第7話:人とガイノイドの本質。

さて〜ウランちゃんとのデートの当日。


アトムはウハウハでユー・メイ・ドリームにウランちゃんを迎えに行った。

ウランちゃんは店の二階に他のメイドさんたちと一緒に暮らしてる。


当然店の裏には管理人がいる。

管理人もガイノイド・・・ちょっと怖そうな30過ぎのおネエさん。

基本、人間と違ってガイノイドにおばちゃんはいない。

需要がないこともないが、若いガイノイドに比べて人気がないからだ。

だから受注生産になっている。


管理室のおネエさんに軽くお辞儀をしておいて

俺は店の裏の勝手口から顔をつっこんでウランちゃんを呼んだ。


「ウランちゃ〜ん・・・お迎えだよ〜・・・アトムだけど〜」


そしたらアンちゃんが顔を出した。


「おっはよ、アトムちゃん」


「おはよう、アンちゃん」


アンちゃんのすぐ後ろにレイちゃんがいた・・・で、その後ろにウランちゃん

がいて俺に向かって手を振った。

当然、俺は手を振り返すわけで・・・。

そしたらレイちゃんが手を振り返した。


ウランちゃんだって・・・レイちゃんじゃなくて・・・。


三人まとめてホテルってのもありだなって、アトムはいけないことを

つい考えてしまった。

そんな不謹慎なこと考えるだけでもアウトだろって自分を戒めた。

俺はウランちゃん一筋なんだからな・・・。


ヤリはしなくても男って、時々そんなことを考えるんだよな。

ヤリはしなくても根っからの浮気性なのかもな、男って・・・。


ガイノイドだって人間の女性の基本的な部分をインプットされて

作られてるんだろ?

だからさ、いやらしいって言うかエッチい部分だって持ってるわけだろ?

ヤッたことなくてもエッチの仕方だって知ってるはずだよな。


って俺は、これからデートだってのになにを考えてるんだろ?


「遅いな〜ウランちゃん」


そしたら二階からウランちゃんが降りてきた。


「お待たせ、アトムちゃん」


そしたらすかさずレイちゃんが言った、


「アトム〜ドジ踏むなよ」


「レイちゃん、ご親切に・・・余計な御世話だよ」


「ちゃんとウランちゃんエスコートしないとデートは今回限りで、おしまい

なんてことになりかねないんだから・・・ちゃんとしろよ」


「だらさ、レイちゃんは僕の母ちゃんでも姉ちゃんでもないんだから

クチ出ししないでほしいな〜」


「あななたちがデートしたら?」


ウランちゃんが不機嫌そうに言った。


「あ、ごめん・・・そういうんじゃないから俺たち」


「そうだよウランちゃん、アトムは私のタイプじゃないから」

「百万年口説かれてもないから・・・ずえ〜ったい」


「それよりふたりとも仲良くね」

「めでたく彼、彼女になれたらお祝いしてあげるわ」

「いってらっしゃい」


レイちゃんとアンちゃんと管理人さんに見送られて俺とウランちゃんは、

店を後にした。

しばらく歩いて商店街へ。

デートって言えば遊園地、まずはアミューズメントパークだよな。


そのまえにカフェにでも寄って何か食うかな。

朝飯食ってないし・・・。

だからウランちゃんをいざなってオープンテラスに座った。


「ウランちゃん・・・なにか食べる?」


「って言うか、ガイノイドでもご飯食べるよね」


「食べるよ」


最近ではガイノイドも人間と同じで食事をとることができる。

だから、普通に排泄機能も付いている。

まあそれだけ、ガイノイドと人間の女の子は遜色がないってこと。


ガイノイドは自分がガイノイドだよって言わなきゃ分からない。

俺はウランちゃんやユー・メイ・ドリームのメイドさんがガイノイドだって

知ってるからね・・・。


「アトムちゃん・・・なんで私みたいなガイノイドがいいの?」

「人間の女の子とお付き合いすればいいのに・・・なんでガイノイドって

言うか私じゃなきゃいけないの?」


「あ〜僕、人間不信って言うか女性恐怖症なんだ・・・あることがあって

人間の女性は受け付けなくなっちゃって・・・」


「そうなんだ・・・でもガイノイドだって人間の女性と同じで感情持ってるよ」

「笑うし、泣くし・・・怒るし、わがままだって言うし・・・喜怒哀楽だって

あるんだよ」


「私だって同じだよ・・・アトムちゃんは私になにを求めてるの?」

「ガイノイドは人間より無感情で性格的に穏やかだから自分だけの人形に

なってくれるって思ってるの?」


「いや〜そんなことは・・・」


まったくもっても的を得た言葉だった。


つづく。


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