09:競い合い


「――すげえ」


 戦闘を終えてこちらへ戻ってくる魔術師の男に、剣士の青年が賞賛しょうさんの声を漏らす。


 そんな青年の評価に、魔術師の男――コーデルロスは笑って首を振る。


「魔力の消耗しょうもうが激しいから、連戦はできないんだがな」

「へぇ……魔術師ってのはやっぱり、どいつもこいつもすげえんだな……」


 コーデルロスの言葉に、ウォーラトが素直に驚きを見せた。

 背後で、舌打ちが聞こえてくる。魔術師を褒める言動が気に食わないルドヴィックのものだろう。


「ともあれ……戦力は把握できました。これが討伐とうばつ目標である大蠍おおさそりが生み出す魔獣――“子蠍こさそり”ですね」


 さっきの戦闘で真っ二つにち切られた蠍の魔獣を見下ろしてティメオがつぶやく。


「まっ、思ってたよりは弱かったなー」

「私の強化魔術のおかげでしょうが」


 調子付く一人と突っ込むもう一人のやり取りをかたわらに、シュレッサが輪の中に加わる。


「おそらく今のは斥候せっこう役だろう。次の襲撃では地面に出ず、砂中から攻撃してくるはずだ」

「げえ、卑怯かよ」


 顔をしかめるウォーラト。驚いたり調子付いたり不愉快になったり、コロコロと忙しい奴だな、と思ったところで隣を見やる。


「?」


 ここまで大げさではないが、ある意味で似たもの同士のフェリスに視線を向けると、少女も首をかしげてこちらを見返してきた。


 ふと、沈黙していたユーゴがウォーラトへと振り向き、口を開く。


「……狼の魔獣よりも図体ずうたいがでかいくせに、数はどっこいどっこいだ。気を付けろよ、坊主」

「え、坊主!? いやいやウォーラトって呼んでくださいっス、前団長」

「……前団長? いや、俺は――」


 突然のウォーラトの態度に、面食めんくらったユーゴが眉をひそめながら声を詰まらせる。

 それに追い討ちを掛けるように、剣士の青年が興味津々きょうみしんしんの様子でユーゴが背負う武器に近付いていく。


「つーか、ユーゴ前団長の武器ってこれなんスか! めっちゃかっけえ! じっくり見させて――」

「こら、ユーゴさんに失礼ですよ」

「アホウォーラトっ、すみませんユーゴさん! あんたはこっち!」

「ぐおっ……なんだよ二人して!」


 無遠慮な団員の行動を注意する二人の女冒険者。そんな二人に両腕をがっしりと引っ張られて、困惑を浮かべながら後退する剣士の青年。


(なんだこいつら)


 見る者が見れば非情に腹立たしく、苛立ちすら隠せない何かが目の前で行われていた。


 同時、フン、とわざとらしく鼻を鳴らす音が聞こえた。どうやら……ルドヴィックが苛立ちを隠せないその一人のようだった。


「おい、そこの剣士。お前みたいな間抜けが混ざると任務の成功率が下がるんだよ」

「……なんだって?」


 今までの騒ぎも含めて気に食わなかったのか、嫌悪感をあらわに睨み付けてくるルドヴィックに対して、ウォーラトも負けじと怒りをにじませて言った。


「遊び気分で任務に参加している奴が間抜けじゃなかったら何だって言うんだ」

「遊んでねえし! ダサい眼鏡してる奴の方が間抜けだろ!」

「ダサくない!! これはボク専用に作られた特別性の保護眼鏡サングラスだ、覚えておけこの間抜け!!」

「間抜けはお前だろ、ダサ眼鏡!」

「な……ぐぐっ、お前……!」

「あ、あのルドヴィックさん……」


 フェリスがおろおろしながら〈先見者せんけんしゃ〉の青年に声を掛ける。ユーゴもまた眉間を押さえつつ、子供みた言い争いをどう止めるものかと二人の青年を見た。


 睨み合うルドヴィックとウォーラト。ジゼルとティメオが何かを言っているが、一度、喧嘩腰になったウォーラトの耳には届いていないらしい。


「はあ」


 オレは仕方なく、二人の青年の間に入って、仲裁ちゅうさいをすることにした。

 両者を見やり、パンと両手を叩く。


「だったら勝負したらどうだ」

「「!?」」


 一同が驚愕きょうがくの表情を浮かべてオレを見た。


「どっちがより、この大討伐の任務に貢献こうけんできるかを競い合えばいい」

「あれ……何だろう、猛烈もうれつ既視感きしかんが……!」


 嫌な記憶でも思い出したのか、フェリスが頭を抱え始める。


「おいおいベルトラン、何を言って――」

「なら、ボクの護衛と『の集い』で勝負だ。大蠍の巣に到着するまでに、どちらがより多く魔獣を討伐できるか」


 止めようとするユーゴの声におおい被せるように、ルドヴィックが嘲笑あざわらう口調で宣言した。

 それを聞いていた『黄の集い』の面々が表情を硬くする。一人を除いて。


「うっし、乗ったぁ! 俺たちが勝ったら『すみません、ボクが間抜けでした』って言わせてやるからな!」

「ちょっと、勝手に乗らないでよウォーラト!」


 ジゼルの叫びに同調して、フェリスも頷きながら言葉を挟む。


「そうですよ、シュレッサさんも言っていたじゃないですか、大討伐は『協力をおこたって達成できるような生半可なまはんかなものではない』って」

「いや、競い合うことを否定するつもりはない、好きにしたまえ」

「…………」


 後ろにたたずんでいたシュレッサが無表情のまま首を振り、フェリスが「えぇ……」とでも言いたげな表情で沈黙する。

 最後の足掻あがきとばかりに、ユーゴが少女の抗議の声を受けぐ。


「こっちは四人、あっちは三人だぜ。数が合わないのに勝負をするのはどうなんだ?」

「オレが参加しなければ三人だろ? 丁度いいじゃないか」


 オレはそう言って、フェリスと、腕に抱えられた猫形態のマリリーズ、そしてユーゴを順に指差した。


 ジゼルが途中、「三人?」と疑問を浮かべながら猫の方を見たが、特に訂正ていせいするつもりはない。

 すると、コーデルロスが笑いながら話に加わってきた。


「何を言ってるんだベルトラン、四対四だろ?」

「ん? どうした、計算は苦手か? 五本の指で足りるから数えてみろ」


 オレの嫌味に対して、コーデルロスがニヤリと口元をゆがめて歩き出した。

 向かった先は、『黄の集い』の面々の隣である。


「くくっ、オレが加われば四人、お前がそっちに参加すれば四人。つまり、四対四だ。間違いはないだろ?」

「…………」

「え、マジ!? いよっしゃあ! 百人力ひゃくにんりきじゃん!」


 得意げに胸を張る魔術師の男に、ウォーラトが歓喜の雄叫おたけびを上げる。

 そんな騒ぎの中で、いつの間にかフェリスの腕の中を抜け出した猫――マリリーズが、『黄の集い』の治療術士であるジゼルにり寄っていた。


「わあ、可愛い猫ちゃん……」


 興味津々に触ってくる治療術士の少女の手を、何とも至福そうな鳴き声で応えるマリリーズ。


 もはや、大討伐の最中とは思えない混沌とした空間で……一人、ティメオが生真面目きまじめな顔付きでユーゴに向き直った。

 真剣な眼差まなざしが用心棒の男を見上げる。


「もしも、この勝負で私が――私たちが、貴方の背中を再び預けられるような冒険者になっていると認めて下さるならば、もう一度、団長の座にいて頂けませんか」


 一生の願いを打ち明けるかのような、切実な響きとともにティメオが告げた。


「…………」


 騒然としていた場が、その時だけ鳴りを潜める。全員の視線が少しずつユーゴへと移っていった。

 わずかな沈黙を挟んで、ユーゴが口を開く。


「……悪い。今の俺はガロン家の用心棒であって、冒険者じゃない。俺が団に戻ることはない」


 うれいの表情を浮かべながらも、しかし、きっぱりと首を振るユーゴ。


 その答えを聞いたティメオの顔にもまた、悔しそうな感情がフッと浮かび……次には、何事もなかったように正面を向いて、力強く頷いた。


「分かりました。重ね重ねご無理を言ってすみませんでした」

「ハハハッ、同情するよ。ボクが雇い主じゃなかったらまだ可能性はあったかもねぇ」


 ユーゴの断りを受け入れたティメオを前に、ルドヴィックが勝ち誇るようにご機嫌な様子で笑った。


「あークソムカつく! てめぇ調子に乗ってんじゃねーぞ!」

「私たちの団長はあなたですよ、ティメオ団長」


 『黄の集い』の二人が思い思いに意見を述べる一方で、傲慢ごうまんな態度で高笑いをしていたルドヴィックの動きが止まる。

 振り向いた先は、大蠍の出没が予測された目的地の方角――そのなかばの砂漠地帯に何かを見つけたように、遠くを見据みすえたまま固まっていた。


 〈先見者〉が見つけるものなど、おおよそ決まって――


「チッ、また蠍の魔獣だ、――正面から来るぞ、数は十体!」


 襲撃を感知したルドヴィックの警告に、全員がすかさず攻撃態勢を取った。

 素早く大盾を身構えるティメオと並んで、片手剣を突き出しながらウォーラトがえる。


「っしゃあ! 俺たちの実力を見せてやろうぜ、団長!!」

「私もしっかり支援しますから!」

「ありがとうございます、二人とも――行きましょう」


 戦闘の意思をみなぎらせる三人が、砂地の下に潜んでいる魔獣を警戒しながらも迅速じんそくに距離を取った。

 密集していると、下からの攻撃に対処たいしょし辛いと判断したのだろう。ウォーラトを先頭に、中央をティメオとやや近くにジゼルが待機するという陣形だった。


 指示を出さなくとも咄嗟とっさ連係れんけいする『黄の集い』の練度れんどは中々のものだった。

 しかし……


「…………出て来ねぇな」


 意気揚々いきようようと身構えていたウォーラトが、静かな砂漠の景色を睨みながら呟く。

 それに対して、ルドヴィックが緊張の面持おももちで声を上げた。


「近くまで来てるぞ、砂の真下でここら一帯をぐるぐると移動してる……!」


 地面を見下ろしながら、視線の先を警戒するようにキョロキョロと辺りを見回すルドヴィック。

 そこでふと、ティメオが思い出したように顔を上げた。


「ウォーラト、油断しないでくださいね。蠍の魔獣は尾の針から毒を吐き出しますから」

「……え、なにそれ聞いてないんだけど」

「前日に話し合って確認したじゃん、このバカ、また人の話聞いてない!」


 その言葉を聞いて、オレも近くにいたシュレッサを振り向く。


「そうなのか?」

「作戦通知の書類には記載きさいした」

「……こいつらのためにも、さっきの口頭こうとうで言った方が良かったんじゃねえか?」


 大剣を片手で軽々と持ち上げるユーゴがひたいを押さえながら言った。


「わ、私はちゃんと目を通しました!」


 “こいつら”の中に自分も含まれていると思ったのか、フェリスが弓を構えつつ抗議の声を上げる。


「戦いに集中しろ、間抜けども! ――ッ、そっちに来るぞ!」

「ちッ!!」


 ルドヴィックの警告と同時、ウォーラトの近くの地面が砂をき出す。それを反射的に片手剣でぎ払うが、刀身はむなしくも空を切っていた。


「なっ――」


 驚くウォーラトの斜め後ろの地面から音もなく蠍の尾が突き上がり、その尾の先端から――粘性ねんせいの液体が吐き出された。

 勢いよく飛んだ先には、無防備なウォーラトの背が――


「〈防御結盾フェレア・スクトゥム〉、起動!」


 青年の二度目の危機を救ったのは、やはり『黄の集い』の団長であるティメオだった。


 ティメオ自身も蠍の魔獣の毒を大盾で防ぎながら、剣士の青年の方を振り返る。


「油断しないようにと言ったばかりですよ、ウォーラト。あらかじめ、強化魔術で毒の対策はしているとはいえ、対処が遅れれば簡単に死にます」

「ぐっ……わりぃ団長」

「ちなみに猛毒だ、生き物なら即座に溶け落ちる」

「…………マジかよ」


 シュレッサの補足にうめくウォーラト。次に飛び出してきた尾には、素早い動きと対処で、毒を吐かれる前に尾の体節たいせつごと斬り飛ばしていた。



 

 それから数分がち、いまだ地上に現れない蠍の魔獣の砂中からの攻撃に、少しずつ疲弊ひへいの色を見せる一同。


「こいつら、このまま出てこない気か? うぜえ……」


 砂の動く箇所を片っ端から斬り付けていたウォーラトが、うんざりとした口調で言った。


「……ふむ」


 弓矢で応戦するフェリスの隣で、オレは成り行きをながめながら、戦いには参加せずにいた。

 地面から出てこない相手に、オレの遅延魔術が役立つことはない。そう判断したオレに対してルドヴィックがやたらと険悪けんあくな視線を向けてくるが、まあ気にしないでおく。


 大剣を地面に叩き付けたユーゴのすぐ近くで、コーデルロスがゆっくりと前に進み出た。


「さて、風を使って魔獣を地表に引きずり上げることもできるが……助太刀すけだちした方がいいかな?」


 この場にいる全員にたずねるようにやや大きな声で言う風の魔術師に、一同が、一斉いっせいに、一様の動きをって振り向く。


「頼む!」「お願いします」「さっさとやれ!」

「くくっ……了解だ。単に引きずり上げるだけなら魔力の消耗も少ない、討伐の方は任せた」


 肩を揺らして笑ったコーデルロスが、先の戦闘で見せた手の動きをもう一度、実行した。


 掌を上にくるりと向ける、たったそれだけの動作で――空に吸い寄せられたように一斉に蠍の魔獣が砂の中から飛び出した。


 風の魔術による吸引の応用だろう、複雑な条件と繊細せんさいな魔力の調整が求められる至難のわざに思えるが、それを無詠唱で、しかも訳なくこなす――“風の申し子”の異名は伊達だてではないようだ。


「さて、オレもそろそろ仕事するか――〈遅延の沼レンテ・パールス〉」


 宙に浮かび上がる青白い光の文字群とともに、引き上げられて地表に出たばかりの蠍の魔獣が脚の動きを止めた。

 見えない沼にはまったように胴体から上をジタバタさせる魔獣に向けて、班の全員が動き出して反撃を開始する。


「はっ!」


 短い呼気を吐いて、フェリスが弓矢を放つ。

 はし一矢いっしが蠍の頭部、その前方をうごめく眼球をまっすぐに貫いた。


 続けて、ジゼルの強化魔術を受けたウォーラトが目にもまらぬ速度で魔獣の群れを断ち切っていく。


 ユーゴ、シュレッサもまた、近くに現れた蠍の魔獣を一刀で切り伏せる。最後に、ティメオの大盾による上段からの重撃が、引きずり出された個体を打ちのめして……戦闘は呆気あっけなく終了した。


 やがて、動かなくなった魔獣を確認し、全員が武器をおさめようとした瞬間――


「ッ、おいそこ、まだ一体残ってるぞ!」


 後方にいるルドヴィックの慌てた叫び声が響く。その視線の先で、治療術士のジゼルが驚いた表情で立ち尽くしていた。


「ジゼル……!」


 自分とわずかに距離があることを察した様子のティメオが、急いで魔封具の発動位置を指定し直すために身構える。

 だが――


「っ!!」


 ジゼルの前方の砂地から、勢いよく蠍の尾が突き出される。

 ティメオの防御結界が発動するよりも先に、蠍の尾はジゼルの腹部を目掛けて鋭く針を伸ばし――


「――ニャア!!」


 すると突然、青白い煙とともに振り下ろされた巨大なカギ爪が、すんでのところで蠍の尾をくように叩き潰した。

 確かな重量の殴打おうだが砂の地面を巻き上げて、立ち込める青白い煙と砂の中に恐ろしい影を映し出す。


 そこに現れたのは、純白の虎の見た目をした、凛々りりしい姿の巨獣だった。象よりも一回りは大きい異形いぎょうの獣が、砂漠に降り注ぐ陽の光を跳ね返して煌々こうこうと輝いていた。


 その正体はおそらく――変化の魔術を唱えたマリリーズだろう。


「うおお……すげえ……!」


 巨大な白虎びゃっこを前にして、唖然あぜんとする一同。その中から、真っ先に動き出したティメオがジゼルのもとに走り寄る。


「ジゼル、大丈夫でしたか?」

「は、はい、何とか……ありがとうございます、団長……と、虎さん?」

「にゃあ」


 聞き覚えのある、間の抜けた鳴き声が白虎の喉から出てくる違和感に、フェリスが「あっ!」と声を上げた。


「もしかして、マリリーズちゃん!?」


 ようやく気が付いたように、他の面々も、いつの間にかいなくなっていた猫を探して辺りを見回した後、ゆっくりと白虎に視線を戻す。

 そんな注目される状況に照れているのか、大きな二つの前足で顔を隠す仕草を見せる白虎。


 次には、二度目の青白い煙が噴き出して――晴れた視界には、もう白虎の姿はどこにもなかった。


 代わりに立っていたのは、魔術師の衣装を身にまとう、黒のとんがり帽子を被った小柄の少女……マリリーズだ。

 両手を後ろに組んだままにもじもじと動きながら、恥ずかしそうに言葉を発する。


「貢献できたようで、良かったですにゃ……こほん、良かったです」

「こ……こっちも可愛い!?」


 変身を解いた姿を見て衝撃を受けたように、頓狂とんきょうな大声を出すジゼル。

 先ほどの白虎よりも明らかに興奮した様子で、治療術士の少女がマリリーズに抱き付く。


「にゃあ!?」

「かわ、かわいい~!!」

「分かります……! 猫さん形態も良いですけど!」


 ジゼルに同意しているのか、オレの横でフェリスがぶんぶんと首を縦に振っていた。

 抱き付かれたマリリーズはどういう感情の悲鳴なのか、終始よく分からない声を漏らしつつもされるがままに立ち尽くしていた。


「……はあ、無事で良かったぜ」

「申し訳ない、一体だけ打ち上げそこねていたようだ、謝らせてくれ」

「いや大丈夫っスよ、油断してた俺たちが悪いんで」


 再び、片手剣を腰にるし直したウォーラトが、謝罪するコーデルロスに笑いながら言った。


「…………」


 場の空気が柔らかくなる一方で、わずかに悔しそうな感情を面に見せるティメオ。

 団員を危険な目に合わせてしまったことへの自責じせきの念が、きつく結ばれた口元に浮かんでいた。


 そこに大きな影を落とすようにして並んだのは、ユーゴだ。


「……あまり気にするな、ティメオ。……俺が言えた台詞じゃねえことは、分かってるが」


 じゃれ合う少女二人の様子を眺めながらぼそりと言うユーゴに、……ティメオが小さく頷いてこたえた。

 そして、一連の戦闘を見守っていたシュレッサが仕切り直すように手を叩く。


「――大蠍の潜む地点まではまだ先だ。引き続き、警戒を怠るな」


 こちらに視線を巡らせて告げる男の言葉に、全員が頷き――オレたちは歩みを再会することにした。

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