第28話 影との激戦

新たな影が現れ、葵が壁に引きずり込まれた後、一輝、藤本、そして玲奈の三人は再び決意を固め、影に立ち向かう準備を始めた。彼らは葵を助け出すために全力を尽くすことを誓い、暗い通路の先へと進んでいった。


廊下を進む一輝たちは、壁の亀裂から冷たい風が吹き込むのを感じた。その風には、まるで霊の囁きが混ざっているかのような不気味な音が含まれていた。ヒューッ、ヒューッと風が吹き抜ける音が響き渡り、彼らの背筋を凍らせた。


「葵さんを見つけなければ…」一輝は強い決意を胸に抱きながら言った。


玲奈は不安そうな表情で一輝に近づき、「私も手伝う。私の家族もこの呪いに囚われている。だから、何としても葵さんを助けたい」と言った。


藤本は呪文書を手にしながら、「気をつけて。この影は強力だ。私たち全員の力が必要だ」と注意を促した。


通路の先に進むと、再び巨大な部屋が現れた。部屋の中央には古びた石の台があり、その周囲には異様な模様が描かれていた。ギギギギと不気味な音が響き渡り、部屋全体が揺れ始めた。


「ここが…影の中心かもしれない。」藤本は慎重に石の台を調べながら言った。「この模様には何か意味があるはずだ。」


その時、影が再び姿を現し、部屋全体に冷たい風が吹き荒れた。バサバサと風が巻き上げられ、視界が遮られた。影は一輝たちに向かって猛攻を仕掛けてきた。


「影を封じ込めるためには、この石の台を使うしかない。」藤本は呪文書を開き、急いで呪文を唱え始めた。


一輝と玲奈も力を合わせ、影に立ち向かった。冷たい風が彼らの体を包み込み、まるで無数の針が刺さるような痛みが走った。ヒューッ、ヒューッと風の音が一段と強くなり、彼らの動きを制限していった。


「私たちをこの洋館から解放してくれ!」一輝は心の中で叫びながら、影に向かって突進した。しかし、影は強力な力で一輝を弾き飛ばした。ドサッと地面に倒れ込み、一輝は痛みに耐えながら立ち上がった。


「影を封じ込めるためには、もっと強力な呪文が必要だ…」藤本は焦りながら呪文書をめくり、新たな呪文を探し始めた。その時、玲奈が壁に刻まれた古代の文字に気づいた。


「この文字は…解放の呪文かもしれない。」玲奈は震える手で文字をなぞりながら言った。「これを使えば、影を封じ込めることができるかもしれない。」


藤本は玲奈の言葉に従い、その呪文を唱え始めた。グググと石の台が光り輝き、部屋全体が青い光に包まれた。影はその光に押されるように後退し始めた。


「今だ、みんなで力を合わせて!」一輝は叫び、三人は力を合わせて呪文を唱え続けた。影の姿が次第に薄れていき、冷たい風も徐々に収まっていった。


「これで…終わるのか…?」玲奈は息を整えながら言った。


その時、再びギギギギという不気味な音が響き渡り、壁に大きな亀裂が走った。亀裂の中から、葵の声がかすかに聞こえた。


「助けて…」葵の声が再び響いた。


一輝たちはその声に駆け寄り、亀裂の中に手を伸ばした。冷たい風が吹き込む中、彼らは何とか葵を引きずり出そうと必死になった。


「葵さん、しっかりして!」一輝は力を振り絞り、葵を引き出した。葵は疲れ果てた様子で、冷たい汗をかきながら一輝にしがみついた。


「ありがとう…助かった…」葵はかすれた声で言った。


「まだ終わっていない。影は完全に消えていない。」藤本は冷静に言いながら、再び呪文書を開いた。「この呪文を使えば、影を完全に封じ込めることができるはずだ。」


一輝、玲奈、そして葵は力を合わせ、最後の呪文を唱え始めた。グググと石の台が一層強く輝き、影の姿が完全に消え去った。部屋は再び静寂に包まれ、冷たい風も止んだ。


「これで…本当に終わったのか?」一輝は息を整えながら呟いた。


「いや、まだだ。この洋館にはまだ他の秘密があるかもしれない。」藤本は壁の文字を見つめながら言った。「私たちはさらに調査を続けなければならない。」


玲奈は涙を拭いながら頷いた。「私も手伝う。この洋館の呪いを完全に解くために。」


一輝たちは再び決意を固め、洋館のさらなる謎と恐怖に立ち向かう準備を始めた。しかし、彼らが次に何を発見するのか、どれほどの危険が待ち受けているのかは、まだ誰も知らない…。

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