第266話 茄子尽くし
『みそ汁うめー!』
お昼時、姉貴からのメッセージを確認して生存を把握。
作っておいた茄子と豆腐のお味噌汁をちゃんと見つけられたみたいで良かった良かった。
ご飯はちゃんとレンジでチン出来たかい?
まぁ、冷や飯にみそ汁かけて食べるのもまた美味しいけども。
とまぁ、そんな世話のかかる姉貴の観察を終え、俺は仕事に戻っていく。
……最近さ、今日は何を持って来たのか、みたいな感じで先輩から昼飯チェックされるようになったんだよね。
もちろん声をかけられたりはしないんだけどさ。
こう、後ろから覗き込んでるような気配が、さ。
ちなみに今日のお昼はラベンドラさん達に持ち帰らせたのと同じな萌え断サンドイッチ。
茹で卵やサラダチキンをマンドラゴラと共に挟んでマヨネーズで味を調えたもの。
先輩はちょっとは気にしてたみたいだけど、野菜中心というサンドイッチに心躍らなかったか、トボトボと飯を買いに行ってた。
美味しいのに。
……レタス以外の野菜には火を通してから挟みました。
パンは安定の青いパッケージのロイヤルなやつ。
味はもちろん美味しかった。
ただちょっと、味のバランスはもっと考えた方がいい感じ。
サンドイッチって感じが全然しなかった。
マジでサラダ食ってる感覚。
というわけで、美味しいサラダを堪能し、午後の仕事もしっかりとこなしまして。
「そういや、デザートどうしようか……」
昨日は姉貴がアップルパイを買って来てくれたけど……。
そういや、デザートワインって何と合わせるのが一般的なんだろう。
調べてみるか。
「へー、アップルパイはちゃんと合わせるデザートにあるんだな」
調べてみたらちゃんとアップルパイも推奨されてた。
で、チーズケーキ系が軒並み推奨か。
じゃあチーズケーキ作るかぁ。
とはいえそうそうケーキに使うチーズが手軽に手に入るかって言われるとそうじゃないし。
水切りヨーグルトで代用しよう。
多分いけるっしょ。
「となれば早速買い物して帰宅するか。……一応姉貴に欲しいものが無いか確認っと」
お、れ、の、な、ま、え、を、し、っ、て、る、か、と。
姉貴にメッセージを送信し、しばらくすると。
『異世界産のうなぎ』
と返ってきたので華麗にスルー。
そう言うのは四人に言いなさいよ。
*
「ただいま」
「おかえりー」
買い物をしっかりとしまして帰宅。
姉貴の声に迎えられ、リビングに向かうと。
そこには、一面に宝石を並べた姉貴の姿が。
「何してんの?」
「んー? リリウムさんに貰った宝石たちの並び替え」
いや、そりゃあ見れば分かるけど。
「色とか大きさとかね、分類しとかないと後々大変なのよ」
だそうです。
宝石商も大変そうだねぇ。
「ちなみに今日の料理は?」
「茄子の揚げびたしと焼き茄子、麻婆茄子にムサカ」
「三分間待ってやる?」
「それはムスカ。茄子とひき肉のグラタンみたいな料理よ」
「え、美味しそう」
でしょう? だから作るんですよ。
けどその前に……。
「先に水切りヨーグルト作らなきゃだからちょいと待ってね」
「水切りヨーグルト?」
「チーズの代わり。ベイクドチーズケーキを作ろうと思ってさ」
「? デザートまで作ってんの?」
「まぁ、成り行きでね」
という説明をしつつ、ザルにキッチンペーパーを敷きまして。
そこにヨーグルトを入れた後、お塩を一つまみ。。
こうすると水切りが早く終わるんだって。
「よし、じゃあ下ごしらえしていくから、邪魔しないように」
「宝石の方で忙しいから問題なし」
「りょ」
と、一応姉貴に声をかけ。
ここからは下ごしらえタイム。
まずは焼き茄子と揚げびたしから。
と言っても焼き茄子は皮を剥くだけだし、揚げびたしも顔がある部分だけ剥いて、乱切りにするだけでオッケーと。
……冷まして味を染み込ませなきゃだから揚げびたしは作っちゃうか。
油を熱している間に出汁つゆの準備。
砂糖、醤油、みりん、酒、めんつゆを鍋に入れ、一煮立ち。
油の温度が上がってきたら茄子を投入しまして~。
こんがり揚がれば、そのままザルへと引き上げて。
ケトルで沸騰させたお湯を上から回し掛けて油抜き。
それが済んだらさっきの出汁つゆにぶち込み、またもや一煮立ちさせたら大体完成。
出汁つゆごとお皿に移し、鰹節を振りかけて冷蔵庫へ。
これで揚げびたしの完成と。
んじゃあ丁度いいし、この油で麻婆茄子用の茄子も揚げてあげて。
「お腹すいてきた」
「我慢してくれ」
姉貴の催促を適当にあしらいつつ、麻婆茄子の下ごしらえはこんなもん。
続いてムサカ。
調べたらなんとミートソースとホワイトソースの両方を使うとか。
折角だし自作しようって事で、まずは玉ねぎのマンドラゴラをみじん切り。
そしたら鍋にオリーブオイルをひいて、玉ねぎと同じく刻んだ国産ニンニクを炒めていく。
玉ねぎが透明になるまで炒めたらひき肉を投下。ほぐしながら炒めてまして。
ドイツワインの赤をちょっと拝借して、それを鍋に入れて軽く煮立てまして。
煮たててる間にトマトをカットしておいてっと。
煮立った鍋にトマトをぶち込み、ケチャップ、塩コショウ、シナモンパウダーにクローブパウダーにナツメグパウダーまでもぶち込むと。
こう、日本料理で使わない香辛料を使った料理って、ワクワクしない?
俺だけ? 俺だけか。
後は煮詰めたら完成だし、続いてホワイトソース。
バターをフライパンに入れて溶かし、そこに小麦粉。
粉っぽさが無くなるまで炒め、そこに牛乳を少量ずつ加えて混ぜ、加えて混ぜ。
牛乳を加え終わったら弱火でトロミが付くまで混ぜつつ味を調えるっと。
塩コショウとナツメグ少々で味を付けて完成。
普段よりやや固めにするのがポイント見たいですわよ?
「ん、来たわよ」
で、そこまで終わったところで姉貴が反応し。
振り返ってみれば紫色の魔法陣が。
じゃ、後はラベンドラさんと頑張りますかね。
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