第10話 ガチャウォー③

 そして最後の玉なのだが【?級END】という代物であった。


【神の声として告げます。それは危機的状況に空けた方が良いと思われます。内容は非常に危険な代物であり、神の声としても告げる事が出来ません】


「ならそっとしておこうか、次も7回分のガチャ券を得た訳だが、闘技場でも覗きに行ってくるかな」


 俺はその足で闘技場に向かった。


 ★


 闘技場の広場には1人の少年と1人の青年が向かい合っていた。

 少年は伝説王ロームであり青年は破壊王ナルデーラであった。

 

「おい、ナルデラ、ここで合ったが3度目、模擬戦でもやろうじゃねーか」

「して、それは王としてやるべき事か?」


「俺様も王様だぜ」

「それは自分も同じことだ」


「ならはえー話がやりあおうぜ」

「良いだろう」


 その時、信じられない殺気が辺りを支配した。

 その他にも観客はいる。 

 異世界バラミアの英雄と地球の英雄達が揃っていた。

 彼等は2人の戦闘をいまかいまかと楽しみにしているようだ。


「なんで気付かなかったんだ」


 俺は伝説王ロームの頭上に表示される数字、いやレベルに気付いてしまった。

 10000レベル。

 破壊王ナルデーラのレベルも10000レベルであった。

 数字が多すぎて気づかなかった。

 てっきり100くらいだと思っていた。

 そんな化物がこんな闘技場で暴れたら。

 ジスタ領地は崩壊するだろう。


「ちょまて」


 そう叫ぶより2人は地を蹴っていた。

 伝説王ロームは1本の炎のような大剣を握りしめている。

 右腕と左腕の外側を水のような大剣と緑のような大剣が浮遊している。


 破壊王ナルデーラは1本の宝石のような剣を握りしめている。

 ナルデーラの動きはどこか冷たく、流れる美学のようだった。


 2人の剣劇が高速でぶつかりあう。

 もはやカイルの目では追いつけないレベルであり。

 何が起きているか理解不能であった。

 ただ2人が宙を飛んだり、闘技場の壁を走ったり、しているが。衝撃は闘技場の謎のバリアによって防がれ建物そのものは絶対破壊されなかった。


「この闘技場も普通ではないのか・・・・・・」


 俺は今伝説を見ている気がしていた。

 地面が爆発したと思ったら、次の瞬間には闘技場の天井に伝説王ロームが吹き飛ばされバウンドして落下してくる。


「俺様最強ー」


 そう叫びながら地面に向かって炎の大剣を振り下ろす。

 それは炎の斬撃となり地を抉るのだが。

 破壊王ナルデーラが宝石の剣で両断してしまう。


「おっと、そこまでだ」


 2人の争いに終止符を打ってくれたのが、闇医者ウィーバーであった。


 ちなみにウィーバーの右手には破壊王ナルデーラ―の宝石の剣が握られている。

 左手には伝説王ロームの炎の剣が握られており。

 何より驚きなのは虹色の光が手を纏いながら傷をずっと治癒し続けている事だった。


「ふ、おもしれーウィーバーもやろうぜ」


「興覚めだ」


 そう言って破壊王ナルデーラは散歩するかのように闘技場から立ち去って行った。


「じゃあ、次誰かやる?」


 異世界バラミアの英雄も地球の英雄もきょとんとして誰一人手を上げる事がなかった。


【異世界ヤツボシの英雄達は桁外れの力を持っております。扱いには気を付けましょう】


「神の声のいう通りだよ、さて、次のガチャでも開けようか」


【それが良いかと】


 カイルは闘技場から出ると、静かな所に戻ると、ガチャ券を使用してガチャを回す事にした。


【B級=病院】

【C級=医療セット】

【B級=音楽会場】

【C級=音楽セット】

【B級=伝説の鍛冶場】

【B級=見張り塔】

【B級=地球の知恵の書×1000冊】


「ふー今回はB級とC級が沢山だな、緑マップを発動させてっと、病院をここに設置と、医療セットも中に入れといてっと、音楽会場はここかなー次は音楽セットもそこでと、伝説の鍛冶屋は少し家から離れた場所にしよう、騒音問題起こりそうだし、見張り塔はっとここだな、地球の知恵の書×1000はっと図書館に追加っと」


 オーディンの共感力を使って、闇医者ウィーバーに病院が出来た事を伝える。

 すると彼は即座に向かってくれた。

 音楽会場には音楽家ジージージを人々の娯楽にうってつけだと思う。

 伝説の鍛冶場には武器職人ミハミハと防具職人コルクの爺と婆を派遣した。

 見張り塔には表世界と裏世界を移動出来る裏世界キャンベルを。後空を飛べる虫戦士ヘラクルを派遣した。


 それぞれが仕事をしてそれぞれが役割分担していく中で。

 今日のカイルは疲れたーと思って昼寝をしようとしたら。



【カイル様、こちらジーバ執事ですアララスタ王国から3万の歩兵が出動しました。日程は今から5日後にジスタ領地に到着するでしょう、これに対してガイバ領主様の責任が問われ、ガイバ様が1万の兵士を募り、こちらに向かっています。2つの軍が合流すると4万になり、ジスタ領地を没収し、カイル様を反逆者として縛り首にするようです】


「了解した。ジーバ執事長戻ってきてくれ、後リラメイド長、そちらは何か変化はあったか」


【こちらリラメイド長です。森地帯から魔族が集まっているようです。どうやらこのオリハルコンの城壁が珍しく、何が起きているかの偵察かと、王国軍の密偵がこないか調べていたら、まさかの収穫です】


「魔族かー面倒だな」


【この世界の魔族とは魔王が支配する部族の事を言います。魔族とエルフ族は対となっており、種族のバランスが保たれています。魔族が増え続けると病気が増えて死に、エルフが増え続けるとエルフに病気が増えます。魔力枯渇病と呼ばれるそれを治療する術はありませんがもしかすると】


「もしかすると?」


【ドクターMORIとクレオパトラが研究しているエリクサソーダという物なら治療が可能とされるでしょう、彼等は伝説級のエリクサ栽培の実験に成功しました】


「凄いな、じゃあっと、クレオパトラとドクターMORIはエリクサソーダの研究を進めてくれ」


【了解しましたわ、カイル様、それにしても今度デートしませんか】


「デートか、良いな、時間を見て行こう」


【ありがとうございます。カイル様お忘れなきように】


【ジーバ帰還します】

【リラも帰還します。あ、ちょっと待って、子供が倒れてる、魔族ね、救助してくるわ】


「気を付けろよ」


 その後、カイル達ジスタ領地の住民は新しい何かに巻き込まれようとしていた。

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