第3話 H高校 ③
2025/5
「教科書を燃やせ!」
「受験放棄を決行せよ!」
青告白の甘酸っぱさを味わうことはなく、
焦げの臭いに侵された校庭の裏は
少年少女の奮心をただ黙って見つめていた
今から一年後の晩春の頃、
可愛かったDKリャリャは逞しい男のコになっていた
今日、5月27日が誕生日のリャリャは法の下で大人となった、子供であった
隣にはJKシャヤがいて、ラッキーストライクに火をつけた
一口吸ってリャリャの目の前にそれを差し出した
リャリャは咥えて吸って咽せて吐いた
またシャヤは吸った
フィルターの薄茶色にシャヤのベージュが色を重ねて、少し光がかかったように見えた
・・・・
偏差値58ほどの公立H高校において
リャリャは群を抜いた秀才だった
元々、県内トップレベルの高校においても合格の可能性があるほどの学力の持ち主だった
母子家庭で私立に行くことは許される環境ではなかったから、確実に合格できることと、程よく家から近かったH高校を選択した
一年生の初めのテストでは、学年で2番の成績を取った。
それ以降はずっと1番だった。
真面目で素直で勉強もできる。
高校生活初めてのテストからニ年後には、偏差値、学歴社会を否定しヤニを燻らすようになっていた。
・・・・
シャヤは、最初のテストで1を見て、その一の数字は馬鹿馬鹿しさを表していることに気づいた。自分を子馬鹿にするような1を嫌い、それ以降は出来るだけ大きい数字を獲得するよう努めた。ニ回目のテスト以降は300より大きい数字しか見なかった。
ニ年後、リャリャの隣で燃える教科書を見て、学園生活1番の青春を感じていた
・・・・
リャリャが偏差値、学歴社会に喧嘩を売ることを決意したのは二年生の夏休みの頃だった。
丁度、読書のため散歩に出かけた河川敷で一つ葉のクローバーを見つけた。
クローバーは茎に成長点があり一つの成長点から3つの葉が出るのが普通だ。それで、よく見かけるのは三つ葉のクローバー。
踏まれたり、傷ついたり、刺激を受けると成長点から出るはずの葉が2枚に分かれたりする。幸運のシンボルの四つ葉のクローバーはこうして生まれる。確率は一万分の1とも
リャリャは、一つ葉のクローバーを見つけた。
成長点から葉が出ないことは基本的にはあり得ないことで、二つ葉は500万分の1とも
リャリャは、そのことを知っていた。
一つ葉のクローバーを摘み、その場所に本を置いた
本のタイトルは
「幸せな人生」
それを捨てた、リャリャは
鬱積していた想いを解放した
1億分の1の奇跡がリャリャの反抗心を開拓した
REBEL
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