エピローグ

 今日も暖かな日差しが差し込むライゼン通り。


「ミラ、パンが焼けたぞ。並べてくれ」


「分かったわよ」


「ミラ、お客様が待っているわよ。早くレジをしなさい」


「はい、今行きます」


今日も朝からパンを買うお客で賑わうお店の中をミラは忙しなく動く。


「今日も繁盛していて羨ましいわね」


「ベティーいらっしゃい。またいつものブレッドね」


「えぇ、そうよ。頂けるかしら」


ベティーの声に振り返り笑顔を向けると彼女もにこりと笑い答える。


「ミラ、ここからここまでのパンを頂戴な」


「ローズ様いらっしゃいませ。今籠に入れますね」


いつの間にか来店してきていたローズが言うとミラは動き籠へと商品を詰め込む。


「ローズ様見つけましたよ。さ、お城にお戻りください」


「あら、もう見つかってしまったのね。はいはい。分かりました。帰りますよ」


レイヴィンが駆け込んでくると彼女が生返事をして二人して店を後にする。


「ミラ、この辺りのパン全部買っていくよ。前に買って帰って行ったら騎士団でも人気になってね。僕は買い出し係に任命されてしまったんだ。だからこの辺りのパン全部頂戴」


「あとアップルパイもでしょ」


マルクスの言葉にミラはそう言って笑う。


「うん。お願いできるかな」


「ちょっと待っててね。はいどうぞ」


彼の言葉に籠の中に大量のパンと一緒にアップルパイも入れてあげる。


「これはどんどん追加のパンを作らないとな」


「私も手伝うわ」


午前中のうちに完売となってしまいそうな様子に意気込むマックスへとミランダが微笑み手伝いに動く。


「ふぅ。今日も忙しいわね。頑張らないと!」


ミラは額に噴き出た汗を拭うと笑顔で接客に励む。こうして小さな街のパン屋さんは今日もお客様に愛されて大繁盛しているのであった。


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あとがき

 ライゼン通りシリーズの第三弾はお針子さんの主人公アイリスのおばあさん。ミラさんが若かった頃の物語です。

中途半端な終わり方で申し訳ないですがここで切らないと後が大変なことになりますので一旦区切らせて頂きました。

言わなくても分かると思いますがローズはレオ様のお母さんです。まだ王女様の頃のお話ですが、彼女も度々お城を抜け出しては街で遊び歩いてます。レオ様はしっかり母親の血を引き継いでいますね(笑)

そしてまだ人間との間に壁を作っていた頃のレイヴィン。こっちの方が真面目そうですね。パン屋さんシリーズではこのツンツンしていた頃のレイヴィンが今後も登場するかもです。

次はグラウィス侯爵とか新キャラとか色々と出てくるお話になるのでお楽しみに。

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