美術館ビームを感じ注視すサージェントの油絵ベドウィン首長
先日、美術館に行ったら、ある方向からビームが出ているように感じたので、これは? ビームの源の絵に近づいてみたら、それはサージェントの「ベドウィン・チーフ」という作品でした。
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ジョン・シンガー・サージェント(1856-1925)はアメリカ人ですが、イタリアのフィレンツェ生まれで、活動拠点はフランスと英国。フランスで描いた「マダムX」がスキャンダルを引き起こし英国に逃避、「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」で認められました。ざっくり言って、とにかく絵がうまい人です。
先日、美術館に、彼の新しい絵を見つけました。
他の四作品(こちらはまあまあの出来)は知っていたのですが、これが展示されているのを知りませんでした。部屋をぶらぶら歩いていた時、ふと、五メートルほど先から強い視線みたいなものを感じたので近づくと、そこにベドウィンの肖像画がありました。
作者を見ると、サージェントで、タイトルは「ベドウィン
つい最近、寄贈されたそうです。
ああ、あの絵だとわかりました。
サージェントはヨルダンやシリアを旅行した時に描いた水彩画がたくさんありますが、この油絵は個人蔵なので、ホンモノは見る機会がないと思っていました。
でも、会えました。
この絵、パワーがはんぱじゃないです。人物が、今にも、怒りそう。
ベドウィンとは砂漠の住人。らくだや羊を飼ったりしながら、砂漠を移動して、家族単位で、暮らしています。水がないから、そんなに大勢では暮らせません。
文明から離れて暮らしているので、町の人からは見下されている傾向があります。
そのせいでしょうかね。この若いベドウィンの表情からは、プライドと、反骨精神がうかがえます。下手なことを言ったら、威嚇されそう。
荒い平織のマントの下からは、太い腕が見えます。あの腕で、ラクダを飼っているのでしょう。
現在の、この都会という砂漠にも、ああいう表情をしたベドウィンはいますよね。でも、少し知り合うと笑ったりして・・・・・・。
この青年チーフも、実は、純朴で柔和な青年かもしれません。そう見えますか。
この絵の所有者は、この美術館に贈ると遺書を残したのでしょうね。価値のわからない身内に残したら、絵がかわいそうですものね。
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