第514話 神様「飲みたい……のみたい……」
と言う訳でグラスを新たに白ワイン。
アルゼンチンワインのご登場。
色合いはちょっと緑かかった黄色、いわゆるレモンイエローって奴かな。
香りは……ふわっと香る花束みたいな感じ。
「胸に風を吹かすような爽やかな香り……」
「いいブドウを使っている証拠だ」
「肉よりは野菜に合うな」
「キャベツとの合わせが最高ですわ~」
と言う訳で、初めてのトロンテスって品種のワイン、実飲。
……ほぅ? 最初に浮かんだのは桃。
香りはかなりフルーティで、瑞々しい桃をイメージさせる。
でも、全然甘ったるくないな。むしろかなりスッキリしてる。
で、味わってるとほのかな苦みが顔を出すね。
マーマレードみたいな、柑橘の皮の苦みに近いような……。
香りや苦み、酸味に甘み、どれも尖った場所が無く、かなりバランスがいい味わいに思う。
普通に美味しい。
「トマトやきのことの相性が輝く……」
「飲みやすく、さっぱりで後を引かない。いや、素晴らしいぞ、このワイン」
「今までの白とは少しニュアンスが違いますわね。製法なのかしら?」
「品種ですかね。今回の白ワインは特定地域の土着品種になります」
まぁ、俺は土着品種がどうこうってのはあまり理解してないんだけど。
でも、翻訳魔法さんがいい感じに翻訳してくれるだろうし。
「なるほど……」
「ちなみに、この世界にはどれくらいの品種が存在しますの?」
「所説ですけど、大体八百種類くらいがワインに使われてるらしいです」
「はっぴゃくっ!?」
「調べると一万品種あるとか出てきますし、どれが正解かは分かりませんけど……」
「いちまん……」
そもそも、ワインに使う有名品種で五十くらいらしいし、そこから先は本当にご当地ワインに使われてる、とかレベルだと思うけど。
「確かに火山地帯と海岸地帯のトレントでは特性が変わりますものね」
「味に違いが出て当然か……」
「じゃが、産地に関してはある程度醸造ギルドが分けとるじゃろ」
「ある程度ではダメなのだ。この世界のように、細かく、そして厳しく管理しなければ」
なんか、まだ食事中なのに熱くなっちゃってるな。
別にいいけども。
「最近はデザートワインにばかり構って、通常のワインの生産がおろそかになってるとは聞くの」
「醸造ギルドで働く方々も減って来てるとは聞きますわね」
「調理士みたく増やせぬものか……」
どこも人手不足なんだねぇ……異世界でも。
「悩んでもしょうがないですし、スパークリングに行きましょう」
正直見た目だけで選んだプロジェクト・クワトロ・カヴァ。
かなりスタイリッシュでとても気に入った。
「発泡が強すぎるわけでは無く、口当たりがいい」
「飲み口スッキリ、味わい華やかで癖がありませんわね」
「チーズの油分ととても合う。肉よりは魚介系に合いそうだとは思うが」
「それこそ先日の宝石蟹達と合わせたい一本だな」
と言う訳で、いざ!
……おー、確かに。
さっきのパソ・ア・パソと比べると、こっちはリンゴのような香りがする。
甘い匂いではなく爽やか系、あと発泡ワインだからスルスル飲めちゃうね。
しっかり辛口で後味に雑味無し。
飲み込んだ後に口の中の空気を鼻に抜きたくなるワイン……。
あと、スペイン産と言う事で、確かに魚介に合いそうだなーって思う。
もちろん、お肉と合ってないわけじゃないんだけどさ。
そうだな……パエリアとかだと最高だろうな。
「チーズ水を鍋に使う。いい発想だ」
「ラメーンのスープには使えませんの?」
「麺を食っとるのかチーズを食っとるのか分からんくなるじゃろ」
「何か問題か?」
……ラベンドラさんがトマト鍋のスープだけ味わってたら、なんか変な方向に話が行ってない?
いや、確かに考えはしたけどさぁ。
「チョコと混ぜて伸びるチョコと言うのはどうだ?」
「いや、冷やして固めるでしょ。伸ばすためには温めなきゃで、温めたらチョコ溶けちゃいますよ?」
閃いた! みたいに言ってますけどね、マジャリスさん。
その論は破綻してるんですわ。
「考えると、鍋が一番チーズ水を活用した調理法のように思える」
「恐らく、どんな具材でも合いますものね」
「スープのベースも、醤油や味噌、コンソメはチーズに合いますし……」
もつ鍋とかくらいかなぁ、チーズ水と合わなさそうなの。
合わないというか、すっごく重たくなりそう。
特に豚骨。
「おでんにも合いそうだと思うか?」
「……合いそうですねぇ」
このダークエルフ、なんちゅうもんを想像しやがる……。
あ、でもこんにゃくとかは合いそうにないな。
でもそれ以外は当たり前に美味そう……。
やるか? 駆け込みお鍋泣きの一回。
「リリウム、赤ワインを取ってくれ」
「はいですわ」
「カケル、なるだけガブロから酒を遠ざけろ」
「分かりました」
「いや、なんでじゃ」
なんて言いつつ、俺はちょっとずつ楽しんだワインで頬を赤く染めながら。
フワフワした気持ちで四人がトマト鍋を食べ続けるのを眺めてましたわ。
あー……麦茶が美味い。
「カケル……スープは……」
「飲み干したら明日は焼いたパンにチーズ水塗って出します」
「……むぅ」
いたくスープを気に入ったラベンドラさんに聞かれるも、鍋をしといて〆を作ら無いのは言語道断。
絶縁破門の打ち首獄門コースですわよ。
だから我慢しててください。
そのスープの旨味をたっぷり吸った、トマトチーズリゾットを作りますから。
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