第8話 大切なのは外見じゃなくて中身ですよ
「人は外見じゃなくて内面だよな陸!」
「えっ?う、うんそうだね!僕もそう思うよ!」
いきなり話をフラれた可愛い子ちゃん陸が同意をくれる。可愛い子ちゃんに同意を貰えた。という字面だけ見ればなんかドキドキしちゃうな。はっまさかこれが恋!?
ふぅ一旦、紫音をおちょくって落ち着くとしよう。
「はぁ…人って外見じゃなくて内面だよなー…なあ、紫音さんよ?」
「相ノ木よ…陸のときとニュアンスの違いを感じるのだが気のせいか?」
「いくら外面がよくても中身がアホだと台無しだよなあ…おまえみたいに」
「なんだ?そんなに僕に構って欲しいのか?」
「そこんとこ、陸は内面も外面も完璧だよな~」
紫音の言葉にはスルーを決め込む最近の俺のトレンドだ。
「えへへそうかなあ?ありがとうね!」
陸がそう言ってはにかむ。かわわわわわ。
「ふっ…おまえは内面も外面も最悪で大変だな?」
紫音のくせに言ってくれるじゃねえか!
「少なくともおまえよりはモテるわ!」
「確かに相ノ木、クラスの人には優しいしフランクだしでモテてる感じだよね。」
隣のクラスである陸がそんなことを言ってくる。え、見てたの?恥ずかしい!
「なんだ相ノ木、おまえ普段ひねくれてるくせにクラスでは猫を被っているのか?」
ニヤニヤとした顔で紫音が俺を見てくる。ムカつくなその顔。
「この前、廊下で女の子の荷物持ってあげてたもんね~"いい重り持ってるじゃん委員長!最近、俺って筋トレにハマってるんだよな~ちょっと持たしてみ?"とかナンパ師みたいなこと言ってたし。」
グッ、ハッ…。何故か刺のある言い方で陸が俺の恥ずかしいエピソードを暴露してくる。やめてぇ…紫音にからかわれるっ!
「なるほど…そうやって女子に声をかけるのか…。」
あれ?なんか紫音さん感心したような感じになっちゃってるよ?しめた!今のうちに話を戻しておこう!
「そうだ、外面よりも内面といったらデ○ズニー映画だよな!」
陸がジト目でこちらを見ているがここは押し通す!そしていつかは陸を押し倒そう。
「美女と野獣とかアラジンとかデ○ズニー作品は外面より内面が大切だぞ!みたいなメッセージ性が含まれてる事が多いけど、そのくせ結局はプリンセスもプリンスも美男美女ばっかだよな。」
「だからこそ最近はポリコレに配慮して白人ではないプリンセスやプリンスが多いのではないのか?」
「いやそれが最近、やっぱりポリティカル・コレクトネスに気遣っていたら、売上が落ちてきたのでやっぱやめるわ~とかデ○ズニーは言ってるんだよなあ。」
「なんか本末転倒というか皮肉な感じだね…。」
よし、なんとか最初の話題に戻ってこれたぞ!
「そうそう!結局、見た目が大切だということをデ○ズニーは身を呈して俺達に教えてくれたのだ!」
「いや、貴様最初は内面が大切だとか言っていたではないか?」
ほんとだ!焦って自家撞着に陥ってしまった!
「まあ、相ノ木は結局優しいよねー。かわいい女の子には…」
「ぐぅまたその話に戻るのか…」
美しいバラのような陸が刺のある言葉で話を掘り返す。
「まあ、でも逆に言ってしまえば相ノ木は僕や紫音に対して素で接してくれてるってことだよね!なんかそれはそれで嬉しいよ!」
「なんだ相ノ木、貴様"つんでれ"ってやつだったのか?」
「ち、ちがうわい!」
そ、そんなことないんだからね!
「ふっ…よかったな相ノ木、せめて内面だけはよくて。」
ぐっ、俺だって世間一般的にはイケメンな方だ!…と反論しようとしたが、顔面偏差値だけで言ったら県でもトップクラスであろう二人の前では口を噤んでしまう。
「別に相ノ木は外見もいいと思うけど?」
陸が優しくフォローを入れてくれる。ありがとう陸…でも、神が自ら手掛けた最高傑作のお人形のように美麗な陸に言われるとそれはそれで凹む。
「ありがとうな陸、励ましてくれて。」
「えっ!いや本心だよ!?」
「ふっ…よしてやれ陸よ敗者にかける言葉は時に刃になるものだ。それにコイツも言っていただろう外見よりも内面が大切だとな。」
つづく
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