第26話 謎のシンクロ

 時は一度、現在に戻ります。

 と言っても、ちょっと前の話ですが……。


 二年ほど前のことだったと思います。

 仕事中、釜瑪はなぜか、すごく、すごーく、カレーが食べたくなりました。

 今夜はカレーにしよう、そう思いながら、仕事帰りにスーパーへ寄り、材料を買うと速攻帰ってカレーを作りました。


 普段、一番最初に家に帰ってくるのは釜瑪で、そのあと次男が夜の九時から十二時くらいのあいだに帰ってきて、長男は夜勤なので、深夜二時から朝の五時くらいに帰ってきます。

 この日は長男は仕事が休みだったらしく、出掛けていて帰ってきたのは二十時頃。


「え……? 今日、カレーだったの?」


 玄関を開けるなり、そう聞いてきます。


「そう。仕事中に急に食べたくなって。なんで? 嫌だったの?」


「いや……急にカレーが食べたくなって、レトルトカレー買ってきちゃったよ……」


 手にしたレジ袋に、レトルトカレーが三パック……。


「なにやってんの……馬鹿じゃないの?」


「まさかカレー作るとは思わないじゃん。まあいいや。レトルトは、また今度食うから」


 長男がカレーを食べ、数時間すると次男が帰ってきました。

 部屋に入ってくるなり


「ねえ、なんで今日カレーなの? レトルト買ってきちゃったじゃん」


 はあ?

 ですよ。


「あんたたち二人とも、なんなん? なにレトルトカレー買ってきちゃってるの?」


「カレー作るなら作るって言ってよ!」


 いやいやいや、こっちだってレトルトカレー買ってくるなんて思ってないですからー!!!

 しかも、同じ日に。


 なんなんですかね?

 謎のテレパシーでも流れているんでしょうか?

 釜瑪家では、時々、変なシンクロが起こります。


 このカレーのときより何年も前、私の誕生日に、長女が私が欲しかったものを買ってくれまして。

 ちょうど、仕事から帰ってきたときに、玄関で宅急便を受け取ったんですけど、なにも聞かされていなかったので嬉しくて、すぐに包みを開けつつ部屋に入ると、これまた、たまたま休みの長男がいまして。


「ねー、見てこれ! 欲しかったやつ、長女が買ってくれたよ~」


 と自慢げに言うと、長男は「あ、そう?」と素っ気なく言いつつ、テーブルの上を指さします。

 そこにはなんと、私が手にしているものと全く同じものが!!!


「え……なにこれ?」


「いや、欲しいって言ってたから、買った」


 ちょwwwwwwwwwwwwwwwww

 欲しかったやつぅ~~~~!!!!!

 とは言え、二個は……二個はぁ~~~~!!!!!


 ありがたく頂戴し、一個は替えようにしましたが……。

 ホント、なんなんですかね?

 このシンクロ率。


 我が家だけで起こることではないと思っていますが、実際、どうなんでしょうね。

 でも、きっと似たようなエピソードをお持ちの人は多いかと(信じたい)


 さて、次回はまた、中学時代に戻ります。

 引き続きお付き合いいただけると嬉しいです。

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