、食べられはするけど多くは食べない、とか。
特に好んで手に取らないってだけで、当たり前に食べるんだ。
いや、俺が用意するのか極端に甘いものじゃないからなのかもしれないけど。
なんと言うか、甘み以外にも楽しむ余地のあるデザートって結構多いじゃん?
それが酸味なのか、風味なのか、そのデザートによって異なるけど。
そう言った物だったら、普通に食べてるイメージある。
「お茶が入ったぞ」
「丁度お茶が欲しかったところですわ」
「ラベンドラ、ナイス」
「ありがてぇ」
で、皆がラベンドラさんの淹れたお茶に手を伸ばし、ズズっと一口。
「は~。落ち着きますわぁ」
「まだまだカケルが用意してくれたデザートはある。小休止挟んで二個目へ」
「全部はいらねぇな。余ったらアメノサ、食っていいぞ」
「『無頼』神」
……そんなやり取りするから。
またマジャリスさんとリリウムさんが俺やガブロさんからどうやって奪い取るか画策してるような顔するじゃんか。
「食パン」
なお、俺の魔法の一言でそんな画策は一気に白紙に戻るもよう。
させるかよ。
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