第424話 ゴー君観察日記
「パフェうまー」
えーっと……姉貴、風邪でも何でもなかったみたいですわ。
あの後、炬燵から引っ張り出すのも面倒だから、布団だけかけて俺も寝たんだけど。
なんと、俺が起きたらもう姉貴も起きてたのね?
ほな今日は雪かーとか思ってたら、
「お腹すいた」
とか言って来てね?
昨日のデザート残ってるよーって言ったら、
「食べる」
との事なので作った次第。
で、作りながらリリウムさんの言葉の意味を確認してたんだけど……。
「多分二日酔いかな? あんだけ飲んだのに全然残ってないし」
だってさ。
つまり姉貴はエルフ達に二日酔いを魔法で治して貰ったらしい。
多分この世界で唯一の魔法による治癒を受けた人物じゃねぇかな。
……俺が知らない内に魔法掛けられてたら違うけど。
――絶対に無いって否定できないのが怖い所だな?
「これ食べたマジャリスさんとかテンション凄かったでしょ」
「ほぼ子供だった。異世界に戻ったら電池切れたみたいに寝たんじゃね?」
「どうしよう、すっごく想像出来る」
なんて会話しつつ、ゴーレム君に朝ご飯をあげるために庭へと移動。
今日のご飯はリボーンフィンチの卵の殻と腐葉土、解呪に使った炒り塩水ですわぞ~。
「朝ごはんだよー」
と、庭へと出てみたらそこには。
――ん? ゴーレム君、それは何?
視界の端に、何か動くものが確認出来。
それは、どうやらゴーレム君の後ろに続いているようで……。
確認のために裏に回りましたら……。
「尻尾?」
昨日ラベンドラさんが与えていた宝石。
その色にそっくりな、ひし形を引き延ばしたような形状の尻尾が、嬉しそうに左右に振られていたのだった。
*
○月×日晴れ。
にわのごーれむくんにしっぽがはえました。
ぼくがてにもったごはんをみると、うれしそうにブンブンとふっています。
「う~ん……タンザナイトか。これはちょっと欲しかったかも」
「引き抜く?」
「流石にそこまではしないかな」
とりあえず姉貴を呼び、尻尾であろう宝石の種類を特定。
それをゴーレム君観察日記に書き残して、と。
それにしても……、
「腕とか脚とかじゃなく、尻尾なんだね、生えるの」
「あの四人に四肢はもぎ取られてたりして」
まず真っ先に生えるのが尻尾なのかと姉貴に言ったら、凄く怖い発言をしてくれた。
しかも困ったことに、それを否定できる材料がない。
あの四人、割と容赦ないからなぁ。
電子レンジを模した魔法を躊躇いなく魔物を対象にして使ってるみたいだし。
「んじゃあ、私が貰った宝石もあげちゃおうか」
「ンゴッ!!♪」
姉貴が昨日受け取ってた、ゴーレム君に与えてもいい宝石。
それを取り出すと、ゴーレム君の声が一オクターブ高くなり、尻尾が千切れて飛んでいくんじゃないかと思うほどに強く振られる。
「ちなみに与える宝石は?」
「アズライト」
綺麗な青……というか青紫というか……。
そんな色の棒状の宝石。
それをゴーレム君の口の中へと放り込むと……。
「ンゴゴ~~!!」
ゴーレム君、進化~。
――ええっと……。
「凛々しくなったね」
「ソウデスネ」
アズライトを与えた結果、反応があったのは顔の部分。
それまで(・Д・)みたいな顔だったんだけど、(`・Д・´)って顔になった。
凛々しくなったと姉貴は言ったけど、これ、もしかしなくても眉毛部分に宝石が貼りついただけだな?
「ンゴッンゴッンゴッ!」
「何か伝えようとしてない?」
ヘイ神様、ゴーレム君の言葉を翻訳して?
(次あの四人が来たら翻訳魔法の範囲を拡大させるように言うんじゃぞ。そうすればゴーレムの言う事も翻訳されるようになる)
あ、はい。そうします。
……んで? 翻訳は?
(風系魔法を操れるようになったから、中で干物とかを作れるようになったそうじゃ。燻製から干物までお任せあれ、らしいぞい)
ありがとうございました。
「なんか、出来ることが広がったんだってさ」
「ほーん」
「魚の干物とか作れるらしい」
「ほーん」
まぁ、姉貴はそんな反応が関の山か。
だが、俺は違う。
ちょっと試したい奴があるんですよ。
もうすぐ年末年始ですし、お寿司。
……んじゃあ、そいつ買ってくるか。
「ちなみに姉貴」
「何?」
「今日の晩御飯は異世界食材無しだからリクエストあれば聞くよ?」
「……馬刺しは?」
「俺と姉貴の分だけなら」
珍しく、『夢幻泡影』から食材を渡されてないんだよね。
今までは無くなる前に次の食材を補充されてたというのに。
まぁ、昨日急激にヒツジナゾニクもケルピー肉も消化したから、その分で誤差が出ちゃったのかもだけど。
「そうならう~ん……日本食っぽいものが食べたい」
「なます、筑前煮……魚も焼く?」
「魚で思い出したけど私今年サンマ食べてない」
「……あー、俺も食べてないかも」
異世界産の秋刀魚みたいな魚の部位は食べたけど。
んでもなぁ……もう冬だし、秋刀魚、売られてるかなぁ……。
「あったらでいい?」
「無ければ釣って来て」
「言い出しっぺの法則というものがあってだね?」
「じゃあ無かったらカニで」
「なんか急にぶっ飛ばなかった?」
蟹……カニかぁ……。
まぁ、時期だし、秋刀魚よりはいいかも。
何なら冷凍があるだろうし。
んじゃあまぁ、姉貴のリクエストに応えるためと、俺が干物にしたい物を買い出しに行くとしますか。
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