引きこもり転生物語〜時代ランダム転生国が強すぎる?!〜

春藤あずさ

第1話 事故

 私、比企ひきコマは、名前の通りのように、引きこもりだった。

 いや名前の通りなら、引きこまずになればいいのにと思っていた。


 一人っ子だったせいか、独り言が多くいじめられ、努力して独り言をやめれば何も言えずにいじめられ、本にずっと逃げていたが、本のタイトルでいじめられ……いじめられ尽くしだった私は、高校には行かずに引きこもりになった。

 本だけはいじめてこないので、本を読むことだけが楽しみだった。小説ばかり読んでいた。小説でも、学校や学生が出てくる本は読まなかった。小説に飽きたら、ちょっと難しい学術書を読んでいた。おそらく大学の授業で使われているであろう本も読んだ。完全理解には程遠いが、学校や学生が出てこなければ、なんでも良かった。


 中学卒業から2年経ち、親からも色々と諦められていた私は、諦めの目線が怖くなり、部屋からも出られなくなった。

 2週に1度、図書館に行く時だけ、誰もいない時間を見計らって家を出て、歩いて図書館に行った。昼間に行って帰ってくればいいが、うっかり夕方になると、元同級生とすれ違い、奇怪な目を向けられるので、それからは必ず17時までには帰るようにしていた。


 その日も、いつものように、2週間に1度の図書館の日だった。

 図書館は家から徒歩20分のところにある。自転車で行ってもいいのだろうが、小学生の時から引きこもりがちだったので、買ってもらえず乗れないままだ。


 大通りを渡ろうと、青になった横断歩道を渡っている時のことである。

 クラクションの音に目眩を覚え、ふと右を見ると、大きなものがあった。


 そして、衝撃ーー信号無視の車に轢かれた……?


 そう思った直後、意識を失った。

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