A-3 次の日

翌日……


蒼がじっと俺のことを見ている。


「お兄ちゃんと……なんかした?」


「……してないよ」


断じて!

添い寝は何もしてないのと一緒!

北斗は……10代の制御し難い凶暴な性欲に打ち勝った紳士なのだ!

蒼も、人間としてできた兄を誇りに思うべき!



「……もしお兄ちゃんがあたしより先に遼馬くんと仲良ししたら……ショックなんだけど……」


蒼は目をうるませて言った。



「そ、それはないよ! 俺はいつだって! 今すぐにでも! 蒼と仲良し……したいんですけど……」


なぜか敬語になった。



「本当に?」


「本当に……」


蒼がパッと笑って、抱きついてきた。

胸の弾力で、こちらが弾き飛ばされそうだ。



「遼馬くん……」


蒼がこちらに顔を向けて、そっと目をつむった。


蒼と……ついに……!!



蒼の頬に手をあて、唇にキスをした。

柔らかくて温かい……。

蒼の唇をチュッとはむと、蒼はふあっ♡と甘い息を漏らした。

ひとしきり蒼の唇を可愛いがったあと、遼馬は息を荒くしながら言った。



「……キ、キスだけじゃなくて……もっとしていい……?」

 

蒼は、顔を赤らめて言った。



「うん……いいよ……」



蒼の……

禁断で……

神聖な……

おっぱいを……揉める……!!


遼馬は、蒼の胸元に手を伸ばした。



……

…………

………………



あれ?

無い。

胸が、

無い。

え?

あの、たわわなお胸はどこに……???



遼馬は蒼の顔を見た


はずだった……





「遼馬……本当は……欲求不満だったの?」


そこにいたのは、北斗だった。

正確に言えば、遼馬は気がつくと、ベッドに寝ている北斗に覆い被さっていた。



「寝起きでこんなにキスしてくるなんて……じゃあなんで昨日はあんなに焦らしたんだよ……!」


北斗は涙ぐみ、顔を赤らめながら言った。

キスをしたのは夢じゃなかった。

そして相手は蒼じゃなくて北斗だったのだ……。



「ごごごごめんね!! 俺、変な夢見てた!!」


急いでベッドを降りようとする遼馬を、北斗が掴んだ。



「ここまでしといて終われるか!! 責任とれよ!!」


北斗に引っ張られ、ベッドに押し付けられる。



「ほほほ本当にごめん!!」


「謝って済むか!!」


ア――ッ!!





――自主規制――




こうして、遼馬の合意的三角関係は一気に進展したのでした。


(北斗のターン 完)

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