第403話 新手の脅し
何をどう巻き戻したらチョコレートからカカオまで戻るのか、コレガワカラナイ。
というか、チョコレートを逆再生したら出てくるのはカカオだけじゃないだろ。
他に使われたであろう材料たちはどこにやった。
(お主のように勘のいい人間は嫌いじゃよ)
それは普通にトラウマなのでNG。
というか異世界の神様に嫌われちゃったな―困ったな―。
(いやその……それはネタの台詞じゃから……)
嫌われちゃったなら仕方ないなー。紫色のワインキャンセルするかー。
(……トラックに跳ねられても無傷な程の頑丈さを与えてやろうか?)
…………ん?
(走れば突風を起こし、世界記録を更新するほどの脚力にしてやろうか?)
いやあの……。
(膨大な魔力を与えて日常生活でふとした拍子に圧縮詠唱を完了させて魔法を放つ生活にしてやろうか?)
紫のワインはちゃんとお供えするから勘弁してもろて。
というかなんだその脅し。力を過剰に与える事を脅しの材料にするんじゃない。
(人間には効くんじゃよ、これ)
ちなみに走る速度はどれくらいになるんです?
(サラブレッドの倍くらいじゃな)
……大体時速百二十キロくらいか?
ジェットババアやターボババアもびっくりな速度だな。
200m走を6秒か……。
うん、普通に人外。
ちなみにカカオに戻ったガトーショコラ、仕方が無いから俺が引き取ったよ。
流石にダンジョン踏破したのに、一人だけ本来のガトーショコラを食べられないのは可哀そうだったからね。
俺のガトーショコラと交換した。
ただし、次はない。
「溶けたチョコが美味い……」
「アイスを並べても美味いでしょうね」
「熱々のチョコと冷たいアイスか、確実に美味いだろうな」
「ラベンドラ!」
「作らんぞ?」
当のカカオに戻した本人はケロッとしてるけどね。
「ふぅ……美味かった」
「この世界のデザートは嘘みたいに食えるのぅ」
「甘いだけじゃないのがミソだろうな。甘さのほかに酸味、渋味、苦み、コク。必ずどれかがセットになっているように思う」
「まぁ、もちろん甘いだけのもありますけどね」
金平糖とか、綿菓子とか。
まぁ、材料がそもそも砂糖だけだからそうなるんだけど。
「それはそれで興味があるな」
「どっちも即効性のエネルギー食ですよ」
特に金平糖なんかは
同じくチョコレートも、登山には必ずと言っていいほど持って行かれるエネルギー食だってね。
つまり甘いものが正義ってこと。
「さて、カケル。持ち帰りの料理だが……」
「トリュフを使ったサンドにしようかと。燻製にした、先日頂いたお肉をたっぷり挟んで」
「了解した」
というわけでデザートを食べ終わったら持ち帰りの料理ですわぞ~。
といってもとっても簡単。
まずバゲット一本をそのまま真横に切れ目を入れます。
入れた切り目にレタス、スライスした玉ねぎ、たっぷりの燻製ヒツジナゾニクを詰めまして。
そこにスライスしたトリュフマンドラゴラを満遍なく配置。
イタリアンドレッシングを全体にかけまして、完成っと。
ん~……今度オリーブの実でも買ってくるか。
こういうサンドにはオリーブを入れたくなる。
大体某サンドイッチ店の影響だけど。
「うむ、いただいた」
「ではカケル、また」
「明日もよろしくお願いしますわね」
「そろそろ酒を頼むぞい」
と、出来た丸ごとバゲットサンドを抱えて魔法陣に入っていく『夢幻泡影』の四人。
……さて、
「本当に馬肉なのか、調べなくちゃな」
貰って冷蔵庫に押し込んだ、ケルピー倭種の肉を取り出し。
包丁で薄ーく切って、塩茹で。
それを一口……。
――ん~! んまぁいっ!!
ヒツジナゾニクみたいに脂を感じないけど、こっちの肉はより甘みが強いね。
あと、茹でたのにしっかり肉汁が溢れてくる。
その肉汁もさらりとしてて癖も匂いも無いし。
すっごい上質な馬肉って感じ。
しゃぶしゃぶとかにしても十分美味そう。
「ただ、馬肉となるとやっぱり馬刺しで頂きたいよね」
ヘイ神様、この肉を生で食う方法を教えて?
(炒り塩で作った塩水に五分ほど浸せばよい)
ありがとうございます。
というわけで早速試す。
といっても食後だし、しっかりデザートも食べちゃったし?
……何故かカカオを食べる事にもなったけど。
そこまで多くなくていいかな。
自分の握り拳くらいの大きさにケルピー倭種肉を切り出して、言われた通りに炒り塩で作った塩水に入れ放置。
待ってる間に薬味と醤油を準備しませう。
まずショウガ醤油は必須で、ニンニク醤油も用意。
後は……まぁ、大根おろしも準備しとくか。
「よし、五分」
しっかり呪いが出て、再度水の透明度に戻ったことを確認して塩水から取り出し、水気をしっかり拭きまして。
後は好みの大きさにスライス。
というわけで、ショウガ醤油にちょっと付けて、いただきます!
「……んふ」
これよこれ。
このジワリと広がる肉の旨味。
そして肉の旨味を押しのけてくる強い甘み。
肉の中央だけ絶妙にコリッとしてるこの食感。
やはり馬肉はこうでなくちゃ。
「しょうがの香りと肉の甘みが相性最高なんだよな……」
馬刺しには麦茶が合う。
……明日は日本酒を買って来よう。
甘口と辛口、馬刺しがどう合うか今から楽しみじゃ。
ネギもたっぷり刻んで散らしたいなぁ。
なんて考えつつ、しっかりとケルピー倭種刺しを堪能し、俺は床に就くのだった。
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