C-2 蒼とメイの会話

その日、蒼ちゃんは浮かない顔をしていた。


「蒼ちゃん、どうしたの? 元気ないね」


「うん、昨日、遼馬君のうちに泊まったんだけど……」


え? もうそんな進展してるの?

やっぱり都会の子は違うな……


「ちょっと強引だったかな、って」


「お泊まりしたことが?」


「ううん。泊まりは、お兄ちゃんも一緒だから、大丈夫だけど……」


なんだ、北斗先輩も一緒なら安心か。

ん? 北斗先輩、遼馬先輩とキスしてたな。

安心どころかBLだ。

むしろ、蒼ちゃんがいるから大丈夫?みたいな?


「よかれと思って頑張ったんだけど、遼馬君、落ち込んじゃって……」


「え? 何を頑張ったの?」


「遼馬君が気持ち良くなってくれることを……」


ええ? 北斗先輩いたんだよね?!

あ、いや、違う違う。

フツー、兄がいるところではイチャイチャしないけど、北斗先輩と遼馬先輩はキス友だから、なんかそういう常識じゃないんだった。


「二人は恋人なんだからいいと思うけど、なんで遼馬先輩が落ち込むの?」


「”こんなの、恋人同士のイチャラブやない……"って……」


なんで急に関西弁?


「何が先輩は不満だったの?」


「私が一方的に、遼馬君の下半身にサービスしたから……」


サービス?

たしかに、恋人同士のイチャラブにはない言葉……


「上半身は……どうしてたの?」


「そっちはお兄ちゃんが……」


3人一緒にいた!?


「そ、そもそも、北斗先輩と遼馬先輩はどんな関係なの……?」


「恋人同士だよ」


やっぱり付き合ってんのかい!!

しかも公認!!

すごいな遼馬先輩!!

いや、すごいのはこの兄妹か?!


「べ、別々なら、きっと、良かったよね……」


「そうなの! でもお兄ちゃん、全然遼馬君から離れてくれないの!」


溺愛ぃ……

いや、それはそれでいいんだけど、蒼ちゃんの友人としては、蒼ちゃんに幸せになってほしいから、北斗先輩はちょっと邪魔……


「北斗先輩に、新たに彼女か彼氏を作って、遼馬先輩から離れてもらうとか……」


「お兄ちゃん、小2の時から遼馬のこと好きだから……無理かな……」


11年間!!

重いっ!!


「そっか……まあ、遼馬先輩、優しそうだから、じきに色々慣れていって、丸く収まるんじゃないかな……」


メイの思考はゆっくり停止した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る