最強シャンプーマン敗北!?

究極の癒しを追求し、日々、お客様からご指名をいただいている。そんな、わたしですが……敗北を感じた瞬間がありました。


 わたしクラスのシャンプーマンでも、まだそのようなことを、経験したことがなかったのです。


 そのようなこと?それは、なんだい?教えてよシャンプーマン!


 う〜ん、これは言っていいものか……どうしようかなぁ……


 もったいぶらずに教えてよ!こんなエッセイ、誰も読んでないから大丈夫だって!


 そうだね!誰も読んでないから大丈夫だね!……ツラ


 新人のシャンプーマンの話なんですが……うちの店、一台だけサイドシャンプーがあるんですよ。


 それで、新人のシャンプーマンの経験のために、サイドでシャンプーをさせる時があるんですよ。


 サイドシャンプーとは、お客様の横に立ち洗う施術方法ですよね。


 新人のその子……午前中、カットでご来店された男性のお客様のシャンプーに入ったんですが、夕方、またそのお客様が来られたんです。


「シャンプーが気持ち良かったから、また来ちゃいました。午前中と同じ子って、またシャンプーしてくれますか?」


 なん……だと……。一日にニ度目の来店だと!


 さすがのわたしも、経験がない。


 貪欲なわたしは、後輩だろうがなんだろうが、なりふり構わずに観察する。

 

 この、⚪︎⚪︎ちゃんの何がそんなに良かったのか、日に二度も、したくなるほどのシャンプーとは!くぅ……そんな、とてつもない肩書きを奪われるとは……。


 ⚪︎⚪︎ちゃんは、小柄な子だ。小柄であると腰を痛めにくいが、致命的な弱点がある。


 逆サイドが洗いにくいのだ……バックシャンプーにはそんな不便は無いが、サイドシャンプーだとお客様の右側が遠い!


 これは、はっきり言って不利!


 なんだ?何なのだ?いったい、この子にあって、わたしに無いもの……あ……あった……


 わたしの鋭い観察眼はごまかせない。


 それこそ不利である右側を洗う時だった……小柄な⚪︎⚪︎ちゃんは、懸命に背を伸ばしゴシゴシと洗っている。


 必死だ……そりゃそうだろう、日に二度もシャンプーをさせていただくんだ。


 しかもご指名……彼女は懸命だから気づいてない……む……胸を……お客様の肩に……押しつけている。


 これかぁ、これだったかぁ。⚪︎⚪︎ちゃんにあって、わたしに無いもの……って、おい!


 さすがにこれは……どうなんよ!


 あっ!背が低すぎて、ネープを洗うとき、頭を持ち上げたら……顔に胸が……パフパフになってるじゃないですか!


 お〜い!……これ、後で本人に言ったら、ガチで気づいてなかったです。彼女はそれだけ一生懸命だったのです。


 そういう意味では勉強になりました。


 そのお客様、⚪︎⚪︎ちゃんが、バックシャンプーになってからは、日に二度来られることは無かったです。


 いや、わかりやすっ!

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