余命宣告された少女はナンパ女と最後の時を過ごす

猫好きのユリスキー[書き手挑戦中]

失恋女の初ナンパ(する側)



…さて、どこかに可愛い女の子いないかな?



先日、同棲していた[彼女]にフラれた私は、失恋の悲しみを紛らわすために、夜の繁華街で初めてのナンパに挑戦していた。


…ナンパとは言っても、傍から成功するなんて思っていない。

だって私は異性…男性ではなく、同性の女性をナンパしにきたからだ。

LGBTQ?が広まって、同性カップルなどの特殊な性指向への考えが寛容になったとはいえ、まだまだ同性同士の交際に忌避感を抱く人は多い。


…だからこそ、今回彼女にフラれたのがショックだったりするんだよな…なんだよ新しい彼女ができたって。


確かに最近は仕事が忙しくて構ってあげられなかったけど、彼女も私の仕事については理解を示してくれていたと思っていたのに…構ってあげられない分、ちょうど1ヶ月に控えた同棲1年目の記念日には、2人でディナーでもしようと考えていた計画が全部パーだ



「…やっぱり、こんな男みたいな女じゃ嫌だったんだろうな」



私は、世間で言うところのボーイッシュな格好が好きだ。

仕事の邪魔になるから髪は短めだし、動きづらいヒラヒラした洋服は苦手だ。そんな私の性格と、元々の高い身長が合わさって、通っていた女子校では中々モテていたし、付き合っていた彼女だって、彼女の方から告白してくれた。

…でも、結局そんな彼女が選んだのは、背中まで届くロングヘアーで、ジーンズではなくスカートを履いた、可愛いらしい…「女の子らしい」女性だった。


ほんっとに馬鹿らしい。


脳内で1人愚痴りながら歩いていると、視界の端に、1人の少女が写った。



…その少女は、特別可愛いって訳でもなく、どちらかと言えば彼女…いや、元カノの方が可愛いだろう…。それでも、私は少女に目を奪われた。


ハイライトがなく、暗く、何も映していないように見えるのに…尚も輝いてる綺麗な黒い瞳から目が離せなかった。


気付くと、私はその少女に声をかけていた。



「ねぇ…今、暇?…暇ならちょっと…お茶しない?」



ナンパ経験なんて一度もない私が、咄嗟に過去にされて嫌悪感を抱いた、あのナンパ男と同じ言葉を使うなんて…と、我ながら笑えてくるが、何故か勝手に身体が動いたのだ。

少女の暗い瞳を見つめたら、声をかけずにはいられなかった。

すると、少女はこちらにゆっくりと顔を向けてくれて…



「…お兄さん…ナンパ?」


…訝しげな視線で、私を「お兄さん」と呼んだ…少しショック…


「ん"っ…悪いけど、「お兄さん」じゃなくて「お姉さん」なんだよね、私…」



自分としては間違えられる事など良くある事ではあるが、流石に初のナンパで男と間違えられるとは思わなかった。凹凸の少ない自分のスタイルを少し恨んだ。



「えっ…そ、そうだったんですね、なんか…すいません」



少女は、律儀にもナンパしている私に1度謝ってから。



「それで…お姉さんは結局、ナンパなんですか?」


「…うん…ナンパだね」


「…お姉さんが…私を?」


「…そう、私が、貴方を」



少女は、今度は疑惑の視線を私に向けてきた。


やっぱり、同性に対するナンパなんて成功する訳ないか…今日は帰って寝よう…そう考えていると



「…ナンパって、私と付き合いたい…って事ですか?」


「えっ?…あーっ…うん、そうだよ」


「…良いですよ。ナンパ、されてあげます」


「えっ…い…いいの…?」


「その代わり…私、面倒なこと嫌いなんですよ」


「…?」


「付き合いましょうか。私と」


「…??」


「だーかーら…」



突然の少女の発言に理解が遅れていると、少女は私との距離を詰めて…私の唇に、自分の唇を重ねた…「んっ…?!?!」



「…付き合いましょ?私と。…お姉さんも、私と付き合いたいからナンパしたんですよね?」


「そ…そうだけど…!ホントに…良いの?」


「はい、良いですよ」ニコッ



少女は、私の当然の指摘に、笑顔でYESと答えた…。



「あっ、1つ言い忘れた事があるんですけど」


「?」



「私、あと1年で死ぬので。そこだけ理解お願いします」







「……えっ…?」



「やっぱり、流石に10ヶ月ぐらい経ったら動くのも辛くなると思うから、できれば病室まで会いに来て欲しいな〜…って私は思うんですけど…」


「ちょ…ちょっと待って…言ってる意味がわからないんだけど…?」



おかしい。急に話が狂いすぎている。付き合えたのも中々に異常事態だが、この話はそれを軽々と超えている。…それに。



「お姉さんって…物わかり悪いですね?わかり易く言うので、次は理解してくださいね?」


もしこの話が本当だとしたら…


「私は、心臓に病を患っていて、あと1年で死ぬと余命宣告を受けています」


なんで…


「だから、あと1年ではあるんですけど…」


なんでこの少女は…


「これから1年間、よろしくお願いしますね?お姉さん」



なんでこの少女は、こんな話をしながら…笑っているんだ…?






…今日、元カノにフラれた私には、新しく…余命宣告を受けた、年下の「カノジョ」ができました。




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この小説をもし読んでくれた人がいるなら…


3日前に執筆を開始した初心者の、初めてのシリアス要素を混ぜた小説です。


モチベーションの上昇に繋がるので、

[フォロー] [♡] [☆] [コメント]良ければお願いします。


シリアス要素皆無の自分の別枠の連載している・「マタタビで学年1の美少女が釣れた」

や、1話完結の・「私の彼女は素直になれない天邪鬼あまのじゃく」も良ければ読んでくれると嬉しいです。


それでは、読んでいただきありがとうございました。

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