大東亜戦争に敗北して分断統治された日本国を救え! 時空戦士、集合せよ

@vizantin1453

第0話:物語の始まり

 西暦21××年、広島県呉市にある朝霧コーポレーション本社会長室にて朝霧翁がスーパーコンピューターを操作していた。


 我々がいる世界は無数にある平行世界の一つで個々の世界毎に歴史が刻まれていくが勿論、全てが一緒ではない。


 その中でも朝霧コーポレーションは数ある平行世界の中でも日本と言う祖国が滅亡してしまう世界を出来る限り救おうとして朝霧グループが持つ超最新鋭テクノロジーの力を以て歴史改変をしているのである。


 勿論、全てが成功するわけでもなかったが最悪の事態は何とか避けられている。


 最近は、平行世界の一つから伊400と言う大日本帝国海軍潜水空母がこの世界にジャンプしてきたのだが最新鋭兵器で固めた装備で再び元の世界に送り出して見事、滅亡寸前の日本を救ったのである。


 高天原女王『天照』からの報告では、『日下敏夫』海軍少将が見事、その世界を救い今後は輪廻の垣根を解脱して多々の平行世界を救う時の旅人として永遠の時を過ごす事を決意したと言う。


「……ふむ、あの伊400なら十分、任せられるが……そうか、永遠の時の旅人を選んだのか」


 ふと懐かしさを覚えたが今はその思い出に浸る事は出来ないので日本の絶対危機の平行世界を検索する。


 検索して一時間後、ヒットしたが緊急性を示すシグナルが最悪最凶レベルである漆黒の光点が点滅している世界である。


 急いで朝霧はその世界を検索すると茫然となり、暫くキーボードを打つ手が止まってしまい思考が数分間、停止したが直ぐに我に返り内容を確認する。


「……誰かいるか! 緊急事態だ!」


 朝霧翁が叫ぶと共に一瞬にして翁の傍に一人の青年が出現して片足をつく。


「御前! 如何致しましたか?」

「至急、伊勢神宮の祭主様に連絡してオンライン通話を要請すると」


 翁の言葉にその青年は一言「御意!」と言い、一瞬で姿が消える。


 数分後、翁の前にあるモニターにオンライン通信のシグナルが光りそれに切り替えると祭主が出て来る。


「まあ、如何致しましたか? 血相を変えていますが何か悪い事が?」


 祭主の問いに朝霧は別世界の日本の九割が滅亡していて僅かな光も又、消滅寸前だと言うと祭主は直ぐに真剣な表情になる。


「分かりました、今から天照様と交信しますので暫しお待ちを」


 そう言うと祭主はオンライン通話を終了して画面が真っ暗になるが朝霧翁は再びその世界の状況を確認する。


 昭和16年12月8日から始まった真珠湾攻撃から昭和20年8月13日までは自分達の歴史と一緒であったが14日にポツダム宣言を受け入れて15日に実施する国民に向けた放送が予定されていたが陸軍の血気溢れる若手将校によりクーデターが発生して講和思想を持つ者達をことごとく始末して実に数百名の血が流されたのである。


 クーデターに成功した若手将校達は、戦争継続を決定して徹底的な本土決戦にて連合軍に大打撃を与えて日本が最終的に勝利するという目的を見出す。


 だが、そうはうまく行かなくて同年11月1日に実施されたダウンフォール作戦の一角であるオリンピック作戦が実施されて南九州はぺんぺん草も残らない程の焼け野原となり数十万の兵士と民間人が犠牲になったのである。


 この南九州本土決戦では保有する限りの特攻兵器を駆使して出撃したが全てが最新鋭の兵器によって駆逐される。


 南九州を陥落させた連合軍はその地に大飛行場を建設すると共に新たに配備された原子爆弾を小倉・熊本に投下して壊滅させる。


 広島・長﨑に続いて三発目・四発目が投下されて数十万が死亡する。


 それでも東京のクーデター政権は戦闘意欲が旺盛で一億総玉砕で最終的に日本が勝つと信じていたのである。


 翌年の3月1日、コルネット作戦が発動されて相模湾・九十九里浜に無数の連合軍が上陸して非戦闘員を巻き込む壮絶な戦いが繰り広げられるがこの時ばかりは日本国民も本気になり徹底的なゲリラ活動をして戦いが長引きその間にも大阪・京都・奈良・新潟・神戸・横浜等日本の都市の殆ど合計50発の原子爆弾が投下されて廃墟になる。


 最終的に昭和21年12月25日に陸軍及び海軍の組織抵抗は終わり若手将校達も最後は万歳突撃をして玉砕する。


 だが、この時点でソ連軍が北海道と東北に上陸して次々と各地を制圧していくが米軍を始めとする連合軍も実に100万近くの大被害を生じていたのでソ連の行動を阻止できる力はなかった。


 スターリン書記長はトルーマン大統領に北海道全域と東北地方の統治を認めてもらえばこれ以上、進撃することは無いと半ば脅しであったがこれを阻止できる事が難しかったのでそれを了承する。


 松代大本営は連合軍により制圧されて裕仁陛下以下皇族の大部分が捕らわれてしまい連合軍の監視下の下、裕仁陛下による言葉で戦争は終結する。


 だが、ここからが日本にとって最悪でかねてから連合国の間で交わされていた日本分割統治を実施する事になる。


北海道と東北は、ソ連。

関東・信越・東海・北陸・近畿は、アメリカ合衆国。

四国は、中華民国。

中国・九州は、イギリス。

東京は四カ国共同統治となる。


そして生き残りの軍人達を始めとする戦争継続を唱えた者達は捕らわれて収監されて沙汰を待つ身となる。


この時の日本の各都市の状況だが実に千万単位以上の非戦闘員、即ち一般市民が亡くなったのである。


農業の根幹が破壊されて主な水源である湖や川は毒ガスを始めとする細菌兵器で汚染されており、日本全土で飢餓が蔓延り餓死していく者達が毎日のように発生して死体はそのまま野犬や鴉に食べられてしまう正に地獄の様相であった。


裕仁陛下達を始めとする皇族の殆ども各地に収監されて数か月後に行われる東京裁判まで監禁されているのである。


昭和22年5月10日、東京裁判が行われるがABC戦犯の他にS級戦犯が設定されてそれに該当するのが裕仁陛下であった。


この処置はソ連が特に強固に主張してその意見が通された結果である。

そして処刑日時が昭和22年8月15日に実施されることが決定となったのである。


朝霧翁が見つけた最悪な状況と言う世界が今しがた紹介した平行世界の日本であり緊急性が必要であった。


尚、消息不明で全世界に指名手配された戦争犯罪人として『樋口季一郎』の行方は分からなかったのである。


特にソ連は『樋口季一郎』をどんな手段をもってしても捕らえて処刑したい最優先人物であった。


この最悪な状況を知った朝霧は色々とその世界の情報を検索して取得していた。


それから間もなく伊勢神宮の祭主が再びオンライン通信で現れると天照様はもう手遅れでどうしようもないと見捨てるつもりでいたとのことだが何か方法があれば教えて欲しいとの事を朝霧翁に伝える。


朝霧は数々の並行世界において絶望状態であった日本を救った伊400と日下敏夫少将をジャンプさせてみればと提案したが天照によると彼らは現在、別世界にいて無理だと言う。


 朝霧は現在、計画中の“暁の再生光”計画を前倒しにしてこの世界に最新鋭兵器を送り込もうと提案する。


「そうなると……貴方達の言葉で言うと陸戦隊? 海兵隊? に該当する人材も必要ですね? 軍艦も必要だと思いますが当てはあるのですか?」


 朝霧は頷くと現在、朝霧造船所にて旧日本海軍陽炎型駆逐艦を真似た“雪風”を建造中でほぼ、完成しているが強度等の各種耐性実験がまだだがこれをその世界にジャンプさせようと提案する。


「艦長を始めとする人選も9割は終えていますが彼等との接触は未だなのですが至急にアプローチに入ります」


「そうですか、ちなみにあの世界にジャンプして救助する時間を考えればこの世界との時間軸の交差にこの世界で後、二月しかありませんが?」


 祭主の言葉に朝倉はじっと少しだけ考えていたが何とかしますし私が選んだ者達は優秀な人物ばかりなのでと言うと祭主も半分、諦め顔で頷く。


「貴方は昔から緻密さに優れていたかと思えば杜撰で楽観視で失敗する事もありましたわね? 貴方が起こした本能寺の変とか? 一方、大阪冬・夏の陣では用意周到に準備して行動に移しましたね? 本当に貴方は面白い方ですね」


 祭主の言葉に何も言い返す事が出来なかった朝霧翁、実は明智光秀そのもので黒衣の宰相と言われた天海僧正でもあったのである。


「おほん! 祭主様、昔の事は昔です! この二月の間で準備します」


 朝霧翁の言葉に祭主は笑みを浮かべて頷くと天照様も半分は期待して半分は駄目だろうと思われていますので無理なさらずにと言うとオンライン通信を切る。


 朝霧は椅子から立ちあがると呉軍港全体が見渡せれるバルコニーに移動する。

「……先ずは人材確保だな、最初はやはり艦長候補の『富嶽武雄』だな」


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