ライブの向こうに見えた夢

第1話 プロローグ

門司港の静かな海辺に位置するFM局でパーソナリティを務める**佐藤美咲**は、毎日の穏やかなラジオ放送に心を寄せていた。青い海が広がるこの町では、波音が耳に届き、海鳥の声が風に乗って運ばれてくる。朝日が海面に反射して輝く様子や、夕暮れ時に染まる空の美しさが、彼女の心を落ち着かせてくれる。

美咲の声はリスナーたちの心に柔らかく響いていた。しかし、彼女の心の奥底には、見えない渇望が静かに燻っていた。それは、新しい挑戦への渇望だった。

日常のリズムに慣れ親しんでいる一方で、美咲は何か新しい刺激を求めていた。ラジオ局の窓から見える穏やかな海景色に癒されながらも、彼女の心は時折、遠くへ飛んでいくような感覚に包まれていた。潮の香りと共に、変化を求める気持ちが彼女の中で膨らんでいく。

そんなある日、彼女の元に意外なオファーが舞い込む。ジャパネットたかたからの連絡だった。福山雅治のコンサートグッズをライブで販売する通販MCとしての役割を引き受けてほしいというのだ。

「通販MC...私にできるかしら？」

美咲は不安と興奮が交錯する中でその提案を受け取った。これまでとは違う新しい世界への扉が開かれようとしていた。彼女は自分の内側にある情熱に気づき、その情熱が新たな挑戦への第一歩を踏み出させる。

ラジオ局の窓から見える夕焼けに染まる港の風景は、美咲の心を温かく包んでいた。彼女の心には、まだ見ぬ未来への期待と共に、未知の世界への一抹の不安が入り混じっていた。しかし、その不安さえも彼女にとっては甘い誘いだった。新しい自分を見つける旅が、今まさに始まろうとしている。

門司港の穏やかな風景の中で、美咲の心は高鳴り、彼女の物語の新たな章が幕を開ける。