第22話 新たな恐怖
霊の解放儀式が終わり、一輝たちは一息ついていた。しかし、冷たい風が再び吹きつけ、新たな影が部屋の隅に浮かび上がった。
「これは…一体何だ?」一輝は呆然と立ち尽くした。
藤本と葵もその異様な光景に息を呑んだ。「新たな霊が…存在するのか…?」
影はゆっくりと動き出し、部屋全体が再び揺れ始めた。「まだ終わっていない…」影の中から低く冷たい囁き声が聞こえた。
ゴゴゴゴゴという地鳴りのような音が響き渡り、床が震え始めた。影は一輝たちに向かって近づいてくる。
「気をつけて!この霊はさっきのよりも強力だ。」藤本は再び呪文書を手に取り、必死に対策を考えた。
「どうすれば…?」葵は恐怖に震えながらも、決意を固めた。
一輝は冷静さを保ちつつ、周囲を見渡した。「何か…この霊を封じ込めるための方法があるはずだ。」
その時、壁の一部が崩れ落ち、古い秘密の扉が現れた。ガラガラという音と共に、扉がゆっくりと開いていく。中には古代の文様が描かれた部屋が広がっていた。
「ここが…最深部かもしれない。」藤本は呟いた。「ここに、この呪いを解くための手がかりがあるかもしれない。」
三人は扉の向こうに進み、古代の文様が描かれた部屋に足を踏み入れた。部屋の中央には石の台があり、その上には奇妙な模様が刻まれていた。
「これが…鍵かもしれない。」一輝は低く呟いた。「この石の台を使って、何かできるはずだ。」
突然、影が部屋に侵入し、強力な風が吹き荒れた。バサバサと壁に貼られた古い紙や布が風に巻き上げられ、彼らの視界を遮った。
「このままでは…やられてしまう。」葵は必死に叫んだ。
藤本は冷静さを保ちつつ、石の台に刻まれた模様を読み解こうとした。「この模様は…結界を作るためのものだ。」
一輝は藤本の指示に従い、模様に手をかざしながら呪文を唱え始めた。葵もまた、全力で霊を抑え込むための呪文を唱えた。
「今だ!全員で力を合わせるんだ!」一輝は叫んだ。
ギギギギと石の台が光り輝き始め、強力な結界が部屋全体を包み込んだ。影は結界に押しつぶされるように消え去り、部屋は再び静寂に包まれた。
「これで…終わったのか?」一輝は息を整えながら言った。
「いや、まだだ。」藤本は冷静に言った。「この洋館にはまだ他の秘密があるかもしれない。私たちはさらに調査を続けなければならない。」
その時、部屋の奥から再び低い囁き声が聞こえた。「次は…もっと深い闇が待っている…」
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